東京都調布市で小型飛行機が住宅街に墜落した事故は、警視庁と国の運輸安全委員会の調べが続いている。搭乗者と住民の3人が亡くなるという、あってはならない事故だ。原因を究明し、惨事を二度と繰り返さないようにしなければならない。

 既に、多くの疑問が浮かび上がっている。

 事故機は調布飛行場を離陸後、通常より低空を飛びながら落ちていった。エンジンの出力が足りなかった可能性が高いようだ。この機は04年に北海道で事故を起こし、エンジンを修理して使い続けていた。検査には合格していたが、今回の事故との関連はあるのか。

 事故機は都内の不動産関連会社が所有し、飛行場近くの整備会社にリースされ、操縦していたとみられるパイロットが経営する操縦士養成会社に時間貸しされていた。安全面での3者の連携は十分だったか。

 このパイロットは、操縦士養成事業に必要な一部の許可を得ていなかった。事故を起こした飛行の目的について、操縦の技量を保つ「慣熟飛行」と届けていたが、調布飛行場では禁じられている「遊覧飛行」だった可能性がある。

 全容解明には時間がかかりそうだが、改めて意識すべきなのは小型機特有の事情だろう。

 小型機のパイロットは、飛行前の機体チェックなど、1人で何役をも担う。ふだんの整備も、航空会社が自社の整備士らで対応するのに対し、メーカーが定める整備を専門業者に委ねることが多いという。

 運輸安全委員会によると、この40年余りの間に1300件余の航空事故が起きたが、小型機がその3割近くを占めている。調布飛行場では80年にも、小型機が近くの中学校に墜落し、搭乗者2人が死亡する事故があった。

 「市街地の空港は閉鎖を」との声もあるだろう。ただ、空港ごとに事情は異なるが、他地域との交通に一定の役割を担い、物資の運送拠点として大切な空港も少なくない。

 東京都が管理する調布飛行場には国の管制官はおらず、気象や滑走路の空き具合などの情報をパイロットに伝える業務は、元管制官を抱える一般財団法人に委託されている。

 今回の事故では空港側の問題点は明らかになっていないが、現状の態勢に死角はないか、チェックが必要だ。

 他の空港での小型機の整備と運航の実態はどうか。ルール違反が広がっていないか。総点検しなければならない。