慰安婦:特命委、強制連行を「非常に狭く」解釈

安倍首相、強制連行否定の提言書を「しっかり受け止める」
韓国政府「慰安婦の強制連行は国際社会が判定下した事実」

 今月28日午後5時38分、中曽根弘文・元外相が自民党傘下の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」委員長として首相官邸に向かった。特命委員会の中心的なメンバーとして活動してきた、同党の稲田朋美政調会長が同行していた。

 日本の記者たちのカメラのフラッシュが光る中、中曽根氏らは安倍晋三首相に黄色い封筒を手渡した。安倍首相が中に入っていた書類を取り出し、目を通した後「しっかりと受け止める。間違っていることは正さなければならない」と述べた。その書類は提言書だった。特命委が9カ月かけて作成したものだった。読売新聞や日本経済新聞などの日本メディアによると、提言書には「旧日本軍による強制連行はなく、日本政府は今後、このような点を世界に対し積極的に説明、反論していくべきだ」という内容が盛り込まれているという。

 日本政府は1993年、「河野談話」を発表した。第2次大戦当時「広範囲な地域にわたって慰安所が設置され、その過程には旧日本軍が直接・間接的に関与しており、慰安婦たちは本人の意思に反して集められた」として、日本の過ちを認めるものだった。

 安倍政権は昨年、この河野談話の検証に乗り出した。極右派の歴史学者で元日本大学教授の秦郁彦氏が検証グループを主導した。「強制連行」について検証グループは非常に狭い解釈をした。軍人・軍属などが人を無理やり連れていくことだけを「強制連行」と定義した。

 軍属の腕章をはめた業者が「軍人たちにご飯を食べさせるだけでいい」などと言って少女たちを連れていったという証言、軍がそのような業者を保護し督励していたという史料、軍が慰安婦の逃亡を防ぐため、銃を手にして監視していたという証言などは、十分に反映されなかった。

 検証グループは昨年6月、このような狭い意味の強制連行はなかったとの結論を下した。それから4カ月後、今回提言書をまとめた特命委員会が設置された。産経新聞が「安倍首相は自ら積極的な動きを見せれば、国内外で『歴史修正主義者』との烙印を押されかねないため、党内の論議に期待している様子だ」と報じた直後だった。その「論議」がこの特命委だった。

 今回、特命委が提出した提言書で目に付くのは「日本は戦前から一貫して人権を重視し、平和を尊重する国家として歩んできた」という主張だ。ほかにも矛盾する点は少なくなかった。特命委は慰安婦制度について「女性の人権や尊厳を著しく傷つけた」と認めている。その上で「民間業者が女性たちを募集した」との文言により、旧日本軍の責任をあいまいにした。特命委は今後、日本政府が「国内外のメディアに対し、客観的な事実に基づく反論をし、外国の政府や議会に圧力を掛けるべきだ」と主張した。

 韓国政府の関係者は29日「慰安婦の募集や移送、管理の過程で強制性があったという点は、すでに国際社会が明らかな判定を下した歴史的な事実だ」とし「これを覆そうとする行動は即刻中断すべきだ」とコメントした。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
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