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26話目 有り得ない治療
「…桜、切る馬鹿、梅、切らぬ馬鹿。」
「…なに?」
思わず呟いた俺にフィーが聞き返してくる。
「…いや、俺の生まれた国の諺でさ。神樹に似た梅の樹と、桜と言って薄桃色の花をつける樹の手入れの違いが元になった言葉なんだ。」
確か、桜は切り口が腐ったり病気になりやすいから切ってはいけない。梅は余計な枝を切らないと花や実がつきづらい、だったっけ?
フィーにもそれを伝える。
「……切るの?」
「あくまで梅は、な?…てか、森や林の樹だって間引きや枝払いくらいするだろ?」
「…神授の神樹を傷つけるなんて発想はなかった…。」
…ああ、庭師や樹医の知識が問題じゃなく、信仰心の問題か。「とりあえずさ、もう少し仕事を教えてくれるか?明日来るまでにある程度調べとくよ。」
「…………、わかった。」
すごい間があったな。
まあ、長い間の命題が解決しそうなんだし、躊躇いもあるだろ。
「…テッドが頑張ってくれるなら、私も私の出来る最大級の努力を約束する。」
何やら気合いが入ってるフィー。
「…おう?頑張れ?」
「…ん…!」
…、
……、
………、
「らめぇ!無理!もう無理!」
「…ん、まだ、しっかり腰を使って。」
「壊れるっ!壊れちゃうから!」
「…癒せ、水妖精、アクアヒール。…これでもっと頑張れる。」
「ひぃ!」
…フィーがスパルタだった。休みなしでひたすら薬草や野菜を収穫、雑草抜き、肥料の鋤こみなど、主に腰にくる作業ばかりやらされた。
しかも、(腰が)壊れるから赦してと言っても水の妖精に回復させて解放してくれないのだ。
あの時に感じたのは間違いじゃなかった。…コイツは師匠の同類だ!
最初に名指導者っぽかったのはなんだったんだ!?
終わった時にはクタクタだった。いや、精魂尽き果てた。
しかし、指導としては完璧なのか、農夫のレベルはめっさ上がった。…あ、あと新スキル。
Level Up !
name テッド
lv.11 job.農夫lv.12
装備
軍用エンピ(ATK+15 DEX+8) 青色のツナギ(DEF+6 AGI+5) 中古の革靴(DEF+1) コーちゃんの思い出(AGI+1 LUC+5) 女王蜂の羽飾り(AGI+8 DEX+8)
status
HP 205
MP 109
ATK 40(+15)
DEF 40(+7)
MAT 11
MDF 19
AGI 23(+14)
DEX 40(+16)
LUC 11(+5)
New Arts!!
・(鎌)[スローエッジ]
:鎌を投げつける。要回収。
New Magic!!
・[チェンジシード]
:植物を種にする。成功率はプレイヤーレベル、ジョブレベル依存。
・[トラップ ライトニング]
:範囲指定型設置魔法。範囲が広いほど威力が下がる。指定範囲に侵入した者に雷系魔法ライトニングを落とす。
New Skill !!
・[薬草応用知識]
:薬草の使用効果上昇及び、薬草調合ボーナス。
たぶん、薬草園の植物をメインで世話して、フィーもその薬草の知識を披露してくれたから手に入れられたスキルだ。
調合は兎も角、使用効果上昇は嬉しい。
スローエッジには突っ込まないぞ。なんだよ、要回収って。
トラップ魔法は、電気罠?これで畑を守ればいいのだろうか?
一番気になるのはチェンジシードだ。これはつまり、育てる植物は買わずに自分で手に入れる事が出来るって事か?しかし、成功率があるって事は、神樹みたいな特殊な植物は量産できない…させないってことか。
「テッド、お疲れ様。」
フィーがコップを差し出してくる。そのまま飲み干すとほのかに甘みを感じた。
「…っふう、ご馳走様。甘かったけど、これなに?」
「ただの水。小屋に蜂蜜が置きっぱなしだったから少し入れてみた。」
…ああ、クレープを作った時の。疲れた身体に甘みが染みていい感じだし、グッジョブだ。
「ああ、ありがとう。使いかけだけど良かったらそのまま使ってくれ。」
「いいの?」
「ああ、俺はまだ持ってるし、かまわないよ。」
「ありがとう。…今夜のご飯にする。」
………。
「ご飯は食堂に行きなさい。グレアムさんが怒るんじゃないの?」
「……………、仕方ない。」
なぜ、神樹の話を打ち切った時より考えるのか…。
スパルタ老師。
…そう、あの時のテッドは、あんな事になるとは、思ってもみなかったのです…。
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