情熱のシーラ(7)「潜入の序曲」 2015.07.26


(ロザリンダ)シーラ。
これから会う記者にあまり期待しないようにね。
(シーラ)困ってる人間と取り引きするような人を信用したりしないわ。
(マーカス)お母様の状況は?相当危険なんですか?
(バスケス署長)昨日のケガをしたイギリス人は誰です?すぐ人を信じてはいけない。
よからぬ人間とつきあって痛い目に遭ったはずだ。
頼んだものは?ドイツ領事館の文書をもっと入手できないか?結局何が言いたいんです?私を守りたい?それともまだ信じられない?
(バスケス)取り返しのつかないことをさせたくないだけです。
(兵士1)待て。
待て!
(車のブレーキ音)早く乗って!
(車の急発進する音)
(フェリックス)歓迎会にはそうそうたる顔ぶれがそろう。
この町の大物が勢ぞろいってわけだ。
僕の仕事は情報を得るための手段を探すことです。
で私にその手段になれと?周りはみんなドイツ人だ。
興味深い。
あの会話が聞けるなら何でもするのに。
でもあなたならトロイの木馬になれる。
なります。
木馬に。

(シーラ・キローガ)アァ…。
ハァ…。
ハァ…。
ハァ…ハァハァ。

(ノック)
(扉を開ける音)こんにちは。
シーラ・キローガといいます。
ロザリンダさんに会いたいんですが。
(使用人1)どうぞ。

(ロザリンダ・フォックス)イチニサン。
はい!アァ…いい?イチニサン。
それ!
(ジョニー)ハーッ。
あ〜あ残念!イチニサンそれ!あ〜あダメダメダメ。
イチニサン。
あ〜!いい?イチニサン。
ああ!すごい!また勝ったじゃない。
お利口ね。
ウフフフッ。
ウーン。
それ!ウフッ。
もう一回?よ〜し。
それ!こんにちは。
ああ!シーラ。
来てくれたの?息子のジョニー。
ジョニー。
シーラよ。
こんにちは。
ウフフフッ。
ジョニー。
ちょっと庭でお友達と遊んでて。
仲よくね。
いい?庭へ?ええ。
ウフン。
ほら。
(足音)具合はどう?みんなに言ってることと事実。
どっち?事実のほうを聞きたい。
自分が思ってたよりずっと悪い。
ねえここに座って。
ゆっくり話をしたいから。
フアン・ルイスは疲れだろうって言ってた。
歓迎会もあったしずっと忙しくしてたからって。
そのとおり。
でもそれで寝込んだわけじゃ…。
フアン・ルイスが知らないこともあるの。
寝込んだ原因はこれ。
ピーターがもうすぐモロッコに来るのよ。
ピーターって誰?フッ。
誰ってシーラ。
私の夫。
ご主人とはもう別れたんでしょう?ただ別に暮らしてるっていうだけ。
じゃあ彼はここに住むの?でしょうね。
夫だから。
ハァアッ…。
アァ。
医者に診てもらった?いいの。
原因は分かってる。
ハーッ。
外に行かない?体のためにも少し出ないと。
ウッ…ウッ。
「牛結核」っていう病気を知ってる?私はジョニーを産んだすぐあとにその病気にかかったの。
治療できないの?慢性の病気よ。
毎朝目を覚ますたびにまた一日命を与えてくれた天に感謝してる。
でも何かできるでしょ?ウン。
温暖な気候と平和な暮らし。
それが薬よ。
悪くならないためには穏やかな気持ちでいることが一番。
だからインドを離れた。
夫も大賛成だったわ。
フッ。
一緒に来なかったの?ピーター?私がいなくなって清々してた。
私と息子を船に乗せたらもう知らん顔だったわ。
じゃどうして今になって…。
多分インドはもうイギリス人にとって楽園じゃなくなったのよ。
ピーターはヨーロッパに帰ろうとしてるのかもしれない。
あなたと?アッ。
それはないわ。
ここへはとりあえず寄るだけ。
息子に会ってついでに贅沢な休暇を取ろうと思ってるのよ。
フアン・ルイスのことは知ってるの?話してはいないけどピーターもバカじゃないから。
大変なことにならない?それはどうか分からない。
だから彼が来るまで思い切り楽しみたいの。
人生の最後の日々だと思って。
そんなこと言わないで。
大丈夫。
そんなに早く死ぬつもりないから安心して。
今は大切な人たちと楽しみたいの。
このすばらしい国で。
協力して。
ああ…。
アッ…。

