2014年に鳴り物入りで登場した次世代ロボットFPSが、基本無料という名の新たな戦場へ降下します。
EAとネクソンは、一人称視点シューティングゲーム『Titanfall (タイタンフォール)』の新作を基本プレイ無料のオンラインPCゲームとしてアジア地域で展開することを明らかにしました。
Respawn Entertainment開発・EA販売の『タイタンフォール』は、宇宙に進出した人類どうしが争う未来世界を舞台とした一人称視点のシューティングゲーム。プレイヤーは歴戦の兵士「パイロット」となり、パルクールのように建物の壁を走ったり、戦闘ロボット「タイタン」に乗り込んだりして戦います。海外ではPC版とXbox One版が2014年3月に、Xbox360版が同4月にそれぞれ発売されました。
戦場の雑魚キャラ「ミニオン」たちのAIをAzureクラウドでまかない、本体側の負担を減らしつつも大規模戦を実現するといった技術的に興味深い試みがなされており、2014年にはゲームデザインと技術の双方で注目を集めた大型タイトルです。
北米では発売3週間で92万本以上を売り上げ、2014年末にはユニークプレイヤー数が800万人を突破。メタスコアもPC版とXbox One版が共に86、Xbox360版が83と高評価を獲得しました。
しかし日本国内では Xbox の大苦戦に影響されたためか、海外ほどの存在感を示すことができませんでした。後にCO-OPモードが追加されたとはいえ、元々のコンセプトが対戦メインだったことも理由の一つかも知れません。
今回発表されたのはF2P、Free to Playモデルによる『タイタンフォール』シリーズの新作タイトル。日本・中国・韓国・台湾・香港といったアジア圏で展開していくとしています。開発はオリジナルのRespawnの協力のもとNexon傘下のNexon GTが担当。なお、画像はいずれも従来作のものです。
詳細についてはまだ公開されていませんが、元々「バーンカード」という使い捨ての強化アイテムをゲーム内通貨で購入するF2P風のシステムが存在しており、F2Pモデルとは相性がいいといえるでしょう。バーンカードがいつ課金対象になるかヒヤヒヤしながら遊んでいたプレーヤーもいたはずですが、基本無料であればバーンカード課金もアリかも知れません。
PC用の従来型売り切りタイトルを原作としたF2Pはここしばらく続くトレンドで、旧くはFPS「Counter-Strike」が「Counter-Strike:Online」となり、新しくは「FIFA」シリーズが「EA SPORTS FIFA Online 3」として展開するといった例が見られます。
日本では「Counter-Strike:Online」がスタートから6年を数える人気タイトルとなり、「EA SPORTS FIFA Online 3」が韓国で85万人もの同時接続数を記録したところを見ると、『タイタンフォール』もワンチャンスあるかも知れません。
パイロットの時はスピーディだが脆く、タイタンに乗っている時は高火力だが鈍重という、メリハリあるゲーム展開。これまでのFPSのようにマップ上の乗り物を取り合うのではなく、誰にでもいずれ自分用のタイタンが投下される思い切った設定。海外サーバーに接続しても快適なオンラインプレイが楽しめるネットワーク設計など、優れた点も多い『タイタンフォール』。
その一方、一人用のキャンペーンモードが存在しないためタイタン操縦やパルクールアクションの実戦的練習が難しく、初心者はどうしても腰が引けがちになるなど、惜しいところが存在するのも確か。F2P化による人口増加がこうした問題をある程度解決してくれるのを願いたいところです。また、Azureクラウドによるミニオン制御がF2P版ではどうなるのかも注目したいポイントと言えるでしょう。
F2P化ともなれば、自動照準&ロックオンすれば必中の「スマートピストル」の是非について一荒れしそうな気もしますが、この辺りは慎重なバランス調整をお願いしたいところ。「完全上位互換のタイタンが即座に降ってくる」とか「相手は死ぬ」とか、無茶なバーンカードが無ければきっとヒットするに違いありません。
なお第一作の開発元 Respawn Entertainment は今年3月、正統な続編を Xbox One, PlayStation 4, PC向けに開発中であることを明らかにしています。