和田氏「間違った歴史認識から正しい問題解決は生まれない。慰安婦問題解決で重要な原則は、被害者本人が納得できるやり方でなければならないということだ。安倍首相は慰安婦問題解決で選択の岐路に立っている。1993年の河野談話と、日本による植民地支配を反省した95年の村山談話は、両国の歴史問題を解決するための終着点ではなく出発点だ。一度進み始めた道を逆行したり、過去に回帰しようとしたりするなら、歴史を後戻りするという意味で文字通り『反動』になってしまう」
李氏「2010年の韓日併合100周年で発表された両国知識人による共同声明と今年の声明の最大の違いは、欧米の知識人が本格的に参加しているという点だ。5年前、韓日の学者たちの学術的成果を土台に両国知識人の共同声明が誕生したように、今は日本の執権層の歴史歪曲を批判する共通認識が世界の知識人の間で広がっていると見ることができる。ノーム・チョムスキー米マサチューセッツ工科大学名誉教授、アレクシス・ダデン米コネティカット大学教授、ブルース・カミングス米シカゴ大学教授らが参加したことがその代表的な例だ」
和田氏「5年前は日韓知識人の視点が両国間の問題に限定されていたとすれば、これからは世界史的かつ巨視的な視点に広がるだろう。歴史の逆行を防ぐには、1894年の日清戦争から120年間にわたり東アジアで行われた戦争と日本の植民地統治を批判的に省察する方向へとわれわれも見方を広げるべきだ。そのため、韓中日の3国はもちろん、米国やヨーロッパの学者たちの参加・協力が切実に求められる」
李氏「日本の歴史歪曲に批判的な姿勢を持つ日本人学者に会った時、『日本の国益に反するのではないか』と尋ねたことがある。その時の答えが印象的だった。『より良い日本(better Japan)のためには正しい日本にならなければならない』という答えだ。間違った神話や虚構に基づく政治的行為は結局短命に終わる。国家主義が民主主義を圧迫しているのではなく、逆に国家が市民の意見に耳を傾ける社会にならなければならない」
和田氏「日本には天皇中心主義や軍国主義といった古い考え方にとらわれた勢力があるが、それとは反対に過去の戦争を反省し、民主主義や周辺国との関係改善を重視する勢力もある。これらの衝突の中で中間層は動揺しているように見えるが、歴史に逆行しようとする勢力が最終的に勝利することはない。日韓両国と世界の知識人、市民が団結して連帯すれば未来は決して暗くない」