梅雨明けまでもう少し。
京都・大原は曇り空。
草の匂いが濃く香ると山里の生き物たちが元気になってくる。
大原名物のアカシソもそろそろ収穫の時。
築100年の古民家の庭。
こんもりとした緑に包まれて花が際立つ。
初夏の庭仕事に忙しいベニシアさん。
ユリの葉に食器洗いで残ったせっけん水をかける。
何か水の節約で皿洗ってちょっとだけせっけんが入ってたら虫が来ないから。
昔は虫よけのもの何にもないから皆あるものでやってたと思うから。
何か去年猿がいっぱい来てユリを食べた。
でもこういうふうにつけたらもしかしてちょっとせっけんぽい匂いあるからやめとこうと思ってほしいなと思ってるんだけど。
天然成分のせっけんを使っているのでユリを傷めずに虫よけできるのではと思っている。
あわよくば猿よけにも。
願いを込めて。
ベニシアさんの裏庭に新しい主役が現れた。
淡いピンクが美しい…虫がつきやすいので今まではあまりうまくいかなかった。
こんなに見事に咲いたのは初めて。
「美しい花たちは庭からのギフト」とベニシアさんは言う。
今からウコンここで植えてみると思ってます。
この間沖縄行ってお土産でもらったんですけどいけるかなと思うけど冬は多分大原寒いからとりあえず植木鉢に入れようかなって。
土は今日は普通の堆肥が入ってる大原の土とこれヤシの皮少し混ぜて入れます。
ベニシアさん初めてのウコン栽培。
ヤシの実の殻から作った保水性のある肥料を東南アジア原産で湿気が好きなウコンのために入れてみる。
じゃあちょっと入れます。
根っこがポイントですからあんまり浅いと大きくならないと思うから。
この辺にちょっと載せて。
また土入れる。
ウコン…沖縄から出て京都・大原で場所が変わるけど元気になったらいいけど。
これ根っこが少しあるから多分大丈夫と思うんですけど。
仕上げにためておいた雨水をたっぷりと注ぐ。
ウコンは秋に美しい花が咲くという。
沖縄の友人に教わった。
ベニシアさんの庭のあちこちに芽を出しているシソ。
自生してるシソを取ってシソの畑に入れたい。
何か毎年出てくる。
だから大原…多分種が飛んで毎年出てきますからね。
だから…何か見つける時が面白いのね。
あっまた…あるし。
自然に出てくるシソは大原ならではの恵み。
何か大原はホントにシソがきれいやね。
紫とグリーンのコントラストがすごい。
シソの苗は家の向かいにある畑へ持っていく。
今ベニシアさんの畑を彩るのはジャムにするカシスや自家製シャンプーを作るヤロウの花。
まだ赤ちゃんのシソを畝に植えていく。
これを植えたらここまで来たら間引きしてそれで少しジュースを作る。
最後ここまで来るからその時全部切っちゃう。
それは大体8月の初め。
うん。
フフフ。
何か何とも説明できないね。
匂いを説明するの難しい。
何かすごいね。
どんな植物でも匂いが違うのはすごいな。
夏ベニシアさんの食卓にシソは欠かせない。
買い物籠をぶら下げて散歩に出るベニシアさん。
大原にあるなじみの漬物屋さんへ。
こんにちは。
ああこんにちはいらっしゃい。
今日暑いですね。
友人の…何か今日ちょっと漬物買いに来たんだけど。
これは私大好き。
いつも夏でこれを食べるのが大好き。
子どもさんもお好きでしたですよね。
程よく漬かったキュウリの昆布漬けを頂く。
うんおいしい。
今ちょうど地元のキュウリですからおいしいと思います。
これ塩にちょっと漬けてるよね?はい。
お昆布で漬けてます。
おいしい。
ビールにたまらんですよ。
あっそう。
ホント。
店先に並ぶ20種類以上の漬物は全て手作りのもの。
これは何ですか?今年私の息子が漬けた菜の花漬けのぬか漬けですね。
ぬか漬け。
ぬか漬けはベニシアさんの大好物。
うんおいしい。
ぬか漬け私でも作れるかな?大丈夫ですよ。
ちょっとだけ教えてほしい。
ぬか漬けは息子が専門ですからあとで息子のとこ行って聞かれたらいかがですか?ご案内します。
これおいしい。
これが伝統のしば漬けですね。
うん。
多分主人がこれ好きかもしれない。
このしば漬けですね実は大原に伝わるしば漬けはおナスのしば漬けですね。
それ何年前から?800年。
800年前から!?それでシソあったんですか?そのようですね。
自生で結構あったようです。
へえ〜。
シソもすごく体のためにもいいしね。
しば漬けはすぐきや千枚漬と並ぶ京都三大漬物の一つ。
大原が発祥の地といわれる。
久保さんのシソ畑では今年最初の収穫が始まった。
畑を主に管理するのは…育ちのよいものを選んで間引くように収穫する。
盆地でしょ?山に囲まれてね。
昼と夜の温度差が激しいので結局おいしさをため込むというか。
それと大原のシソね種屋さんに売ってるシソと違うて代々受け継いできてるんですよ。
特有のシソっていう。
