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福島第一原発3号機 巨大装置の撤去完了
8月2日 16時34分

福島第一原発3号機 巨大装置の撤去完了
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東京電力福島第一原子力発電所3号機で、爆発で吹き飛んで使用済み燃料プールに落下した重さ20トンある巨大な装置が、2日、7時間余りかけて撤去されました。
装置が落下すると核燃料が損傷するおそれもあったことから作業は慎重に進められ、東京電力によりますと、トラブルはなく敷地内の放射線量にも変化はないということです。
福島第一原発3号機では、爆発によって原子炉建屋の最上階にある使用済み燃料プールに落下した重さ20トンの「燃料交換機」と呼ばれる装置を撤去する作業が、2日午前6時から行われました。
現場は放射線量が高いため、作業はカメラの映像を頼りに遠隔操作のクレーンで行われ、2日正午ごろから装置をつり上げる作業が始まりました。
東京電力が福島第一原発の敷地内に設けたカメラの映像では、つり上げ開始から1時間後の午後1時ごろ、濃い霧が立ちこめるなか、巨大な燃料交換機が3号機の建屋の上部に姿を現し、このおよそ20分後に燃料交換機を地面に降ろして作業が完了したということです。
3号機の燃料プールには今も566体の核燃料が残されたままとなっていて、燃料交換機が落下すれば核燃料が損傷するおそれもあったことから、作業員の安全を考慮してほかの廃炉作業を中断するなど、撤去作業は細心の注意を払って行われました。
東京電力によりますと、トラブルはなく敷地内の放射線量にも変化はないということです。

解体・廃炉まで課題山積

40年かかるとされる福島第一原発の廃炉に向けて、最初の関門となるのが、建屋の最上階にある使用済み燃料プールに残された核燃料の取り出しです。
このうち事故当時に運転を停止していた4号機では、去年12月までに1500体余りあった核燃料がすべて取り出されました。
しかし、1号機から3号機では爆発で吹き飛んだ大量のがれきや高い放射線量などに阻まれ、燃料プールからの核燃料の取り出しはできていません。
今回燃料交換機が撤去されたことで、3号機の状況は大きく前進しましたが、これまでのがれきの撤去作業や除染などに時間を取られたため、以前の工程表では今年度から始まる予定だった核燃料の取り出しは、2年遅れて平成29年度からとなる見通しです。
1号機と2号機はさらに作業の遅れが懸念されています。
1号機では先月、燃料プールからの核燃料の取り出しに向けて建屋全体を覆うカバーの解体が始まったところで、爆発で散乱したがれきは手つかずの状態です。
また、2号機は爆発はしていませんが、建屋内の汚染がひどいため、東京電力は2年後までに燃料プールから核燃料を取り出す具体的な方針を決めるとしています。
このため、1号機、2号機とも、燃料プールから核燃料を取り出す時期は以前の工程表と比べて3年遅れ、5年後の平成32年度からとされています。
その後、廃炉に向けては、最大の難関とされる溶け落ちた核燃料の取り出しへと進むことになります。現在の工程表では平成33年度から行われることになっていますが、いずれの号機も、溶け落ちた燃料がどこにあるのかいまだに分かっていません。
燃料を取り出す方法の技術開発もこれからで、その先にある建屋などの解体を経て廃炉が完了するまでには課題が山積しています。

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