ソウル市竜山区二村洞の団地型マンションで、映画の撮影のため騒動が巻き起こっている。ある映画制作者がこのマンションで今月から撮影しようとしていた映画が、子どもの誘拐をテーマにしたものだと分かり、住民たちが反発しているのだ。
この映画の制作者は6月24日、このマンションの入り口の掲示板に「来月から有名な俳優たちが出演する映画の撮影を行うため、住民の皆様のご理解をお願いします」という告知文が掲示された。有名な俳優が来るという知らせを受け、住民たちは当初歓迎したが、ある住民が「このマンションで撮影する映画は、(中国)朝鮮族の保育士が子どもを誘拐するという内容だ」という文章を、周辺住民たちが主に利用するインターネット掲示板に書き込んだことで、ムードは一変した。住民たちは「うちのマンションが誘拐をテーマとする映画の舞台だなんて、どういうつもりだ」と反発し、映画の撮影を拒否する動きを見せた。
住民たちの抗議が相次いだのを受け、映画の制作スタッフたちはインターネットの掲示板に「母性愛という映画のテーマに合った温かみのある空間が必要なため、マンションで撮影を行う」と釈明する文章を書き込んだ。周辺にある別の団地型マンションの住民たちも「映画は映画にすぎないのに、過剰反応ではないか」として、映画の撮影に賛成する意見を寄せた。ところが、問題の団地型マンションの管理事務所側は、住民たちの反発が根強いとの理由で、制作会社に対し「撮影場所の提供は困難」との方針を伝えたという。
2006年にも、実際にあった誘拐事件を基にした映画『あいつの声』の制作スタッフが、ソウル市江南区の団地型マンションで撮影を行ったが、後に映画の内容を知った住民たちが激しく反発した。08年には連続殺人犯の柳永哲(ユ・ヨンチョル)死刑囚をモチーフにした映画『追撃者』が、劇中で望遠洞(ソウル市麻浦区)という地名を使ったところ、地域住民の抗議に遭った。
映画界の関係者は「封切り前に映画の内容が露出するのは困るため、住民たちへの詳しい説明はできないが、犯罪や災害を扱った映画の場合は、住民たちが『地域のイメージと映画の中の場面が重なる』と誤解するため、説得するのに苦労している」と話した。中央大学社会学科のチュ・ウンウ教授は「賑わっている商業地区を背景に撮影した映画は、たとえ内容が不適切でも、PR効果をもたらせるが、後から開発された住宅地ほど、地域のイメージが悪化するのではないかと懸念し、住民たちがデリケートな反応を見せている」と指摘した。