(車の走り出す音)
(車の走る音)
(クラクション)ハーイ!シーラ。
おはよう。
おはよう。
ロザリンダ・フォックスです。
(フェリックス)存じ上げてます。
(キスの音)よろしく。
こちらこそ。
マーカスも誘ったけどかまわないでしょう?ええもちろん。
よかった。
会えてうれしいわ。
(マーカス・ローガン)僕もだ。
考えたんだけど今日は海辺でピクニックしましょう。
大丈夫?もちろん。
ええ大丈夫。
乗船完了?はい船長。
よしじゃ出発!
(フェリックス)シーラがよく言ってる。
自分の人生にとってロザリンダは掛けがえのない存在だって。
いい知らせがある。
お母さんがスペインを出た。
ホント?じきモロッコに着く。
いつ?まだ日にちは分からないけどすぐに会えるって約束するよ。
ありがとう。
フム。
お二人さ〜ん!
(フェリックス)早く!お酒持ってきてくれない?水じゃ酔えないよ。
これ本当なんだけどある時僕が教室で素っ裸の美女をスケッチしてたらいきなり母さんが現れた。
それもカンカンに怒って。
僕が教会へお供する時間に遅れてたからね。
ウフッ。
モデルを見た時の母さんの顔といったら…。
めんくらったような…。
でもちょっと喜んでるような。
なんたって息子が裸の女といたんだからね。
ウフッ。
怒らなかったの?怒る?いや。
彼女を夕食に誘ったよ。
ウソ!やるね。
お母さん最高!しかも最悪なことにその哀れなモデルは来た。
(3人の笑い声)ああ。
じゃあ乾杯だ。
こんな日が続きますように。
こんな日が続きますように。
ウーン。
よし。
ウワッ!みんなちょっと暗いから気分を盛り上げようね。
フッ…。
(蓄音機のゼンマイを回す音)お嬢さん。
ぜひ。
喜んで。
(蓄音機から流れる音楽)・「タタタンタタタン…」ウハハッアハハッ。
ウフフフッ。
アハハハッ。
ああ。
アハハハッ。
ほらちょっとこんなふうにやってみて。
(せきばらい)ウフッ。
アハハハッ!アッウフッ。
アハハハッ!アハハハッ!
(蓄音機から流れる音楽)ああ!ああ!ちょっと待って。
待って待って!あ〜あ!
(蓄音機から流れる音楽)ああ!すてき!これいくら?そんなにするの?どう?似合う?とってもきれいだ。
(蓄音機から流れる音楽)君に。
(蓄音機から流れる音楽)パス?申し訳ないけどお返しよ。
(笑い声)まったく信じられない。
やったわね。
ごめんなさい。
ツイてない。
さんざんだ。
(使用人2)奥様電報です。
ありがとう。
ツキに見放されてる。
かわいそうな人。
自分でもそう思う。
なんでそんなに負けるの?僕が教えてほしいよ。
(蓄音機から流れる音楽)どうしたの?ピーターからあと数日で着くって。

(呼び鈴の音)ブラウンさんよくお越しくださいました。
どうぞお掛けください。
(ブラウン夫人)こちらはミュラーさん。
お友達よ。
はじめまして。
(ミュラー夫人)服をあつらえるならここが一番だってブラウンさんが。
アァ…ありがとうございます。
お迎えできて光栄です。
それで今日はどういったものを…。
娘がタンジールで結婚するので式に着るドレスが欲しいの。
おめでとうございます。
ご希望のデザインや生地はございますか?そうね…。
ああ…。
この生地とってもすてきだわ。
ええ。
今うちにある中で一番いいシルクです。
でもなかなか手に入らない生地で残りはあと1着分しかないかと。
まあ…。
ええ。
くじ引きで決めましょうか。
アァ…でも先に見つけたんだからあなたがこれにすべきなんじゃない。
本当にいいの?どうもありがとう。
だけど残念だわ。
だってその色はギュンターのお気に入りなの。
ギュンターは私の主人。
ブラウンさんのご主人と同じ領事館員で彼の上司よ。
夫のためにも私たちはいいお友達でいないとね。
ねえやっぱり…あなたがこの生地を使ってちょうだい。
アッ。
でももう話は決まったのに。
ぜひあなたに使ってもらいたいの。
ありがとう。
うれしいわ。
あなたは友達よ。
(ジャミーラ)セニョリータ。
なに?ローガンさんがお見えです。
うん。
急用だそうです。
少しお待ちいただけますか。
マーカス。
お客様がいらしてるの。
お母さんを連れてくる仲介人と話したんだ。
今日着くって。
それを知らせたくて。
連れてくるのは町の外れまでだけど僕が迎えに行くから。
私も連れてって。
いややめた方がいい。
お母さんがどんな状態か分からないから。
会いたいの。
もうこれ以上待てない。
行くわ。
来なかったら?来るよ。
大丈夫。
僕を信じて。

