2015-07-31

仕事恋人も好きな女

私は、仕事が大好きだ。大変なこともあって嫌いな人も多少はいるけど、達成感や日々何かをやらないといけない義務感は、とても心地がいい。食べるものに困るほど貧乏じゃないこと、他人から独立できる喜びもいい。

そんな私は最近プロポースされた。相手は私より5つ年上で、とても愛情深く優しい人だ。あれほど懐の広い人はいないし、私は彼のことを非常に尊敬している。

彼は山奥の工場で開発をやっていて、私は都会の出張所で彼の作る製品を売っている。新幹線で2時間かかる距離が私たちの間に横たわっている。月一回会うか会わないかの遠距離恋愛はとてもしっくりきていたけれど、私はなんとなくOKした。もう20代後半だし、この人しかもう、愛せないと思ったし、結婚してもいいころかな、と思った。

でも、そしたら私が辞めないといけないわけで、でも、私は仕事が大好きなわけで。彼は一緒に住みたいからプロポーズしたわけだし、一緒に住まないという選択肢はないみたいだ。

私は仕事を辞める選択肢がなくて、2人でどん詰まりにはまって、彼氏限界が来た。普段決して発さないような拗ねた声で「君が仕事辞めないなら、じゃあ俺が仕事辞めてそっちで仕事探す」って言いだしてびっくりした。彼がそういう、人を困らせるようなことを言ったのは初めてだった。

彼が辞めたら、困る人がたくさんいる。彼は良く働いてとても明るくて、仕事もできる。私と彼と天秤にかけたら、彼に傾く。任されている仕事の多さも、責任の重さも、知識の重さも、発言の重さも、肩にずっしり積もる会社から期待の重さだって段違いだ。

私が辞めるべきなんだろうなって思う。わがままを言い続けていた私は、彼のわがままに脅されてびくびくしながら転職サイトを開く。

別れるという選択を私が選べない以上、どうするべきも、こうするべきもない。

どん詰まりの私が繰る就職サイトが色鮮やかに目を焼いて、目をつむっても離れない。

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