スポンジケーキのように柔らかくてふんわりとしていて、その上食欲をそそる香ばしいにおい。炭火でしっかりと焼いたうなぎを夏の滋養食としてだけ考えるのではなく、世界で最もおいしい食べ物に挙げるグルメも多い。東京・赤坂の「勢きね(せきね)」は美食家たちも列を成すうなぎ屋だ。有名レストラン・ガイドブック「ミシュラン」から星1つ(最高は星3つ)を獲得しており、ここのかば焼きを味わうには2カ月前に予約しなければならない。
このうなぎ屋のご主人、関根潤さん(42)=写真=は「うなぎのかば焼きは、うなぎと人が『汗』を流して初めておいしくなります。うなぎを火にかけると余分な脂が落ちます。脂が落ちるとタレがよく染み込んで、おいしいうなぎのかば焼きになります。人も運動をして汗をかくと飲んだ水が全身に吸収されるでしょう? それと同じです。そのためには、うなぎを炭火の上で何度もひっくり返さなければなりません。日本には『うなぎを焼く時は1万回ひっくり返さなければならない』という言葉があります。熱い炭火の前でうなぎを焼く人も、ものすごくたくさん汗をかかなければなりません」と語った。
「うなぎがきちんと焼けているかどうかを知る方法を教えてください」と言うと、関根さんは「うなぎの表面を見てみてください」と言った。「おいしそうな焼き色が付いていなければなりません。うなぎは生の時は半透明ですが、タレを付けて焼き始めると白くなり、タレが染みていくとキツネ色になっていきます。よく焼けたうなぎは、たとえ小骨が残っていたとしてものどに引っかかりません。ゆっくりと長い時間かけて丁寧に焼くと、熱が身の中までよく通り、骨まで食べられるようになるのです」