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日本は中国に勝てないという現実を直視せよ幼稚な議論を繰り返す野党が、結局この国をダメにする!

現代ビジネス 7月31日(金)6時1分配信

中国は、話してわかる相手ではない

 安全保障関連法案の必要性をめぐって、安倍晋三首相が参院審議で「中国の脅威」を明言した。ホルムズ海峡の機雷掃海や日本海での米艦防護のような「たられば論」に比べれば、現実的でずっと分かりやすい。そこで、あらためて問題の根本を整理しよう。

 私はこれまで何度も「安保法制を見直す根本的な理由は中国の脅威」と指摘してきた(4月17日公開コラム、http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/42934など)。安倍政権も同じ認識だったはずだが、あえて曖昧にしてきたのは、中国を脅威と名指ししていたずらに刺激したくなかったからだ。

 一方、中国の行動はますます大胆になっている。南シナ海の岩礁埋め立て・軍事基地建設は言うに及ばず、東シナ海においてもガス田開発プラットフォームの海上基地化を着々と進めている。このまま放置すれば、南と東のシナ海は実質的に中国の支配下に置かれかねない。

 話して分かる相手なら、外交上の配慮も必要だろう。だが、相手は攻撃用のレーダー照準を問答無用で日本の自衛艦に合わせるような国だ。遅ればせながらも安倍首相が脅威の中身をはっきり語ったのは、安保関連法案への理解を促すのに役立つ。

 国会は相変わらず「法案は違憲か合憲か」を最大の争点に議論している。はっきり言って、ここまで来たら水掛け論ではないか。違憲か合憲か、最終判断を下すのは最高裁である。最終的な判断権限がない国会議員がいくら口角泡を飛ばして議論したって結論は出ない。

 それより日本を脅かす国が現実にあって、与野党がそう認めているのだから、脅威への対応策こそ真剣に議論すべきではないか。

アメリカもようやく認めた

 米国も中国を脅威とみなしている。米軍統合参謀本部が7月1日に発表した「国家軍事戦略2015」という報告書はロシアやイラン、北朝鮮と並んで、中国を初めて「国際秩序と米国の安保利益」を脅かす国に名指しした。

 米国は2年前まで中国が提唱した「新型大国関係」という言葉に理解を示し、対中関係の軟着陸を模索していた。だが、2013年11月の防空識別圏設定と南シナ海の埋め立て作戦を目の当たりにして、いまや完全に方針転換した。

 オバマ大統領が4月の日米首脳会談で「中国は間違っている」と明言したのは、そういう文脈での発言だ。そんな中国に日本はどう対応したらいいのか。

 まず「日中間の問題はあくまで外交で解決すべきだ」という主張がある。日本共産党がそうだ。彼らは安倍首相と習近平国家主席の話し合いで問題を解決できると思っている。はっきり言うが、共産党は外交の本質を理解していない。理解したところで、彼らに真の外交はできない。

 外交とは問題を抱えた相手国との話し合いでは「ない」。相手国ではなく、第3国をどう自分の味方につけるかが外交の本質である。具体的に言えば、日中間の問題を有利に解決しようとすれば、日本が米国や欧州、東アジアの国々を味方につけられるかどうかが勝負なのだ。

 それは夫婦げんかをしたとき、なぜ、たいてい奥さんが勝つかを考えてみれば分かるだろう。奥さんが勝つのは、旦那さんを口でまかすのが上手だからか。それもあるかもしれないが、本質はお嬢さんや息子、ときにはペットの犬までもが奥さんの味方をするからだ。

 もしも、逆に旦那さんのほうに子どもやペットが味方すれば、奥さんの側が圧倒的に不利になる。だが、子どもやペットと長く過ごすのはたいてい奥さんなので、奥さん有利になるのである。こういう関係は国と国との外交も同じだ。人間社会の出来事は家庭も国も本質的には、たいして変わらない。

 日本と中国の問題でいえば、安倍外交はまさに米国や欧州、東アジアの国々を味方につける外交を展開してきた。ここへきて突然、安倍首相を訪中招待したように、中国がにわかに日本にすり寄ってきたのは、日米首脳会談で日米の結束が固まったのに加えて、第3国にも対中批判が高まって、中国は逃げ場がなくなってしまったからだ。

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最終更新:7月31日(金)14時46分

現代ビジネス

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