NNNドキュメント「僕らのミーティング 『話す・聞く・想う』心の授業」 2015.07.27


福井県の山の中
小・中学生80人が通うこの学校にはちょっと特別な授業があります
(生徒達)は〜い。
・はい!はい!・
それはミーティング
校則のことからもめ事に至るまでみんなで話し合って答えを探そうという授業です
・はい!・・賛成・はい僕も賛成です。
賛成以外?いれば。
小学生から9人ぐらいは…。
自分の考えを話す
人の話を聞く
相手の気持ちを想う
ミーティングは何かが生まれる大事な時間
17年前に開校した私立の小中一貫校です
2000でしょ?2000でしょ?
この学校で時間割の半分を占めているのが体験学習
農作業や建物作りを通して生きる力をつけて行きます
そして…
・それではミーティングを始めま〜す・
(生徒達)は〜い。
最大の特徴は創立以来受け継がれているミーティング
学校生活のルール全てを子供達が話し合って決めて来ました
例えば…
「体の事で悪口を言わない」
「無視や仲間はずれにしない」
バレンタインデーのチョコは「貰えない人もいるのでこっそり渡す」
去年4月
兵庫県から転校生がやって来ました
6年生のさよちゃん
ちょっと引っ込み思案な女の子です
この学校に来る子供達の9割は県外の出身
今日からさよちゃんも親元を離れ学校の寮で過ごします
これまでは厳格な教育で知られる小学校に通っていました
でも5年生で不登校に
さよちゃん本当の自分を出せませんでした
(生徒達)は〜い。
さよちゃんが選んだ体験学習は建物作りです
このクラスでは一年をかけて本物の建物を完成させます
学校の時計台も1年生から6年生までが一丸となって作り上げました
どんな建物を作るのか決めるのも子供達
そこで始まるのがミーティングです
・あ〜!・ロープタワー。
思い思いの意見が出てなかなかまとまらない様子
そこでさよちゃんこう提案しますが…
あっさよ。
・はい!・はい。
多数決ですぐ決めちゃうのもあれだから…。
何かこういうイメージだったら…。
「みんなと同じ」ではなく「私はどうしたいのか」がここでは大切
さよちゃんこんな授業は初めてです
転校して来たばかりのさよちゃんのことを担任の片山さんは…
(片山先生)…と思うので。
…っていうか。
今までとは全く違う学校生活の始まり
さよちゃんうまくやって行けるでしょうか
週に1度の職員会議
この日議題に挙がったのは持ち運びのできるDVDプレーヤーでした
学校では禁止されているのに家から寮に持ち込んだ子がいます
普通なら先生が答えを出してしまいそうな場面
でもここでは…
…というわけで小学生から中学生までが参加する全校ミーティングで話し合うことに…
・ミーティングを始めます・
(生徒達)は〜い。
今は寮の食堂でしか見られないDVD
持ち運びのできるプレーヤーをどうするのか?
すると寮母さんからこんな話が…
消灯時間を守れない子がいるのにDVDプレーヤーを部屋に持ち込むのはどうなのか?
・はいつぶらちゃん・・はいリョウ・
DVDプレーヤーはダメ
自分達でルールを決めました
さよちゃんが選んだ建物作りのクラス
何度もミーティングを繰り返して縁側や畳のある日本家屋を作ることにしました
訪ねたのは江戸時代の殿様の別邸
建物作りの参考にします
この上のやつって作れる?
(片山先生)上ってどこや?
(さよちゃん)えっこれ。
この…。
(片山先生)それかそれ作りたい?・何かさ竹でさ…・
転校して半年
自分は何がしたいのかさよちゃんは素直な気持ちを出せるようになって来ました
OK。
・ここに1泊させてもらえへんかな・
子供達が膨らませたイメージを基に設計図を書くのは担任の片山さん
大工さんにもアドバイスを貰い建物作りを陰で支えます
(片山先生)まぁ正確に僕自身理解しとかないと。
小学校の体験学習には農業のクラスもあります
重っ!
1年生から6年生まで26人が野菜や米を作ります
・おぉ!・デケェデカいな。
農業クラスの担任徳岡さん
「子どもの村小・中学校」の卒業生でお兄さんのような存在です
そんな徳岡さんが最近気に掛けている子がいます
2年生のれおんくん
やんちゃで負けん気が強く友達とぶつかることもしばしばです
れおんくんは東京出身
親の希望で個性を大事にするこの学校に1年生の時に入学しました
れおんくんがいる農業のクラスで稲刈りが始まりました
刈り取った稲をみんなで木や竹を組んで作った稲架に干して行きます
張り切るれおんくん
…とその時
・うわ〜!・・うわ〜!・・え?・・あ〜あ!・・ウソだろ〜!?・・ウソやろ〜!・
たくさんの実をつけた稲穂の重みで柱が折れてしまいました
あと少しっていうのにこのハプニング!何とも言い難い。
こんな時頼りになるのが4年生のゆいちゃん
1年前埼玉から転校して来ました
(ゆいちゃん)こっちが余裕あるから…。
姉御肌でみんなを引っ張ります
・とどめだそれで・・あ〜ゆいめっちゃ力ある・・だけど面倒くさいねこれここまでやったのに・
力を合わせてハプニングを乗り越えました
ところが…
2週間後干した稲をみんなで脱穀する日のこと
あのゆいちゃんは体調を崩して参加できませんでした
