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883号 掲載記事
視察で訪れたマーリンズ・パーク。天然芝の導入には困難も伴うが、実現すれば、見た目の美しさだけでなく選手への負担減も期待できる。
photograph by YDB
Real Story of 球団経営

<ベイスターズ社長の独り言>
第8回「“本物”を学ぶ球場視察」

池田純 = 文

text by Jun Ikeda

photograph by YDB

 7月中旬、今年も1週間の強行軍でMLBの球場を視察してきました。今回の6球場を含め、4年間で65を超える国内外のスタジアムを見てきました。「球場づくり」は球団経営の屋台骨です。ハード面で魅力ある球場をいかに「造り」、その上にソフトやストーリーを付加して、ファンとその街の方々に愛される唯一無二の球場を「創り上げる」ことができるかは、球団経営において、人任せにできない極めて重要な仕事だと考えています。

 今回の視察で私たちが学びたかったポイントは2つです。1つは開閉式ドーム球場の実態について精通することです。

MLBにおける開閉式ドームの運営実態を探る。

 横浜スタジアムは星空の下で野球観戦ができ、浜風を感じながらのビールが最高にうまい、そうした屋外球場ならではのハード面の魅力が多くのファンに評価されています。一方で横浜に「ドーム球場」構想が存在します。我々は中立的立場でしかありませんが、ファンの声を考えると「完全ドーム」はありえませんし、仮に「開閉式ドーム球場」を想定した場合、主体者としっかりとした球場づくりを議論できる準備は必要です。あくまで現実の課題は横浜スタジアムをどう最高の球場に創り上げるかですが、新球場の話が存在する以上は球団経営の主体者としてあらゆることに精通しておく必要があると考え、今回はアリゾナ、ヒューストン、マイアミ、シアトルのフル開閉式ドーム球場を回り、球団関係者に様々なことを教えてもらいました。

 各球場が屋根を備えているのは、雨や酷暑など各地固有の天候に対処するのが主な理由ですが、観客の要望で可能な限り屋根は開けた状態にし、試合中以外は頻繁に開閉して、球場で最も重要な天然芝のために十分な日照を与えているとのこと。すべての球場が屋根を真横にスライドさせて、日当たりにムラが出ないよう完全に上空をオープンにする方式を採用しています。そうなると、移動する屋根の分だけの敷地が球場敷地に加えて必要です。横浜という都市型の立地でそれが可能なのか。あるいは別のフルオープン可能な方法があるのか。そうした点も含め、実際の運営に基づく貴重な情報を得ることができました。

【次ページ】 天然芝はファンにとっても選手にとっても『本物』。

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