これ見てもらったように葉っぱが波打ってるでしょ?これはちりめん種っていう色がとっても鮮やかでなかなか色があせないんですよ。
それと香りがいいです。
更にこの葉っぱが肉厚で食べ応えもあるし色味香り三拍子そろってんのかなと。
収穫したシソはすぐに水洗いする。
新鮮なシソがおいしいしば漬けに欠かせないからだ。
大原生まれの大原育ち。
久保さんにとってしば漬けは人生そのもの。
久保さんは漬物店の3代目。
遊び盛りの少年時代からシソでナスを漬け込む日々だったという。
物心付いた頃からしば漬け作りが横にあったという感じで特にしば漬けは夏休みに引っ掛かりますので友達やらは川でガンガン遊んでんのに私はしば漬け作りが夏休みの全てだったように思ってますね。
でもそれが楽しみでもあったんですけどね。
家族と一緒に作業できるいう事でね。
季節になるとしば漬けを求めて全国から大勢のお客さんが訪れる。
それがやりがい。
だからしば漬け作りはやめられない。
お客さんからじかに声を聞けるっていうのがやっぱり何よりやりがいを感じましたしやはりいいものを作るのが務めかなと思ってますけどね。
それが天職に思えてしば漬け作りに支えられて元気でここまでこられたのかなとは思いますけどね。
材料はシソの葉とナス塩だけ。
それが代々受け継いできたやり方。
手早くしっかりと塩をもみ込む。
(勝)ええ匂いしてるわ。
その塩加減が大事です。
仮に塩がようけ過ぎて辛くなると色が赤く出ないんです。
そしてあとで塩だけ抜き取る事ができないんです。
ですから塩加減が大事ですね。
よいしょっ!たるに移したら90kgのおもしを載せる。
(勝)最初はねおもしを思い切り利かすんです。
この時のおつゆは不要なおつゆなので一気に出してしまう。
1時間で半分ほどにかさが減る。
(勝)あく汁を入れたら駄目なのでただちに捨てなならんのです。
余分なあく汁を流して2つのたるを1つに合わせる。
(勝)おもしの具合がよかったんです今日。
(統)この80でいいんかいな?
(勝)うん80。
おもしが90から80に減ってます。
2番目やからちょっと緩めていきます。
そして明日の朝の総仕上げはまたこれが1つ減ります。
そんな具合で段階的に。
やっぱりきっちり丁寧に漬けるとおいしいしば漬けが間違いなく出来ますしどうやらそれがおいしいしば漬けの秘けつ…。
大原のシソで作った昔ながらのしば漬け。
シンプルな事を丁寧に。
プライドを持って伝統をつないでいく。
ここの上には三千院あるのね。
ぬか漬けに憧れていたベニシアさん。
漬け蔵に案内してもらう。
こんにちは。
(統)ああこんにちは。
御無沙汰してます。
お店ね寄ってくれはった。
何かすごい匂いがいいから。
今ね…。
梅干しかな?そうです。
梅干しになる南高梅の漬け替え作業です。
ほんでここにもうちょっとしたら大原で取れたうちの畑のアカジソ入れて。
ほな1個分ベニシアさんかじってみたらいい。
これがピンク。
(統)軟らかいです。
あっそれおいしそうやな。
すごい酸っぱい。
匂いと全然違う感じ。
うんでもおいしい。
これは…うんおいしい。
おいしい?よかった。
これ僕漬けてるぬか漬け。
それ習いたかった。
キュウリが入ってるな。
これ自分のために作ってるの?これ自分のために。
家で食べる分で。
どのぐらい置いとくの?これで僕は冷蔵庫に入れてるんで2日ぐらいですね。
よかったらちょっと食べてみますか。
試しにトマトなんて入れてみて。
珍しい。
トマトのぬか漬けは初めて。
うんおいしい。
おいしい?おいしいね。
それほどぬか漬けらしくはないけどちょっとしっとりした感じで。
あっさりしてて。
大根やナスなどどれもおいしいので味見が止まらない。
ぬかだけでも置いといたら大丈夫ですか?冷蔵庫に。
野菜が入ってなくても混ぜなきゃ駄目。
あ〜そうか。
それがポイントよね。
それがポイント。
置いといたら駄目ね。
3〜4日は大丈夫ですけど1週間1か月置いといたら開けたらとんでもない事に。
あっそう。
ベニシアさん幸運な事にぬか床を分けてもらう。
また楽しみが増えましたね。
うん。
野菜入れてたら水分は多くなるからぬかを足したりとか。
ああ〜。
はい。
ありがとう。
うれしい。
ちょうど大根だったらこれぐらいだったら入る。
ジャパニーズソウルフードです。
そうですね。
1回やってみて下さい。
はいありがとう。
大原の野菜でおいしい漬物作り。
夏はもうすぐそこまで来ている。
悠仁今日ちょっと手伝ってほしい。
うんいいよ。
ベニシアさん高校3年生になる息子の悠仁くんと久しぶりのデート。
バスで南へ15分ほど一乗寺。
この町には悠仁くんが産まれた家がある。
懐かしい。
あそこよ。
ここ?あっここかこれ。
ちっちゃい時産まれた悠仁が。
あっそうなんだ。
懐かしい。
ここは15年前に大原に引っ越すまで家族で暮らした家。
