(カラスの鳴き声)
(甲斐享)うん?ここっすか?
(杉下右京)ええ。
(カラスの鳴き声)入れますね。
はい。
君からどうぞ。
えっ俺!?ええ。
暗〜いですね。
冗談はやめましょうね。
フフフ…。
フフッ。
好きなんじゃないすか。
なんか寒いっすね。
ええ。
空気がひんやりしてますねぇ。
なんすか?いえ…。
なんでこんな気持ち悪い仕事やんなきゃいけないんすかね?おや。
失踪人の捜索は本来警察の仕事ですよ。
2年前に子供が1人。
去年また子供が1人。
そして3日前とうとう大人が消えましたか。
しかしなぜ同じ空き家で消えたとわかるのでしょう?
(中園照生)子供たちは失踪後その空き家で見つかってるんだ。
その空き家で子供たちは何をしていたのでしょう?不思議な事にな失踪中の記憶はないらしい。
3日前に消えた男性はまだ戻ってきていないのですね?
(内村完爾)その空き家に行くと言って消えたままだ。
空き家にはなんの用があったのでしょう?知らん。
だが同じ場所で3人が消えてこのままにしておくわけにはいかんのだ。
それで僕に捜査をしろと。
お前しかいないんだ。
手のあいている者がな。
杉下さん…。
これ。
魔よけのお札ですねぇ。
なんでお札が?もしかして出るんでしょうかね…ここ。
出るって何が?
(ため息)キモくね?杉下さんなんかここ…。
えっ?はい?どうしました?なんか…通りました。
えっ?まさか…見たんですか?…かもしれないっす。
誰かいますか?気のせいっすかね…。
カイトくん!はい。
これ!お菓子…。
ええ。
袋がたくさんありますね。
飲み物も…。
あっこれ賞味期限が切れてますね。
杉下さん…失踪者もいないようですしもう出ませんか?賞味期限が切れてるという事は…。
どうでもいいですよ。
(物音)誰かいる?えっ?…外!あ…あれ?ダメだ。
ここ開きませんね。
ちょっといいっすか?引くんですよ!そうでしたか。
カイトくん!はい。
ここ…。
掘った形跡ですね。
え?あっやわらかい。
やわらかい。
す…杉下さん?なんか怖い…怖いっす…。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…。
ホッ!ホッ!ホッ!フンッ!ちょっと…あの…。
掘るならこれ使ってください…。
君やってください。
俺っすか!?ええ。
ああっ…。
(何かにあたる音)なんかあります。
あっ…。
これって…。
ええ…。
あれですね…。
(カラスの鳴き声)
(伊丹憲一)はあ…。
埋められてたって事は殺しの可能性が高ぇな。
どうやらそのようですね。
(三浦信輔)さすが警部殿。
エスパーのように事件を掘り当てますね。
あそこが掘られたような跡があって気になりました。
毎度毎度すいませんねぇ。
いえいえ。
ここって幽霊屋敷だもん。
あっそれ知ってる。
次々にここで人が消えるって噂が〜…。
(芹沢慶二)いやいや…あのですね…。
最近ここを出入りしてる人を見なかったかっていう事をね聞かせて…。
ここ…幽霊屋敷の噂があるんですか?そうなのよ!ここに住んでた屋敷さんの奥さん確か…自殺したのよね?そうそう…。
自殺?うんうん…。
幽霊屋敷ですか。
噂があるみたいです。
やっぱり俺が見たのって幽霊なのかな…。
カイトくん。
はい?普通人が消えた場合幽霊が出るという噂になりますかねぇ?え?人が消えたんですよ?むしろその場合は神隠しの家とかあるいは人食い屋敷などの噂になるべきです。
なるべきですって言われても…。
それがどうして幽霊屋敷になったのでしょうねぇ…。
でこの車はどこに向かってるんです?今井正二さんの会社です。
今井正二…。
捜索願が出されたばかりの…。
それを出したのが会社の上司になっています。
普通捜索願は肉親が出すものじゃありませんかねぇ?別に雇用主が出してもいいんじゃないっすか?ダメっすか?細かい事が気になってしまう。
僕の悪い癖。
(黛喜一)今井には肉親がいないんでそれで私が。
…だそうです。
なるほど。
肉親がいらっしゃらない。
ええ。
ところで今井さんはあの空き家へ行くと言ったまま戻らなかったとか。
何をしに行ったのでしょう?何をしにって…。
うちの管理物件ですから定期的に巡回します。
あっ…いやだってお札とか貼ってありましたよ?ああ…。
あれ我々が貼ったんです。
(黛の声)2年前あそこで人が消えて変な噂が広まったら困ると思って…。
ただでさえ売りにくいのに…。
ただでさえ売りにくいとは?近くに小学校や図書館がありましてね。
ああ…文教地区。
文教地区?学校などの教育施設が集まってると教育上好ましくないっていう建築物が規制されるんですよ。
つまり用途が限られるという事です。
なるほど。
しかしその噂のせいで3年も家が売れないとなると持ち主の方も困っているのではありませんか?まあ…。
でも経済的に不自由している人じゃないんで。
ああ…なるほど。
あの屋敷の持ち主入院してるなんて…。
入院中ならば面会時間があるはずですねぇ。
ちょっと急ぎましょう。
「面会謝絶」…。
時間関係なかったっすね。
死体が見つかった!?
