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 経済産業省が所管する独立行政法人の理事長などに人材を出した企業グループに、同省OBが役員や顧問として再就職するケースが相次いでいる。12府省庁が所管する98の独法のうち、こうしたケースは経産省で目立つ。独法の民間人登用が増えた分、減った省庁OBの再就職ポストを企業が補っている形で、有識者は「国民から天下りと批判されかねず、再就職先には避けるべきだ」と指摘する。

 かつて独法の理事長は大半を省庁OBが占めていたが、天下り批判の高まりをきっかけに民間からの登用が増えた。今年5月現在で30独法が民間出身者だ。

 朝日新聞の調べによると、2009年以降、経産省が所管する4独法の理事長に、民間企業5社の出身者5人が就いていた。その後、これらの企業やグループ会社に経産省の事務次官、経産審議官、局長経験者ら5人が役員や顧問として再就職していた。

 5社のうち4社は、経産省が所管する業界の大手電機メーカー。残る1社は大手銀行で経産省と業務上のつながりがある。官民で再就職ポストを交換した形になっている点について、各企業は「独法理事長などへの元役員の就任と、その後の経産省OBの受け入れは無関係」と説明している。