2015年8月1日08時42分
大手電力10社の4~6月期決算が31日出そろい、沖縄電力をのぞく9社の経常損益が黒字となった。原発は全国で1基も動いていないものの、火力発電の燃料コストが平均3割下がったのが追い風となった。原発をもつ9社が黒字となるのは、4~6月期としては東日本大震災後初めて。
10社合計の燃料費は1兆1400億円で、前年同期より33%(5800億円)減った。液化天然ガス(LNG)は原油価格に連動して値下がりしている。燃料安が電気料金に反映するのに時間差がある影響で、利益を押し上げる形となった。
とくにLNG火力の割合が高い中部電力は経常利益が前年同期の約9倍、東京電力も約4倍となり、いずれも4~6月期としては過去最高となった。北海道電力は昨年11月に、関西電力は今年6月に家庭向け電気料金を再値上げしたこともあり、黒字に転換した。九州電力も5年ぶりの黒字だった。
火力向けの燃料費が下がり、燃料安が売りの原発の利点は小さくなってきた。ただ、電力各社は「原子力が再稼働していない現状では収支は安定しない」(八木誠・関電社長)などとし、今後も再稼働を進める考えだ。
一方、北陸、中国電力は一部の発電所が点検で止まった影響などで、いずれも減益となった。
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