2015年8月1日16時31分
北海道苫小牧市沖で7月31日に起きたフェリー火災。「海が荒れていたら逃げられなかったかも」。避難に大きな混乱はなかったが、そう振り返る乗客もいた。
「ゴーン」。31日午後5時半ごろ、船内に爆発音が起き、床が激しく縦揺れした。それが何度か続いた。「火災が発生した」と船内放送が流れ、火災報知機が鳴り響いた。
運送会社の男性運転手(48)は、運転者らが休める部屋で就寝中だった。4階の控室に荷物を取りに行くと、熱さを感じた。
夏休みに北海道でアルバイトをするために船に乗っていた埼玉県川越市の大学生中屋敷幸大さん(20)は、船内放送を聞いて案内所に向かった。「火が収まりません」。乗員から説明があり、救命胴衣を取りに部屋へ戻った。様子を見ようと船外に出ると、船から黒煙があがるのが見えた。
船内には油の臭いが漂っていた。函館市のトラック運転手(59)は、油の臭いがする煙でのどや目が痛くなった。
午後6時、乗員らは消火活動を断念し、デッキに集まった乗客らに「総員退船」と叫んだ。救命胴衣を着ていた乗客らは騒然とし、「もう終わりか」「死ぬのか」という声も漏れた。
乗客らは乗員の誘導で救命艇に次々に乗り移った。中屋敷さんが救命艇に乗り込んだのは午後6時45分ごろ。子ども4人を含む22人が乗っていた。波で大きく揺れ、嘔吐(おうと)する人もいた。約1時間半後、暗闇の中、救助に来たカーフェリー「シルバークイーン」の明かりが見えた。「救われたと思って安心した。乗客が多かったら、助からなかったのではないか」
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