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【ビジネスの裏側】
「マッサン」効果に冷や水…売れすぎちゃって原酒不足 原材料高騰でウイスキー復権の正念場
日本のウイスキー業界が国産ウイスキー造りをテーマにしたNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」特需ゆえの“原酒不足”という難題に直面している。時間をかけて熟成させる原酒は増産するにも数年かかり、想定以上の需要に対応できないのだ。メーカーは商品の絞り込みや出荷調整を進め、熟成期間の短い原酒を使用するなど“やりくり”に躍起だ。海外のコンテストで最高賞に輝くなど世界的に評価が高まるなか、原材料高による値上げが追い打ちをかけ、ブームに冷や水を浴びせかねない状況に危機感が募る。(中村智隆)
アサヒ、原酒不足で選択と集中
「マッサン」のモデル、竹鶴政孝氏が創業したニッカウヰスキーを傘下に持つアサヒビールは主力ブランドの「竹鶴」の商品ラインアップをそのまま維持する一方、「余市」「宮城峡」の両ブランドを9月にリニューアルする。「10年」「15年」など熟成年数を表示した約10種類の販売を終了。熟成期間の短い“若い”原酒を使い、年数を表示しない「ノンエイジ商品」に絞り込む。
今春まで放送された「マッサン」効果で売り上げは好調だ。今年1~6月の「余市」と「宮城峡」の販売数量は前年同期比約2・2倍となっている。主力ブランドの「竹鶴」に至っては3・2倍に上っている。ではなぜ、この好機に品ぞろえを減らすのか。
背景には、ウイスキーの原酒が不足しかねないという危機感がある。原酒の熟成には数年単位の長い期間が必要で、需要が急に増えても原酒をすぐに完成させることはできない。アサヒの担当者は「限られた原酒を有効に活用していくしかない」と説明する。
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