調布墜落事故巻き添え犠牲者の小型犬「助けてあげたい」瀕死の重傷

2015年7月30日7時30分  スポーツ報知
  • 墜落現場でトラックに積み込まれる小型プロペラ機の尾翼部分(共同通信社ヘリから)

 東京都調布市の住宅街に離陸直後の小型機が墜落した事故で、小型機が墜落した住宅から助け出された犬が、体全体にやけどを負い瀕死の重傷を負っていたことが29日、分かった。事故で巻き添えになって死亡したとみられる鈴木希望(のぞみ)さん(34)が飼っていた小型犬のトイプードルとみられる。市内の病院に入院しており、病院スタッフは「いつ急変するかわからない状態」と話している。

 小型機が墜落してから約2時間後の午後1時ごろ、2人の女性が、犬1匹を持ち運び用バッグに入れ鈴木さんの自宅近所の動物病院に現れた。

 病院の看護師の女性によると、犬は茶色の毛をしたトイプードルだったが、大やけどを負い、肌があらわになり赤くなった部分もあったという。女性は慌てた様子で「墜落して火事になった家の犬なんです。治療してもらえますか」と頼み込んだ。しかし、当時病院では、別の犬の手術をしていて、主治医が手を離せなかったため断ったという。

 このため、女性らは市内の別の動物病院に駆け込んだ。運び込まれた犬を見たという病院の女性スタッフは、「やけどの状態がひどかった。顔も毛が焼けてしまって…」と沈痛な面持ち。成犬というトイプードルは、当時、おびえるようにブルブルと体を震わせていたという。

 犬が大好きな鈴木さんは、トリマー(犬の美容師)で、自宅でも9匹飼っており、事故現場から犬を放り投げ、助けたとされる。火災時、住宅の2階でプードル犬を抱いた女性の姿が、外から目撃されている。家の前で、鈴木さんの母親と思われる女性が、助け出されたとみられる犬を抱き、「娘が中にいる」などと叫んでいる姿も見られていた。

 トイプードルはこの日も入院しており、体全体に広がったやけどの治療をしていた。食欲が戻らず、元気がない様子で予断を許さない状態が続いている。やけどの程度によっては肌が壊死(えし)してしまうこともあるという。女性スタッフは「いつ急変してもおかしくない状態ですが、なんとか助けてあげたい」と切実に話していた。

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