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■寺島実郎氏(日本総合研究所理事長)

 ――翁長知事の話を受けて、今の沖縄に関する問題をどのような視点で捉えればいいか。

 寺島氏 終戦と本土復帰の2回、沖縄には独立のチャンスがあったが、戦後復興の中で平和と民主主義を求めた日本への復帰を選んだ。日本に翻弄(ほんろう)されてきた沖縄に対し、同情や哀れみではない、上から目線でもない態度が問われている。

 日本人の大半は、日米合意した問題を蒸し返して何になる、固定概念のように「辺野古しかない」と繰り返すが本当にそうなのか。冷戦後のドイツは駐留米軍の安全保障上の優先度をチェックして基地縮小に入ったが、日本はそのプロセスを踏まなかった。21世紀の東アジアの安定を視界に入れ、日本と米国はどのような同盟関係を構築していくべきか。その文脈で沖縄の基地のあり方を議論すべきだ。

■佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)

 佐藤氏 構造的な差別の問題だ。サンフランシスコ講和条約の時、日本と沖縄の基地は9対1だった。沖縄返還前後には5対5。今は1対3。47人の学級に例えると、沖縄は1カ月のうち3週間「便所掃除」を担当している。辺野古の新基地は廊下掃除もやれということで、負担強化以外の何物でもない。差別が構造化されているから、差別している側は自分が差別者だと自覚していない。

 辺野古に基地は造れない。海に土を入れても、その土を沖縄人は掘り出して原状回復する。琉球処分以降、日本は沖縄人を同化することに失敗したと認めた方がいい。国際基準で見るなら沖縄で起きていることは民族問題だ。しかし、沖縄は自己決定権を行使して自発的に日本の一員であることを望んでいる。それが担保されるなら、雨降って地固まる。辺野古の騒動は沖縄と日本の信頼関係を構築する入り口になるかもしれない。

■山口昇氏(元陸上自衛隊研究本部長)

 山口氏 大田昌秀氏の県知事時代に話を聞いた時、「日米同盟は日本のためにもアジアのためにも大事。なぜ基地は沖縄だけなのか」とおっしゃった。返す言葉がなかった。

 中国とはしっかり付き合い、戸締まりもする。南西諸島は東シナ海と西太平洋を分けるすだれのような所であり、日米の同盟体制でしっかり守るのが日本のたたずまいだ。三つしかない米海兵遠征軍司令部の一つが日本にあることは抑止力の信頼性を増す。米国との同盟は世界の公共財。それを維持するための責任を日本人全体で分担する気持ちがなければ、この問題は解決しない。

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寺島実郎(てらしま・じつろう) 日本総合研究所理事長、多摩大学長。早稲田大院修了。三井物産常務執行役員などを歴任。67歳。

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佐藤優(さとう・まさる) 作家。同志社大院修了。在ロシア大使館勤務、外務省主任分析官などを歴任。55歳。

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山口昇(やまぐち・のぼる) 東京財団上席研究員、国際大教授。防衛大学校卒。陸自研究本部長などを歴任。63歳。

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