(ハエが飛ぶ音)
(車の走る音)待ってて。
(車のドアの開閉音)ハァ…ハッ。
(ハエが飛ぶ音)
(車のドアを開ける音)母さん!ハッ…。
アァ…。
ハッハッハッハッ…。
ハーッ。
ハァハッ…。
見て母さん。
今日からここが母さんのうちよ。
奥は工房。
最近注文も増えて上流階級のご婦人たちがお客様なの。
ああ!彼女はジャミーラ。
家事を手伝ってくれるの。
料理がすごく上手なのよ。
こんにちはセニョーラ。
お食事は?よければトマトとチキンと魚もあります。
部屋へ連れてくわ。
行きましょう。
(足音)寝心地のいいベッドよ。
きれいな朝日も差し込むし窓から通りも見渡せる。
通りの雑音やお祈りを告げる声にもすぐに慣れるわ。
とても心地いいから。
休む前にお風呂にでも入る?
(ドローレス・キローガ)ちょっと横になりたい。

(礼拝の呼びかけ)アイスクリームがいいの?何味にする?チョコレートかな?チョコレートにしよっか。
アムニャムニャムニャ…。
(ピーター・フォックス)ロザリンダ。
フーッ。
ピーター。
元気そうだ。
やあジョニー。
こっちへ来てパパにキスしてくれ。
ジョニー。
パパ大きな凧を買ってきたんだ。
(足音)あなたのこと覚えてないのよ。
そのうち思い出すさ。
へえ。
いい部屋じゃないか。
君ならこれくらい当然だけど。
いつも猫みたいだって思ってた。
君はどこへ行っても必ずうまく着地する。
あなたの部屋はこっち。
同じ部屋じゃないのか?まあそれもそのうち何とかする。

(ラジオから流れる音楽)
(シーラの鼻歌)コンチャ・ピケールの歌。
マヌエラさんの工房で一緒に歌ったわね。
マヌエラさんどうしてるかな?パキータも。
何か知ってる?気持ちのいい夜だからよかったら一緒に散歩に行かない?今日はそんな気分じゃない。
外の空気を吸ったほうがいい。
このテトゥアンの町も見せたいし。
ほんの少し角まで行くだけだから。
約束する。
フーン。
(街の喧噪)母さん。
考えたんだけど落ち着いたら工房を手伝ってくれない?どうかしらね。
忙しくしてるほうがいいと思う。
ハァ…。
ね?・
(車のエンジン音)
(男の歌声)もううちに戻らない?ええ。
ああ…。
(蓄音機から流れる音楽)・
(ピーター)ちゃんと言っただろ!用意した服はベッドの上に置け!・クローゼットの中じゃない!それからまともなウイスキーが1本もないぞ!酒を買うのがそんなに難しいか!
(蓄音機から流れる音楽)
(ため息)
(使用人2)やめさせて頂きます。
どうして?ご主人が一日中どなりつけるんです。
私の何がいけないのか…。
待って。
今だけだから。
約束する。
すみません。
(ピーター)あんな出来の悪いメイドは今まで見たことがない。
これからも見ないわ。
もう辞めたから。
君は…お世辞にもいい妻とは言えない。
それにいい母親でもない。
ジョニーを絶対1人じゃ外で遊ばせないだろ。
甘やかしすぎだ。
でも一緒に暮らしてる。
(グラスを割る音)なに?ハァハァハァ…。
何でもない。
フン。
出かけてくる。
先に寝てていい。
それとメイドに片づけさせろ。
ハァ…。
もうメイドはいないわ。
シーラ。
ん?来てくれてありがとう。
すごくきれい!ありがとう。
ウン。
あなたこそすてき。
この私のどこがすてきなの?もうこんなにボロボロなのに。
私の人生は最悪!悪夢よ!今にもどうにかなりそう。
フアン・ルイスにも会えないし。
ハァ…。
彼とのことご主人は?多分知ってるけどあの人にはどうだっていいの。
(ため息)それってどういうこと?ここがもしインドなら世間体を気にして引き離そうとしただろうけどここじゃ知り合いはいないから。
まだよく分からない。
とにかくこれだけは言える。
ピーターには私なんてどうでもいいの。
ここへ来てやった事と言えば飲んだくれてお金をせがむ事だけ。
(ため息)ご主人どのくらいここにいるの?長くないといい。
あの人といると1秒が永遠に感じる。
ハァ…。
(ため息)ホントお粗末な町だ。
イギリス人と1杯やりたくても気の利いたバーの1つもありゃしない。
(クラクション)
(車のエンジン音)
(車のドアの開閉音)
(フアン・ルイス・ベイグベデル)こんにちは。
ピーター・フォックスさんではありませんか。
私は高等弁務官のフアン・ルイス・ベイグベデルです。
ええ知っていますよ。
お噂はかねがね聞いてます。
あなたはめったにない特別なお客様です。
奥様はこの保護領にとって大切なお方だ。
だからあなたにもぜひこのテトゥアンで楽しんで頂きたい。
何か必要なものがあれば言ってください。
ビール。
イギリスのビールを。
フフン。
それからポロの話ができる相手も。
よければジブラルタルへの旅を手配します。
あそこならどちらも楽しめる。
アッそうだ。
もし狩りに興味があればドイツ人の知り合いがイノシシ狩りを計画しています。
彼らも大歓迎でしょう。
どうです?考えときます。
ありがとう。
こちらこそ。
また連絡します。
ではフォックス夫人。
ごきげんよう。
(車のドアを閉める音)君にいい友達がいることは知ってたけどここまで力のある人だとはね。
君を見損なってたみたいだ。
そうね。

