敵機との距離測定器発見 滋賀・旧豊郷小、空襲時に使った?
第2次世界大戦中、空襲を仕掛ける米軍機との距離を測るのに使ったとみられる測定器が、滋賀県豊郷町石畑の旧豊郷小で見つかった。かかみがはら航空宇宙科学館(岐阜県各務原市)職員の森田康仁さん(64)は「軍用にしては精度が低い。市民が訓練や、空襲から逃げる際に使ったのだろう」と推察する。
備品の整理を委託されている専門学校講師の吉岡竜巳さん(38)が昨年9月、理科準備室で見つけた。記載された実用新案登録の番号から、1942年登録の「航空機距離及高度測定器」と判明した。
測定器は長さ59センチ、幅7センチ、厚さ2センチの木製。角度計と計5種類の目盛りが入った定規2本をスライドさせて使う「計算尺」を備えている。登録書類などによると、もとは目盛り入りのガラス板も付いた。飛来する飛行機にかざして敵機の大きさを測定し、観測者との距離を算出し、さらに角度と合わせて高度などを計算する。
県内の戦争遺物や体験談を調査する県平和祈念館(東近江市)は「県内では聞いたことがない」といい、測定器は一般に普及していなかったとみられる。吉岡さんは「近くに軍事教練を行う豊郷青年学校があったので、そこで使った可能性はある。地元を心配した近江商人が計測器を贈ったのかもしれない」と話している。
計測器や米軍の乾電池などの戦争遺物は、2~31日の旧豊郷小見学ツアー(有料)で見ることができる。見学の1週間前までに申し込みが必要。問い合わせは町観光協会TEL0749(35)3737。
【 2015年08月02日 10時22分 】