TPP合意見送り:経済界から落胆の声

毎日新聞 2015年08月01日 23時25分(最終更新 08月02日 09時28分)

 日本の通商交渉の出遅れに危機感を強めていた経済界は、TPP実現を「日本にとって最大の成長戦略」(飯島彰己・三井物産会長)と期待していただけに、大筋合意見送りに落胆が広がっている。

 経済3団体は1日、そろってトップのコメントを発表。経団連の榊原定征会長は「期待が大きかっただけに、極めて残念」と経済界の声を代弁。日本商工会議所の三村明夫会頭は「一部分野で歩み寄りができず合意が見送られたが、他の分野は大きな前進があった」と大筋合意は目前だとの見方を示した。経済同友会の小林喜光代表幹事は「残された課題について集中的な議論を行い、現実的な着地点を見いだすことを期待する」と交渉参加国に歩み寄りを求めた。

 日本は米国、EU(欧州連合)など主要市場との貿易自由化交渉で後れをとり、関税率などで他国の企業より不利な競争を強いられてきた。米国を含む巨大経済圏の構築につながるTPPは現状の不利な状況を一気に挽回し、「これが世界の経済、通商、貿易のルールになっていく」(ANAホールディングスの伊東信一郎会長)との見方が経済界には強かった。

 榊原・経団連会長も「米国の政治日程などを踏まえると、今回の交渉が合意に向けた事実上の最後のチャンス」と位置づけ、幹部を現地に派遣するなど大筋合意を後押ししてきただけに、今回の結果に冷や水を浴びせられた格好だ。経済界は「TPP交渉が頓挫する事態になれば、日本が遅れを取り戻すのに何年かかるか想像もできない」(財界幹部)と懸念を強めている。【赤間清広】

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