(ノック)だから早く売れと言ったろうが馬鹿者が!
(屋敷政三郎)いいから早く売れ!チッ!なんだお前ら。
面会謝絶の札が見えなかったのか!とても元気なお声が聞こえたので大丈夫かと。
お前ら一体何者だ?失礼致します。
警視庁の杉下と申します。
同じく甲斐です。
警察がなんの用だ。
あっこちらは奥様でいらっしゃいますか?触るな!もちろん触りませんよ。
いつ頃お亡くなりになったのでしょう。
3年前だ。
なんでそんな事を聞く?3年前…。
じゃあそれで幽霊屋敷の噂が…。
幽霊…!お前らかそんな噂広めたのは!誤解です。
しかし本当にお元気そうですね。
こっちはこのとおりもう余命いくばくもないんだ!
(舌打ち)畜生…。
ただでさえ売れないのに死体が見つかるなんて…。
その件で伺いました。
その死体ですが白骨化していました。
つまり死後3年以上経過しているわけですが何かお心当たりはありませんか?病人の前で死体の話なんかするな!馬鹿者が!
(森洋子)娘さんがいますが一度もいらした事がなくて…。
えっ?3年も入院してるのに?一度連絡をもらった時に見舞いに来てくださいって強く言ったんですがそれきり連絡がなくなって…。
その娘さんの住所おわかりになりますか?はい。
お待ちください。
あの…。
はい?あっ…いえ…。
(屋敷今日子)父は母の死に目にも立ち会いませんでした。
私たちより仕事を選んだ人なんです。
お母様は…自殺だったんですよね?は?病死ですけど。
えっ病死?屋敷さんの奥さん確か…自殺したのよね?なんだったんだあの噂…。
噂というのは得てしてそういうものです。
噂って幽霊屋敷の噂ですか?おやご存じでしたか。
だから売れないって聞いています。
つまりあなたは不動産会社と連絡を取り合っている。
一度連絡をもらった事があって…。
一度。
それはいつの事でしょう?いつって…。
あの家を売りに出した頃…。
彼女の話が本当ならば3年前…。
つまり幽霊屋敷の噂が先にありそのあと人が消えた事になりますねぇ。
うん?杉下さん家出人の捜索より幽霊屋敷に興味持ってません?何を言うんですか。
失踪人にも興味を持っていますよ。
今「も」って言いました?「も」って。
君…細かすぎますよ。
似てきちゃったのかな。
おやおや。
さあ消えた子供たちの聴取に行きますよ。
(青木陽香)ええ。
唯香がいなくなったのは去年です。
2日ほどで戻ってきましたけど。
じゃあ唯香ちゃんはあの空き家に…。
ええ。
唯香ちゃん。
どうしてあのお家に行ったのかな?
(青木卓)覚えてないんですよこの子。
その2日間の事。
ふ〜ん…。
ではこの子の事は知っていますよね?
(青木唯香)知らない。
同じ学校の同級生ですよ?クラス違うもん。
そうですか。
ちなみにお母様は?知りません。
そうですか。
ところで唯香ちゃんが2日間過ごしたと思われる空き家で見つかったこのお菓子なんですけれども…。
ああ…。
はい?それはもらっただけだし…。
もらった。
去年あの空き家で過ごした時に。
誰にもらったのかな?公園の一郎くん。
公園の一郎くん…。
そうですか。
あの子なんか隠してますよね。
ええかもしれませんね。
次この子ですね。
ええ。
しかしその前に一郎くんの所へ。
ええっ?お菓子の話なんか裏取ってどうするんすか。
もしかしたら知り合いかもしれません。
杉下さん。
なんか後ろ変なのついてきてますよね?ええ…さっきから。
(増山伊都夫)うわっ!我々に何かご用ですか?
