夏の暑い日も,冬の寒い日も,真空断熱タンブラーは飲み物温度を保ってくれる私たちの見方です.冷たい飲み物を入れても結露がでないのもいいですよね.でも,どうして真空断熱タンブラーは飲み物の温度を保ってくれるのでしょうか.
THERMOS 真空断熱タンブラー 400ml ステンレス JDA-400 S
- 出版社/メーカー: THERMOS(サーモス)
- 発売日: 2013/02/21
- メディア: ホーム&キッチン
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それはずばり,「熱を通しにくい」からです.
それでは,なぜ熱を通しにくいのでしょうか.
ここに,温度T1の部屋に温度T2のお茶が入ったコップがあるとします.コップに見えないかもしれませんがコップです.簡単のためコップの側面は薄く内部に気体が満たされているとします.このとき,熱流速q(単位時間,単位面積当たりに流れる熱量)はコップの厚さ(代表長さ)をdとして
の関係が成り立ちます.ここで比例定数λは熱伝導率であり,これが今回のミソです.
熱を伝えるのは「分子」ですが,簡単のためにコップの側面に垂直な方向のみの分子の運動を考えます.室温側の側面に衝突した分子は,約温度T1になって跳ね返ります.
まず,室温とお茶を介する気体の圧力pが高い場合を考えます.このとき分子が距離a(平均自由行程といいます)程度進んだところで他の分子と衝突して熱を奪われます.(この長さaは圧力に依存します)分子はまたa程度進んだところでまた別の分子と衝突します.これを繰り返して結果的にお茶側の側面に到達し,熱が伝わります.
圧力が小さくなると熱を伝える分子の数が少なくなりますが,平均自由行程aが大きくなって衝突する回数が減り,結果的にλは変化しません.逆も然り.つまり,圧力が高いと(真空でないと)断熱効果は望めないのです.
ですが,圧力が十分低くて(真空と呼べるような圧力)平均自由航程aが長くなって代表長さdを超えると,室温側の側面から途中で他の分子と衝突することなくお茶側の側面に到達するようになります.これは逆も同様で分子は単純な往復運動を繰り返しますからqはdに依存することはなくなります.さらに,qは分子の衝突頻度に比例するようになり,分子の数は圧力に比例するので比例定数をΛとすると
が成り立ち,圧力が低いほど熱流束qが小さくなることがわかります.
真空断熱タンブラーはまさにこれを利用しているのです.
そして察しの良い方ならお気づきでしょうがちょっとやそっと内部の気体の圧力が小さくても断熱効果は圧力が気圧のときと比べて変わりません.一定以上圧力を低くしないと意味がないのです.
THERMOS 真空断熱タンブラー 400ml ステンレス JDA-400 S
- 出版社/メーカー: THERMOS(サーモス)
- 発売日: 2013/02/21
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