NSA盗聴:ウィキリークス「日本の要人など35カ所も」
毎日新聞 2015年07月31日 21時00分(最終更新 07月31日 22時01分)
◇最優先の官房長官秘書官、政府の要人専用回線など
内部告発サイト「ウィキリークス」は31日、米国家安全保障局(NSA)が日本の中央省庁、商社などの民間企業を含む35カ所を盗聴していたと公表した。同サイトは入手した文書などから、NSAは少なくとも第1次安倍政権(2006〜07年)時にさかのぼって、日本の貿易交渉や地球温暖化対策、原子力を含むエネルギー政策などについての情報を集めていたと指摘している。米国の情報活動を巡り、日本国内の具体的な盗聴先が明らかになったのは初めて。
同サイトによると、NSAの最優先の盗聴先として▽官房長官秘書官▽政府の要人専用回線▽経済産業相▽日本銀行▽三菱商事の天然ガス部門▽三井物産の石油部門−−などが挙げられている。一連のリストは電話番号の一部を伏せた形で公表された。
また日本の気候変動政策や貿易交渉に関してNSAが07〜09年に作成したとする文書も同時に公開した。07年4月の安倍晋三首相(当時)の訪米前の文書では、日本政府が「50年までに温室効果ガスの排出量を半減する」とした目標を同年5月下旬に発表するとの見通しを示した上で、「(日本の)外務省は事前に米国側に通知することは考えていない」という政府内部の動きが記載されていた。別の文書では世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)に関する内容も含まれている。
盗聴内容の一部は、米国から英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドにも情報提供可能とする記載もあった。ウィキリークスは「日本への教訓」として「監視大国に誠実さや敬意を期待してはいけない」とする創設者のジュリアン・アサンジ容疑者のコメントを掲載した。
NSAの情報活動を巡っては、フランスのオランド大統領など過去3代の大統領の通信や、ドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していたことが表面化。オバマ米大統領は14年に同盟国首脳への盗聴停止を表明している。【八田浩輔】