仏頂面のれおんくん
午後になってゆいちゃんが出て来ました
(れおんくん)何で?僕悪くないよゆいが悪いんだよ。
「ゆいには新米を食べる資格はない」とれおんくん
ふてくされて教室を出て行くれおんくん
担任の徳岡さんが後を追います
(徳岡先生)ちょっとおいで。
(れおんくん)ヤダ。
(れおんくん)でもゆいは何にもやってないじゃん。
(徳岡先生)ゆいちゃんしんどくて休んでたん。
担任の提案で緊急ミーティングが始まりました
・でも…はい!・
そこにれおんくんが戻って来ました
・じゃあれおんくんもいい?何があったの?・・ゆいはそれでいい?・
(ゆいちゃん)うん。
・じゃあ…・
頑張って絞り出した5文字
(徳岡先生)口で言うの恥ずかしい…。
・伝えてよちゃんと…・・書いてる…・・では本日は終わっていいですか?・
(生徒達)は〜い。
泣いたり笑ったりいろいろな思いがこもった新米
おいしいね。
最後は笑顔でいただきます
「子どもの村小・中学校」の運動会です
近所に住む仲良しのおばあちゃんも
いつも見守ってくれているお巡りさんも
みんなが笑顔
前の学校で不登校だったさよちゃんも元気いっぱいにグラウンドを駆け回ります
そんな姿にお母さんは…
(佳代子さん)だいぶしっかりしましたし…。
(佳代子さん)…ように感じてます。
大丈夫?
さよちゃん達が作る日本家屋は雪の中での作業です
(さよちゃん)じゃああの大っきい脚立あっちに持って行く?ケンちゃんはしご移動!
つい8か月前までは引っ込み思案だった女の子
今はみんなの中心にいます
・引っ張って!・あっはまる!・もっと押して!・
(さよちゃん)OK!はまった。
・OK?・
(さよちゃん)あ〜まだ。
(たたく音)今ね…。
(たたく音)
最初の計画では雪が降る前に完成するはずでしたがずいぶん遅れています
でも大人達は手を出さずに見守ります
(金づちでたたく音)…っていう。
ホントは焦ってるんですけども。
ゆっくり焦らず子供と向き合う
あっ上らんくていいよ!
農業のクラスではみんなで育てた大根を煮ものにしていただこうとしていました
ところがれおんくんまたもめ事です
(れおんくん)何かかいとさっき「別にさぁどこでもいいじゃん」って言ったら…。
(女性)かいとくんのごはんってあるの?
かいとくんが座りたかった席にれおんくんが座ってしまいケンカになったといいます
仲のいい友達がかいとくんを捜しに行きます
・かいとかいと〜?・
(蹴る音)
怒りをぶつけるかいとくん
・かいと食おうよ・食べようよかいと。
・かいと…・
れおんくん席を空けてかいとくんを待ちます
担任の徳岡さんが寄り添うこと1時間
かいとくんがようやく教室に戻ると…
給食の時間れおんくんに席を取られ怒ってしまったかいとくん
ミーティングが始まりました
・れおんくんが?・
ところがかいとくんが怒った理由は他にもありました
(中込先生)例えばもう…。
みんなの言葉に傷ついていたかいとくん
その心に思いを巡らせます
・はい!・そういうのは…。
…って思ったけど。
すると…
(れおんくん)はい!
たくさんの気持ちを重ねてお互いを認め合って行く
それが僕らのミーティング
今年3月さよちゃん達の日本家屋
最後の畳もみんなで…
・せ〜ので!・・入った!・・やった〜!・・ヤッホ〜!・
この学校に来て間もなく1年
さよちゃんに不登校だった頃の面影はもうありません
(生徒達)よ〜!やった〜!ハハハ…!
今さよちゃんは「子どもの村」の中学生
全校ミーティングをまとめる委員になり頑張っています
話す聞く想う僕らのミーティング
気持ちを通わせて生きる喜びを分かち合おう
心の力にして行こう
今日もまた子供達の声が聞こえて来ます
・はいじゃあミーティング始めま〜す!・
(生徒達)は〜い。
・平和宣言・・平和宣言・
毎年8月6日原爆の日
広島から世界に発信する平和宣言
そこから戦後70年をひもときます
2015/07/27(月) 00:55〜01:25
読売テレビ1
NNNドキュメント「僕らのミーティング 『話す・聞く・想う』心の授業」[字]

福井県勝山市のかつやま子どもの村小・中学校。話し合いで授業内容や規則を決める「ミーティング」が大きな特徴だ。心を通わせお互いを認め合っていく子どもたちの1年間。

詳細情報
番組内容
福井県勝山市にあるかつやま子どもの村小・中学校。話し合いで授業内容や規則を決める「ミーティング」が大きな特徴だ。学校行事の計画、子ども同士のもめごと解決法までも、小中学生が集まってミーティングで決めていく。教員は子どもの判断にほとんど○×をつけない。この学校に去年4月兵庫県から転校生がやってきた。葛藤しぶつかり合いながら自分で考える力を培いお互いを認め合っていく子どもたち。心の成長を追った1年間。
出演者
【ナレーター】
須田邦裕
制作
福井放送

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
ステレオ
サンプリングレート : 48kHz

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