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27話目 これでいいのだ。
フィーガルさんの新たな一面が…。
今日は午後の講義が休講の為、昼飯にラーメン屋でラーメン餃子半チャンセットを食べ、アパートに帰る。
ログインの準備をしているとき、昨日の約束を思い出した。
「梅、手入れ…で検索っと。」
ふむふむ?太い枝につく支枝をある程度払う?時期は花の咲いた後?実が多いとちゃんと育たないから摘果する…、6月に収穫?
サイトに書いてあった内容をメモしてログイン直前まで暗記する。…箇条書きしてあって助かったぜ。
「こんちは~、フィーいるか?」
「にー?」
「お、ミスト。フィーは?」
「に、ににー!」
ドアの横のボードを尻尾で示すミスト。
「なになに?食事にいく?」
「に!」
「ふーん。…お前、飯は?」
「!」
飯と聞いた途端に足元でぐるぐる言い始めた。
「…はいよ、暫く待てよ。」
「に!」
とは言っても、食材はあまり無くなってきたんだよな。
…お、ストレージに大量のワイルドベリーが…。小麦粉に、蜂蜜、チーズ、猪肉が1つ、ゼリープラム。
「キッチンには…、基本調味料に油くらいか。」
「に~?」
「…甘い物、大丈夫か?」
「に!」
「またクレープかな。…でも、まずは。」
ワイルドベリーを取り出す。
スモールレインでベリーを洗い、ヘタをとる。
火にかけた鍋にワイルドベリーを入れ潰しながらまぜ、砂糖を入れる。
ワイルドベリーは酸味が強いからレモンは入れない。
しばし、煮詰めると、ジャムになる。…リアルより時間がかからないのは、まあ、ゲームだしな。
・[苺ジャム]
:ジャムの王道、苺のジャム。このままパンに乗せるもよし、菓子の材料にしてもよし、紅茶に入れるのもオシャレ。
HP回復:2%
全部ジャムにした。20個位になったな。
…出来たジャムをとりあえず深皿に入れようとしたら、保存ビンがポンッと音をたてて出てきた時は驚いたが。
「に!に~!」
「ん?味見するか?」
「に!」
小皿によそったジャムをミストが舐めてる間に小麦粉を溶き、少し蜂蜜を入れてみる。
生地を焼き、今度はあえて甘みをつけないクリームチーズを少量塗り、たっぷりのジャムを乗せ巻く。
・[苺ジャムのクレープ]
:ほのかに甘い皮にたっぷりの苺のジャムが乗ったクレープ。甘くないクリームチーズが味を引き締めている。…小賢しい。
HP回復:6%
ちょ、説明文!なんだ最後の!
なんとなく、納得いかない気分になりつつ、ミストが食べやすいように小さく切ってやる。
「ほら、そんなに熱くないと思うけど、気をつけろよ?」
「に!」
旨そうに食べるミストを見ながら、1ビン使い切るのに2つクレープを焼く。
ふと、物音がしたので振り向くとフィーが帰ってきていた。
「…グレアムに怒られながらご飯を食べてきたのに、クレープがある…。」
「お帰り。…決められた時間に行かないのが悪い。デザートに1つどうだ?」
「…食べる。」
食べ始めたフィーにサイトで調べた手入れの方法を伝える。
「まあ、この国の、てか人族の至宝なんだろうし、実際に作業するかは任せるよ。」
「むぐ…、その事で、レオがテッドに会いたいって。」
「…レオ?誰だ?」
「この国の国王。」
「ぶっ」
国王を呼び捨てかよ!…て、その国王が誰に会いたいって?
「大丈夫、ふざけた事したらバラすって言ってある。」
…国王の何をバラすの?国が割れるような話ならバラすなよ?…それとも物理的にバラすつもり? 聞きたいけど、聞きたくない…!
「ご馳走様。…それじゃ、行こう。」
「お、おい、すぐか?大丈夫なのか?」
「大丈夫、レオは私を無碍にしない。」
…出来ないの間違いじゃなくて?
目の前には頭痛を堪えるような顔をした国王、〈レイオス・ヒュマノ・ゴブレット〉がいる。
謁見の間に来たフィーは、王に会わせろと近衛に告げ、近衛は手続きをするように詰め寄るのだが、「フィーガルが来た。12歳、マルゴット、と言えばすぐ来る。」と言って謁見の間の奥にある一室に入ってしまった。
それが、五分前だ。
…五分で国王をパシらせるフィーガル老師、パネェっす。
「…なあ、フィーガルよ。俺も38になる。そろそろ、子供の頃のあれそれで呼びつけるのは勘弁してくれ。…今だって、書類仕事をしてたんだよ。」
「たかだか、38。せめて50になってから偉そうにするといい。」
「…、いや、真面目に妻にああいう話するのやめてくれんか?…全部搾り取られんだよ。」
「…仕方ない。じゃあ14の時に「竜を倒して国の名を〈竜伐の勇者王の国ゲオルギウス〉にするとか言ったこと。」
「…ごはぁっ!」
…ちょっ!
「それか、13の時の、木剣に彫刻を施して「フハハ!我が魔剣の一撃を受けよ!」と言ってミストにかかって行って、一撃でやられた事。」
「…っ、……っ、…。」
もう止めてぇ!国王の心のライフはもうゼロよ!
「とりあえず、神樹に新しい治療をするから、この書類にサインを。」
「…もう、好きにしたらいい…。」
と、言いながらサインする国王。
俺に会いたいって話なんだがいいんだろうか?
サインするとフラフラと出て行く国王。
「…これで、面倒はなくなった。」
…!?まさか、全てフィーの手のひらの上か!?
「…ふふ、計算通り。」
…これでいいのか!?
数百年間、王家に仕えてますからね。そりゃ、王族の弱みの一つや10個や100個、簡単に出てきますよね?
ちなみに、フィーガルさんもTPOはわきまえてますから、ごく一部の人達の前でしかやりません。
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