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 7月20日に93歳で亡くなった哲学者の鶴見俊輔さんが残した最後のまとまった言葉が、31日都内であった集まりで読み上げられた。この日は9年前に亡くなった姉で社会学者の鶴見和子さんの命日で、和子さんをしのぶ集まり「山百合忌」のために俊輔さんが生前寄せたメッセージが披露された。和子さんと忌憚(きたん)ない議論を交わした思い出をつづり、2人の信頼関係がにじむ。

 メッセージは、俊輔さんが話した内容を家族が書き取ったもので、亡くなる1週間ほど前に、集まりを主催する藤原書店に届いた。妹の内山章子さんが代読し、参加者は俊輔さんをしのんで黙禱(もくとう)した。

 メッセージによると、和子さんは大の話し好きで、盛んに会話を交わしたことが、俊輔さんの話しぶりや表情にも影響を与えたという。俊輔さんはもっぱら聞き役だったが、話に「論理的に飛躍がある時」などには容赦なく口をはさんだという。「速く物事を理解し、それを使いこなす姉に対し、そこから抜け落ちるものにむしろ私は引かれました」と書いている。