(パロマレス警部)買ってきましたよ。
このためにわざわざタンジールまで行ったんですから。
イギリスの新聞なんてテトゥアンには1つもない。
ハァ…何に使うんです?
(バスケス署長)新聞記者のローガンの事で気になる事がある。
直感だがね。
じゃあ署長。
私はその直感のために何十kmって離れた町まで行かされたわけですか?せめてもう少し詳しく教えてください。
そもそもいろいろと嗅ぎ回っているのが気に入らない。
あの男は信用できん。
何かあると?それが何も見つからないんだ。
ずっとイギリスの新聞を調べてるがベイグベデルへのインタビューもモロッコのルポも何一つ見つからない。
そりゃ私もやつが真っ白だとはこれっぽっちも思いませんがイギリスの新聞が全部こっちに届くわけじゃないんですから。
勘違いするな。
まだ彼がクロだとは言っていない。
ただ記者なのに何の記事も出していないのは妙だと言ってるだけだ。
「妙」ですか…。
だから念のためこれまでどおり監視を続ける。
任せてください。
だがくれぐれも慎重にな。
言ったようにまだシッポをつかんでない。
しかも相手はやっかいなイギリス人だ。
分かりました。
(ドアの開閉音)
(ノック)はい。
(ドアを開ける音)
(兵士2)失礼します。
お客様です。
ありがとう。
君はもう下がっていい。
アァ…。
(キスの音)ハァ…アァハァ…。
うれしい。
会いたくてたまらなかった。
私もだ。
元気だった?痩せたんじゃないか?大丈夫。
心配しないで。
あなたに会えて元気になった。
でピーターは?どこにいる?朝早く釣りに出かけたわ。
でも彼の話はもういい。
それより私たちのこと。
こんな状況耐えられない。
いつになったらまた一緒にいられるようになるの?その答えを私は知っているよ。
それどういうこと?信頼できる筋からピーターは来週初めにインドへ戻るつもりだと聞いた。
ハァ…本当?本当だよ。
だからあと2〜3日の辛抱だ。
ハハァ。
(キスの音)アァ…。
ハァ…。
じゃやってみて。
この交差している所を外側から取るの。
いい?ほらやってみて。
ただいま。
椅子に座ってくれ。
ちょっと話がある。
ジョニーもだ。
いらっしゃい。
インドに帰ることにした。
でも1人で帰る気はない。
まあ!いかがですか?気に入ったわ。
とってもお似合いです。
見て。
どうかしら?ハッ。
すてき!そう?このシルクまるで自分の肌みたい。
1着分しかなかったのは残念だけどこれなら主人も気に入るわ。
アハッあなたは友達よ。
もうこのままで完璧。
どこも直す所はないから今日持って帰らせてもらうわ。
はい。
ハーッフフッ。
シルクがあれしかなくて本当にすみません。
まあ…娘は毎日結婚しないけど。
でもしかたないわ。
ええ。
すみません。
ハァ…。
セニョリータ。
ロザリンダ様からの言づてです。
ありがとう。
ごめんなさい。
急に呼びつけたりして。
どうしても話がしたくて。
具合はどう?フッよくない。
ご主人のせいね。
私も一緒にインドへ戻れって。
ええ?それ一体どういうこと?ピーターに言われたのよ。
私とジョニーもインドへ戻れって。
だって彼はもうずっと前からあなたのことを気にかけてないんでしょ?それだけじゃない。
ピーターはもうすぐここを出ていくつもりだった。
それなのに一晩で気が変わったの。
だから理由を聞かないで。
あの人のすることは全部謎よ。
じゃ「行きたくない」って言うの。
「自分の居場所はここだ。
体のためにも残る」って。
言って!言ってないと思う?言ってないでしょ!必死でお願いしたし何とか説得しようともした。
でも無駄。
ハァ…ロザリンダ。
あなたは自由な女性。
(泣き声)誰も無理強いできない。
私は彼と結婚してるのよ。
息子を連れていくって脅された。
法律はどうしたって父親の味方。
大体どうして突然あの人の考えが変わったのか…。
こんなに憎み合ってるのに…。
顔も見たくない私をなぜそばに置くの?ロザリンダの言うとおり確かにピーターには彼女をインドへ連れて帰る権利がある。
そんなのおかしいじゃない。