子育てに追われながらも楽しかったあのころ。
緑が多いから庭もハーブもやってて野菜もちょっと作ってでも猿がよく来る場所。
ああ猿が。
猿がカボチャとか食べて。
でもやっぱり今まで日本ですごく家の出会いが…。
いい感じな…。
いい感じばっかり。
いい所ばかり見つけた。
とうさんは悠仁が産まれた時全然変わったよ。
そうなの。
お風呂は是非おとうさんがやりたいとか抱いてあげていろいろ遊んでたよ。
そうなんだ。
悠仁くんをベビーカーに乗せてよく通った商店街がある。
一緒に来るのは随分久しぶりの事。
懐かしいな。
こんにちは〜。
こんにちは久しぶり。
悠仁を連れてきたの。
40年前からここで鮮魚店を営む北さんの店には朝仕入れた新鮮な魚が並ぶ。
魚が欲しいな。
ええ刺身を食べさせてあげたらびっくりするのよ。
日本のお魚がこんなにおいしいって。
だってイギリスではありえないから。
ねっ?信頼に応えられるように品物を…いつもフレッシュな魚を用意してね。
今日はカルパッチョを作ろうかと思って。
旬の魚がいいね。
おいしい。
今の時期はスズキがおいしいね。
あっそう。
(北)食べてみたら?おいしいよ。
味見をしておいしいと思うものを買ってもらうのが北さん流。
自信を持って薦められるもんやったら食べてもうて満足してくれる。
…で薄〜く。
早速一押しのスズキを味見。
どうぞ。
頂きま〜す。
うん!おいしい?おいしいです。
めっちゃ。
さっぱりしてる。
そうそうそう。
うん…うん。
うん。
ベリーグッド。
すごくいい。
ちょっとおいしいもんがあるとめちゃくちゃハッピーね。
新鮮な魚と庭のハーブで悠仁くんの好きなカルパッチョを作る。
カルパッチョを作りたいと思ってます。
簡単にできますから。
まずニンニクを切って…。
香りづけにニンニクの切り口を皿にこすりつける。
そのあとにシソを…。
庭で取れた香り高い青ジソは彩りにもなる。
そして刺身。
魚を切るのはちょっと苦手と言うベニシアさん。
スズキヒラメタイサーモンをできるだけ薄く切って皿に並べていく。
今度はレモン汁。
種を落とさないようにスクイーザーでレモンを搾る。
パセリの代わりにディルを使うのがベニシア流。
少しずつ。
有名な料理はサーモンと一緒にディル。
あとジャガイモと一緒にディル。
ディルを食べたらちょっとリラックスするね。
だから私悠仁が小さい時さ湯にディルを入れてしゃっくりを治す。
次は塩。
ちょっとだけ。
これがおいしいんだね。
オリーブオイルちょっと。
バルサミコもし好みですけどちょっとだけスプレーする。
はい出来ました。
仕上げに食べられるボリジの花を添えて。
ディルをたっぷり使った初夏の薫り漂うベニシア流カルパッチョが出来上がった。
すごい。
これイギリスのお百姓さんの弁当みたいな。
そうなの?プラウマンズランチ。
高校生活最後の夏を迎えた悠仁くん。
う〜んおいしい!おいしい?おいしいめっちゃ。
何かすごい懐かしい。
これ作ったから。
カルパッチョもおいしいな。
ディルは結構合うんだよ魚と。
うん。
これやっぱりさっぱりしてるわ。
やっぱりフレッシュよね。
出来たてのパンとか出来たてすぐ…。
出来たてがおいしいよね。
それで野菜がすぐ土から出て1日以内に食べる。
新鮮な野菜もおいしいし。
いつの間にか大人の会話ができるようになった息子がちょっとまぶしいベニシアさんの大切なひととき。
2015/07/26(日) 15:00〜15:30
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手・選「初夏の味」[字]
草の匂いが濃く香る京都・大原。庭に自生したシソを摘み、畑に植えるベニシアさん。友人の営む漬物屋で、しば漬け作りを見学。なじみの魚屋で買った魚でカルパッチョ作り。
詳細情報
番組内容
梅雨明けまでもう少し、草の匂いが濃く香る京都・大原。庭に自生したシソを摘み、畑に植えるベニシアさん。友人の久保勝さんが営む漬物屋を訪ねる。代々受け継がれてきたしば漬け作りの技術は長男・統(はじめ)さんに受け継がれている。ベニシアさんは息子の悠仁くんと久々のデート。悠仁くんの生まれた町を訪れて思い出話に花が咲く。ディルを使って昔ながらのイギリスの軽食とカルパッチョを作り、悠仁くんとランチを楽しむ。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範
おしらせ
[NHKワンセグ2]一部地域では高校野球を放送するために、放送をお休み、または放送時間を変更する場合があります
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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