Key
自転車の中でも特にロードバイクは盗まれやすい。というのも、車体自体が高価ということに加え、車体が軽いため車体ごと盗みやすいからだ。コンビニに停めている間にライトバンに積まれて盗難されるという悲劇だってある。
盗まれないためにも防犯をきっちりとする必要があり、そのなかでも防犯に効果的な方法はいくつかある。単純に鍵をかけるのではなく、たとえば柵やガードレール等とを結束する「地球ロック」や複数の鍵でロックする「ダブルロック」など、さまざまな方法を組み合わせることによって安全性を高めることができる。ただし、鍵を破壊して盗むという窃盗犯もいることも知っておきたい。
鍵によって窃盗犯に対してどのくらい効果があるかは異なるが、大前提として抑えておきたいのは、壊れない鍵はないということだ。そして鍵によって強度が異なり、壊れにくい鍵というものが存在する。
強度に関してはこの後比較検討するのでその部分を参考にしてほしい。
昔はママチャリなどを足代わりに盗み乗り捨てるケースが多かったようだが、高級モデルのロードバイクなどを盗み、窃盗跡を消したうえでネットオークションに出したり、業者に買い取らせたりするケースが増えているという。また、ロードバイクの鍵さえ破壊すれば、あとは簡単に持ち運べるうえ、荒稼ぎができるとあって、複数で犯行する窃盗団もいる。
以下の3つのポイントに絞ったうえで自分にあった鍵を選ぼう。
| 破壊されにくいか | 鍵の破壊方法のほとんどが専用の刃物による切断なので、鍵の太さや硬さに注目したい。太くて硬いものであれば破壊されにくく、細いものだと二パーレベルで切断されることも。破壊というわけではないが、番号可変のダイヤル錠には注意。時間さえかければ開けることができる。とくに3桁の数字のものだと防犯性が高いとはいえない。 |
|---|---|
| 軽いか・持ち運びしやすいか | 頑丈なだけでは×、というのも重い鍵は持ち運びが大変だからだ。また、大きすぎる鍵だと持ち運べないという欠点も。ロードバイク本体につけるという手もあるが、車体重量がそれだけ上がることも考慮に入れておきたい。軽いものならば車体につけて持ち運べるし大きな負担にはならないはずだ。 |
| 地球ロックしやすいか | 長さはロードバイクの前後輪と固定物に届くぐらいが理想的。ベストは1m以上の長さがあるとよい。もちろん、複数の鍵を組み合わせれば短めの鍵でも問題ない |
後の特徴で述べるが、バランスの良いの鍵はチェーンロックタイプ。様々な用途に使えるので万人にお勧めだ。通勤で駐輪場に停めるならチェーンロックに加えてU字ロックをすると最低限の安全は確保できる。
おまけで付け加えるのであれば、目立つ鍵であればなお良い。鍵が目立てば、鍵の存在をアピールすることになり、その結果盗難されにくくなる。
盗まれないためには、強度の高い鍵が良いのは当然だが、鍵を2つつけておくこともおすすめだ。盗難する側は鍵を破壊する手間が増えるためだ。ただ、破壊しやすい鍵の場合、いくつロックをつけていても意味がない。壊しにくい鍵2つつけることが必要だ。
地球ロックとは路上の柵や駐輪場のラックなど動かないものとロードバイクを鍵で結束することを指す。ロードバイクは軽いため鍵ごと盗まれることがあるが、地球ロックであればそれを防ぐことができる。ポイントは、前輪、後輪、フレームを動かせない構造物と固定すること。コイン式の駐輪場に自転車を止めるときなどは、ラック本体に鍵を通すといいだろう。
また、地球ロックをするためには鍵にはある程度の長さが必要だ、短いU字ロックでは地球ロックが難しい場面もあるので鍵の長さにも注意しよう。
チェーン式鍵はバランスの取れた鍵だが、欠点といえば、長さがあるため地面に鍵の一部がついてしまうことだ。大きな力で鍵を破壊する場合は、地面に刃物を押し当てることで「てこ」の原理を使い大きな力で鍵を切断する。駐輪時にはその点も注意してロックしよう。鍵が地面につかないようであれば大きな力をかけることが難しくなるのでその心配もない。
ロードバイク用の鍵は主に4つのカテゴリに分かれている。それぞれ特徴が異なるので大まかに把握しておこう。
| 種類 | 重さ | 強さ | 価格 |
|---|---|---|---|
| U字ロック | 重い | 堅牢 | 高価 |
| ワイヤーロック | 軽い | やや弱 | 安価 |