分かってるが僕らにできることはない。
1つある。
なに?あなたが彼と話して説得するの。
無駄だと思う。
同郷の人の話なら聞く。
見ず知らずの人間が夫婦のことをとやかく言うんだ。
殴られなきゃラッキーだよ。
ええ。
確かにそう。
せめてやってみるだけでも…。
だって黙って見てるのは嫌なの。
フム。
僕に任せて。
何か考えてみる。
(街の喧騒)
(車の走る音)
(車のドアを開ける音)
(車のドアを開ける音)
(車のドアを閉める音)
(車の走り出す音)
(車のエンジン音)
(礼拝の呼びかけ)
(猫の鳴き声)
(足音)フォックスさん?新聞記者のローガンです。
聞きたいことが。
うるさい。
うせろ。
けさドイツ人と一緒にいましたが彼らに金で釣られロザリンダをインドへ連れて帰るんですか?何だって。
お前何を言ってるんだ?妻の何を知ってる?俺を誰だと…。
あんたはイギリスのいい恥さらし。
いいか。
よく聞け…。
ドイツ人に手を貸すのは裏切り者だけだ。
俺だって…手を貸したくはない。
それでも…やるしかないんだ。
だったらピーターはドイツ人にお金で釣られたんじゃなくてその反対に脅されてるの?ドイツ人はロザリンダをベイグベデルから引き離したい。
彼女が悪影響を与えると思ってるから。
本当なの?ピーターがそう言った。
彼がドイツ人と車に乗るのも見た。
そのドイツ人の名前はブラウン。
ブラウン?奥さんを知ってるわ。
うちのお客さんで昨日ドレスを試着しに来た。
じゃ問題はブラウンさんね。
ピーターは彼らにポーカーで負けた。
ロザリンダをインドに連れて帰ればその借金が帳消しになって痛い目に遭わない。
いくら負けたの?かなりの大金。
ハァ…。
ロザリンダを置いて逃げることは?無理だね。
約束手形に署名してる。
それがあるかぎり彼は身動きが取れない。
じゃあ全てその紙切れに懸かってるの?ロザリンダの人生も何もかも。
アッそうか…。
なに?何でもない。
バカげてる。
言って。
お願いだから言って。
ロザリンダは親友よ。
どうしても助けたいの。
ハァ…。
ピーターの話じゃポーカーはブラウンの家でやったらしい。
ええ。
彼の奥さんは君の客だ。
何か口実を見つけて家に入り金庫を見られないかな。
開けるには金庫の型を知らないと。
手形を盗むの?
(足音)こんにちは。
(ドアマン)こんにちは。
ブラウンさんは何階にお住まいでしょうか?
(ブラウン夫人)シーラ!あら。
一体どうしたの?押しかけてすみません。
ぜひお見せしたいものがあって。
じゃ入って。
どうぞ。
どうも。
ありがとう。
あの…ミュラーさんとのこと本当に申し訳ないと思ってます。
それは彼女と私の間のこと。
あなたが責任を感じることないわ。
ええ。
ただ…思いがけない幸運で少しだけダマスクシルクが手に入ったんです。
ミュラーさんの生地にも勝るほど上等なシルクですよ。
特別にあなたのために取っておきました。
でもドレスはもう出来てるわ。
だからまた作り直すんです。
もっとすてきなドレスを。
このシルクで。
いかがです?代金はほとんど変わりません。
生地代の差額だけです。
私のためにそこまでしてくれるの?ほらおっしゃいましたよね。
「娘は毎日結婚しない」って。
それはめったにない特別な日ですもの。
誰よりもすてきなドレスを着て当然です。
ミュラーさんがどんな顔をするか…。
ホントね。
ウフフッ。
すぐにでも取りかかります。
ただ業者に払う前金が必要で…。
今すぐ持ってくるわ。
これで足りるかしら?十分です。
仮縫いの準備ができたらお知らせします。
よろしく。
金庫は入り口の正面。
絵の後ろにあってダイヤルロックが2つ。
約束手形は見えた?そこまでは見えなかった。
でもあそこ以外の場所はありえない。
手形を盗むとしたらあしたしかない。
主人は領事館だし使用人は休みだ。
金庫を開けられると思う?多分ね。
時間はかかるだろうけど。
どれくらい?最低2時間。
2時間!?無理。
2時間もブラウンさんを引き止めるなんて無理よ。
やるしかない。
ほかに方法はないんだ。

