美浜原発:3号機廃炉回避へ 関電「基準地震動」再計算で

毎日新聞 2015年07月31日 20時07分(最終更新 07月31日 21時25分)

 ◇関電が規制委の要求を受け入れ

 関西電力は31日開かれた原子力規制委員会の安全審査で、40年超の運転延長を目指す美浜原発3号機(福井県)について、地震の震源の深さや活断層の連動性を見直したうえで、想定する最大の揺れ「基準地震動」の試算をやり直す方針を明らかにした。規制委は8月末までに想定を見直さない場合は、審査を打ち切る方針を示唆していたが、関電が規制委の要求を受け入れたことで、打ち切りは回避され、廃炉を迫られる可能性は低くなった。

 関電は安全審査で、美浜原発周辺で想定する震源の深さについて4キロと想定していたが、近くの高浜、大飯両原発では3キロで想定しているため、規制委は美浜も3キロにするよう求めていた。この日の安全審査で、関電側は「審査のこれまでの経過を考慮し、3キロとする」と表明した。「連動しない」としていた活断層についても「安全評価上、(連動を)考慮する」と方針を転換した。

 関電は今後、基準地震動の再計算を進め、8月末までに規制委に報告する。基準地震動は現在の750ガル(ガルは加速度の単位)から引き上げられる見通しで、追加の耐震補強工事が生じて安全対策費が膨らむ可能性がある。

 原発の運転期間は原則40年とされ、1度だけ最大20年間の運転延長ができる。美浜3号機の延長には、40年を迎える来年11月末までに安全審査と老朽化対策の審査を終える必要があるが、規制委は審査に必要な時間を考慮し、耐震設計の根拠となる基準地震動を8月末までに確定するよう関電に示していた。【鳥井真平】

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