安全保障関連法案を「国民に分かりやすく説明する」として、戸締まりや火事など、法案とは直接関係ない「例え話」ばかり披露している安倍晋三首相は30日の参院特別委員会で、新薬で自身の持病を克服した経験を、新たな例えとして持ち出した。
民主党の前川清成議員は、法案について「(新聞社のアンケートで)97・5%の学者が、憲法上、アカンと言っている。学者のほぼ全員が憲法違反と言っている」と指摘。その上で、こう切り出した。
前川氏 総理も難病を克服した。健康にはご関心があると思う。さまざまな健康法があるが、もし、医者100人のうち、98人が『あきません、死にますよ』と言った健康法は、取らないでしょう。それと同じことではないか。
ほとんどの医者が賛同しない健康法は、誰も実践しないだろうという例えで、安保関連法案は受け入れられないと指摘。首相は、こう言ってかわした。
首相 99%が健康に良くないと言われたものを、使うだろうかということだと思う。私の病気の場合は、長い間(新薬の)認可がなされなかった。多くの人が効用を認めていなかったのだ。10年前に認められなかったのが、認められ、これがよく効いた。科学的な調査の環境(が変化したように)、安全保障環境の変化もあるかもしれない。
首相は第1次政権で、持病の潰瘍性大腸炎が悪化した影響で退陣に追い込まれたが、開発された新薬の服用で克服し、現在に至る。
効用が認められた新薬の開発で病気を克服した経験を、今は反対が根強い集団的自衛権の行使容認が認められる、「願望」に例えたが、果たして…。