(ミシンの音)どうかしたの?入って。
違うの。
牛乳を飲みに行こうとしただけ。
邪魔したくなくて。
ミシンで起こしちゃった?いいえ。
もう何年もぐっすり眠ったことない。
何してるの?これをあしたまでに終わらせる。
シーラ。
ん?どういうことかよく分からないけどこの寸法は間違ってる。
分かってる。
わざとやってるの。
どうして?直すのに時間をかけるから。
ちょっと事情があって。
母さん…ねえ…。
やってみたら?ねぇ。
フッ。
ブラウン夫人が仮縫いに来るから来たらすぐお茶とお菓子を出して。
熱いお茶よ。
飲むのに時間がかかるように。
分かった?
(ジャミーラ)任せて下さい。
できるだけ引き止めておきたいの。

(ブラウン夫人)もう完璧よホント。
とにかく用事がたくさんあって急いでうちに戻らないといけないの。
(物音)
(ブラウン氏)おい!待て!
(銃声)
(ブラウン氏)待て!止まれ!何かありました?ローガンは指名手配されています。
マーカス。
君にさよならを言いたかった。
私たちまた会える?何も約束はできない。
2015/07/26(日) 23:00〜23:48
NHK総合1・神戸
情熱のシーラ(7)「潜入の序曲」[二][字][デ]

お針子から名スパイへ!時代に翻弄されながらもたくましく生きた女性を描く魅惑のスペインミステリー。シーラは、窮地に陥ったロザリンダを救おうと策をめぐらす。

詳細情報
番組内容
ロザリンダは、別居中の夫ピーターがモロッコに来ることを知る。その前にロザリンダは、シーラやマーカスたちを誘って海辺へピクニックに出かけ楽しい日々を過ごす。やがてピーターがやって来るとロザリンダは愛するベイグベデルにも会えず悲しみにくれる。追い打ちをかけるように、夫は息子を連れてインドに帰ると言い出す。苦悩するロザリンダを救うためにシーラとマーカスが思いついたこととは?
出演者
【出演】アドリアーナ・ウガルテ…渋谷はるか,ピーター・ビベス…川島得愛,ハンナ・ニュー…小島幸子,フランセスク・ガリード…大塚芳忠,エルビラ・ミンゲス…藤生聖子,カルロス・サントス…中村大樹ほか
原作・脚本
【原作】マリーア・ドゥエニャス,【脚本】スサーナ・ロペス,アルベルト・グロンドーナ
監督・演出
【演出】イニャキ・ペニャフィエル
制作
〜スペイン A BOOMERANG TV PRODUCTION FOR ATRESMEDIA制作〜

ジャンル :
ドラマ – 海外ドラマ
趣味/教育 – 会話・語学

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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スペイン語
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