所得税改革に取り組む政府税制調査会(会長・中里実東大教授)は31日の総会で、世代間の負担と受益の公平性について議論した。経済的に豊かな高齢者が若者よりも手厚い税制優遇を受けていると指摘されている。非正規雇用の拡大などで低所得の若者が増えており、委員からは若年層を支える税制に改めるべきだという意見が目立った。
財務省が会議に出した資料によると、65~74歳の高齢層が持つ預貯金などの平均純資産は2046万円と25~34歳の若年層の約4倍。一方、1990年代と比べると30歳未満の若年世帯の平均年収は雇用環境の悪化などで減少している。
高齢者には年金所得の一部を課税対象から差し引く公的年金等控除が適用される。働きながら年金をもらう高齢者は給与所得控除という減税措置も別途受けられる。委員の土居丈朗慶大教授は、「高所得の高齢者がダブルで控除を受けることに疑問を持つ」と述べた。
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