| チェーンロック | 重い | やや強 | 高価 |
| 折りたたみ式ロック | 軽い | やや弱 | やや高価 |
U字型の部品とバーの2点からなる鍵で、盗まれにくいという選択肢としては最良。金属の素材は鍵によって異なるが、高硬度の金属を使うものが多いので破壊が難しい製品が多い。ただし、重いことが難点。U字部分が長ければ地球ロックができるので、選ぶ際はある程度の長さのあるものを選ぼう。
先端に連結金具の付いたワイヤーを錠に差し込んでループさせるキーロック。後輪とフレームに通して固定するほか、ガードレールや柵などにフレームを固定する方法などさまざまな駐輪方法が可能。地球ロックが容易で、短時間の駐輪やロングライド時のトイレなどぐらいなら。
鎖を使った鍵で、鎖の部分にはフレームを保護するために布などのカバーが付いており、この布も切断が難しい素材が使われている場合が多い。鎖の材質はメーカーによって異なるが、硬度の高い特殊鋼を使ったタイプもある。重さと強度、地球ロックのしやすさなど鍵としてのバランスが良い。
内部に鉄板などを入れて補強したプレートを連ねた錠。収納時に折り畳んで小さくなるように設計されている。携帯しやすいうえ、スタイリッシュなデザイン。強度は高くないので、過信は禁物。
| 防犯性 | S |
|---|---|
| 種別 | U字ロック |
| 価格 | 5697 |
| 重さ | 1400 |
| 全長 | 230mm |
最強の鍵という呼び声が高いクリプトロック。この2ATBは、U字部分が直径13mmと太いだけでなく、表面が刃物を滑らせるコーティングされているので刃物対策にも抜かりがない。破壊用の刃物でも傷しかつけれない強靭さで、普通の刃物では傷すらつけることができない。難点はその重さ、1.4kgもあるのでロングライドには全く向かない。通勤で毎日運ぶのも結構大変。家用にするとか、ちゃんと許可を取ったうえで場所が指定されている駐輪場に置きっぱなしにしておくのも方法の一つ。
| 防犯性 | A |
|---|---|
| 種別 | U字ロック |
| 価格 | 5779円 |
| 重さ | 1400g |
| 全長 | 210mm |
クリプトロックと同じく防犯性が高い鍵。破壊用の刃物であっても、表面のコーティングが刃を受け流し、内部の金属部に触れることすらできない。もちろん内部も硬くて丈夫なので切断対策は抜群。どうしても盗まれたくない場合はこれぐらいの鍵なら安心。イタズラ目的の窃盗ならまず大丈夫。ただしこちらも重いのが弱点。
| 防犯性 | A |
|---|---|
| 種別 | チェーンロック |
| 価格 | 5699円 |
| 重さ | 1900g |
| 全長 | 1100mm |
鍵のまわりに付いているナイロンカバーが刃物ではなかなか切れない素材になっているので鍵切断までの時間稼ぎができるため、防犯性も高い。
内部には2か所を切断しないと外れない頑強な6mmチェーンがありこちらもなかなか切れない。セキュリティも高く街中でよく見かけるのもうなづける。ただ、たまに肩からかけている人を見かけるが、カバーの汚れが服に付くのでこの方法はおすすめはしない。持ち運びにはハンドル部分に8の字に巻きつけるとハンドル操作の邪魔にならないのでおすすめ。
| 防犯性 | B |
|---|---|
| 種別 | ワイヤーロック |
| 価格 | 856円 |
| 重さ | 290g |
| 全長 | 650mm |
見た目は他のワイヤータイプの鍵と変わらないが、直径12mmのワイヤー部には堅固なスチールを採用しているので、普通の刃物ではなかなか切れない。さらに、コーティングしている樹脂製の被膜は柔軟性があり、伸びて力を分散させる。そのため刃物がワイヤーに到達までにやや時間がかかることがポイント。価格も安く、軽量なのでダブルロックの1つとして使うという手法も。
| 防犯性 | C |
|---|---|
| 種別 | ワイヤーロック |
| 価格 | 3175円 |
| 重さ | 249g |
| 全長 | 620mm |
中は太さ5mmのスチールワイヤー、外側は耐紫外線・医療品質のシリコンを使った柔らかなボディでフレームに傷をつけることは少ないが、簡単な刃物ならともかく大型の刃物の前ではばっさりと切断されてしまう。メリットは軽いこと。近くのコンビニに5分ぐらい駐輪するぐらいだったらこれぐらいで。イタズラ目的の盗難ぐらいなら防ぎやすいのでどちらかというと街乗り用のクロスバイク向けかと。
