話題の一冊を書いた元国家戦略担当相が指摘 「財政破綻」「ハイパーインフレ」という悪夢は、そこまで迫っている!

2015年07月29日(水) 磯山 友幸
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新しい成長戦略が必要

ーーー今年10月に予定されていた消費税率の10%への引き上げを見送りました。

古川元久・元国家戦略担当相

古川 飛行機を墜落させないために、我々が政権にいる時に(民主党、自民党、公明党による)三党合意を行いました。国民に負担をお願いするのを政争の具にしないということでした。 

ところが、昨年末に突然、解散総選挙を行い、国民の信を問いました。10%への引き上げの再延期はないことになったものの、これで10%超に税率を引き上げようという政治家は、ここしばらく出てこなくなるのではないでしょうか。国民の信を問わなければならないわけですから、難しいです。

 

ーーー財政破綻は不可避なのだから、それに備えよ、というのがこの本の結論ですね。地方の自立を求められていますね。これまでも地方の自立を求める声はあり、安倍内閣でも地方創生を訴えています。果たして地方は本当に自立できるのでしょうか。

古川 地方が完全に自立できるかどうかは難しいでしょう。ただ、財政破綻の混乱を少しでも小さくするような社会づくりが必要だ、というのがこの本の趣旨です。川上村のレタス栽培や、日本酒の獺祭の取り組みなど、地域が都会から稼げる仕組みが大事だと思います。少なくとも地域経済を入超にする、つまり地域が外から買う額よりも外に売る額を大きくすることです。

ーーー1次産業だけでなく、加工の2次産業やサービス業の3次産業と組み合わせて儲けを増やす「6次産業化」は民主党政権の時から取り組んできたテーマですね。

古川 農業をもっと付加価値の高い産業に変えていくことが大事です。IT(情報通信)インフラを活用して、時間と場所の制約を乗り越えていくことで、地方は元気になると思います。東京は日本経済の心臓ですから、元気であることが重要ですが、地方の経済を自立的にしていくことは不可欠です。離島などの場合、そこに人が住んでいること自体が、安全保障の第一歩だと思います。

ーーー民主党は経済成長に熱心ではなく、分配論にばかり偏っていると思います。

古川 党内でも新しい成長戦略を作っていこうという話をしています。必ずしも分配論にばかり関心があるわけではないのですが、今後の日本の成長の形が変わってきたのではないかと思います。

体が大きくなっていく成長から、人間的に大きくなっていく成長といったら良いでしょうか。バランスのとれた持続可能な成長を模索していく時です。物質的な豊かさだけを追いかけるのではなく、新しい価値観を築くことが大事ではないでしょうか。


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