| 防犯性 | C |
|---|---|
| 種別 | 折りたたみ式ロック |
| 価格 | 4277円 |
| 重さ | 667g |
| 全長 | 200mm |
鍵の収納時はその名の通り、直径7cmのマフィン状になり、広げると20cmの輪になる折り畳み式ロック。スタイリッシュなデザインで輪の金属部分の幅は広いが厚さがないので専用の刃物の前では無力。薄い板状のプレートなのでハサミで紙を切るような感じで切断されてしまう。
防犯性は高くはないがちいさく収納できるので持ち運びやすいという長所も。また、鍵で巻ける長さがあまり長くないので場所によっては地球ロックができないことも。U字ロックのほうが長い場合も。購入する際は普段どこに駐輪するか考えたうえで購入したい。
| 防犯性 | D |
|---|---|
| 種別 | 折りたたみ式ロック |
| 価格 | 2409円 |
| 重さ | 250g |
| 全長 | 400mm |
ロードバイクに傷を付けないよう樹脂コーティングが施され、内部に鉄を仕込んだプレートと10本からなるロック。強度は強くなく、プレート部分を狙われると危険。百円均一ショップで売っている自転車用の鍵とあまり変わらない防犯性だと思ったほうがいい。
| 防犯性 | D |
|---|---|
| 種別 | ワイヤーロック |
| 価格 | 1728円 |
| 重さ | 522g |
| 全長 | 1820mm |
直径8mmのワイヤーは樹脂でコーティングされており、形状はコイル状になっている。例えば5回巻きつけてロックしたと考えれば、5本全てを切らない限りは盗めない作りだ。しかし、強度はたいしたことなく、切断工具の前では数秒で切断されてしまう弱さ。窃盗団の前では無力に近いと考えよう。
| 防犯性 | D |
|---|---|
| 種別 | ワイヤーロック |
| 価格 | 1069円 |
| 重さ | 114g |
| 全長 | 600mm |
引っ張り強度が1400N(140kg)あり、JIS規格に相当していると記載されているが、鍵の破壊に引っ張り強度はそんなに意味がない。というのも鍵は引っ張って破壊されることはほとんどなく、切断されて破壊されるるからだ。
肝心の切断対策だが、専用の刃物の前ではコーティングしている樹脂はまったく効果を発揮せず、刃はすぐにワイヤーに届いてしまう。
使い道としては、目立つことによる盗難防止力。いろいろな種類の鮮やかなカラーが揃っているので、イタズラ目的の盗難防止なら強度が弱くても、施錠状態をアピールして、盗難やいたずらを未然に防ぐ心理的効果が期待したい。おすすめは頑強なタイプの鍵と組み合わせて使うことで、防犯効果を高めることだ。
| 防犯性 | D |
|---|---|
| 種別 | ワイヤーロック |
| 価格 | 2160円 |
| 重さ | 130g |
| 全長 | 700mm |
ステンレス製の素材を使ったこの鍵は、ホイールなどの取り外しのできる複数パーツをまとめてロックできる長いケーブルが便利。輪行時には活躍する。しかし、ワイヤーの太さが4mmしかなく、専用の刃物の前では一瞬で切断されてしまう。さらに、百円均一のニッパーでも切断できそうなシロモノなので、これひとつで長い間駐輪場に停めるのは危険極まりない。ロングライド時にコンビニにちょっと寄るぐらいなら使えるが、単独での使用は絶対に避けたい。
ロードバイクの使い方によって最適な鍵は変わってくるので、いろいろな鍵を検討すると良いだろう。壊されにくい鍵はU字ロックだが、重いことと持ち運びにくいことが難点。おすすめは軽いU字ロックとチェーンロックの二段構え。この2つを常備しておけばいろいろな場所で地球ロックができ、後輪のロックも同時にできるなど、様々な環境に対応できる。
ロングライド時はほとんど自転車から離れないのでケーブルロックでも良い。頑丈な鍵を持っていっても邪魔なだけだ。ワイヤーロックなら長く伸びるのでコンビニに入る時でもいろいろなものに地球ロックてきる。様々な用途に使えるのでひとつ持っておいて損はない。あと、百円均一で売っているニッパーで切れそうな鍵も避けよう。そのような鍵はないものと同じだ。