(堺浩太)いや…別に用なんかないよ。
つけてきたでしょう。
つけてってるわけじゃないよ。
じゃあなんで入ってきたの?こっから行った方が公園近いから。
なんだよ…。
あっ失礼。
お二人は公園にはよくいらっしゃるんですか?まあいつもいるよ。
では「公園の一郎くん」ご存じですか?一郎?まあ知ってるけど一郎さんが何か?もう行こうよ。
ああ配給配給〜。
大丈夫?炊き出しはこちらでーす。
こちらの方にお並びくださーい。
炊き出しはこちらでーす。
お待たせしました。
痛いところはないですか?最近首から…。
乗った事ありますか?何度か経験は…。
ではそれを書いてください。
はいわかりました。
なんでも書いて…。
ああなんでも…はい…。
(増山)一郎さん。
どうもお久しぶりです。
あっお忘れですか?
(吉田一郎)10年ぶりくらいになるかな。
ええもうそのくらいになりますね。
マジで知り合いですか?あの頃ならこんな所には並ばなかったよ。
はいどうぞ。
あっ箸あります。
自分の食う分ぐらいは自分で稼げたからね。
でも時代が変わった。
ああありがとう…。
最低限の援助は受けるよ。
悪い?僕は何も言ってませんよ。
今日はこの女の子についてお聞きしたいと思いまして。
誰?えっ…知らないっすか?知らない子だねぇ。
ではこの子にお菓子をあげた事は?フフ…。
そんな金銭的な余裕があるように見えるかい?で?今度はどんな事件調べてんの?実はこの近くの空き家で男性の死体が見つかりまして。
もうすぐ発表されます。
ねえその空き家ってまさか今通ってきたとこ?あれやっぱり幽霊屋敷だよ。
みたいですね。
その噂皆さんもご存じでしたか。
(増山)知ってる知ってる。
この辺りじゃ有名だからね。
(増山)それだけに洒落になんねぇよな。
ああ。
死体が埋まってたなんて…。
じゃあ俺が見た幽霊って…。
あの…白骨死体の…?
(増山)おお怖い。
やだやだ。
(堺)どうすっかなぁ。
(米沢守)死体は30歳から50歳までのA型の男性でした。
死後3年ほど経過しており死因は不明です。
身元については何かわかりましたか?残念ながら身元を示す物はありませんでした。
今家出人の写真照合で身元を洗ってます。
(月本幸子)本当に見たんですか?ええ。
残念ながら。
へえ〜。
うらやましいですね。
全くです。
ウフッ。
一郎くんとはなんで知り合ったんですか?ええ…10年ほど前ですが少女が行方不明になるという事件がありましてね。
少女が行方不明…今回と似てますね。
ええ。
しかしそれは行方不明などではなく…。
仲の悪い両親を仲直りさせたかった。
自分が消えれば心配してきっと仲直りするだろう。
そう願った少女の狂言でした。
なんかいじらしい話ですね。
その狂言に一郎くんが関与してたんすか?ええ。
疑ってるんですね一郎くんの事。
はい?今回の失踪事件にも関与してるんじゃないかって…。
だからこの子を訪ねる前に一郎くんを訪ねた。
おばけ効果でしょうかね君冴えてますね。
だってそれしかないじゃないじゃないですか。
(赤井啓)覚えてない。
(赤井美代)いなくなっていた時の記憶がないんですよ。
気がついたらあの空き家にいたって…。
(美代)2年前もそう言うだけで…。
ねぇ本当に何も覚えてないの?もう学校行かないと。
あとひとつだけよろしいですか?この子の事は知ってますよね?知らない。
隣のクラスの子だもん。
隣のクラスって知ってんじゃん。
仲良くない。
話した事ない。
どうせ違う学校行っちゃう子だし。
行ってきます!
(美代)あっ…行ってらっしゃい。
違う学校へ行っちゃう子…。
どういう意味でしょう?ああ…きっと泉町の学校に行く子なんだと思います。
泉町の学校へ…。
うちの子は松本町の学校なんで。
あ…もしかして今通われてる学校がなくなってしまうとか?ええ…来年の春。
ほう…。
杉下さんどこ行くんですか?もちろん都庁です。
都庁!?やはり思ったとおりでした。
あの空き家のある地域は間もなく小学校も図書館もなくなります。
それはわかりましたけどそれがなんなんですか?持ち主は早く売ってほしいと要望していましたねぇ。
ええでも幽霊屋敷のせいで売れない。
ええ。
あっ。
え?ちょっと失礼。
(携帯電話の振動音)
(携帯電話の振動音)杉下です。
白骨死体の身元がわかりました。
中山篤志41歳。
(米沢)捜索願を出したのは母親で仙台在住です。
どうもありがとう。
えっちょっとどこ行くんですか?もちろん仙台です。
仙台!?
(中山園子)聞きました。
さっきお巡りさんが来て…。
なんで…なんで篤志は殺されたんです?あの…息子さんに最後に会われたのは?3年前…。
突然東京の土産持って…。
でもまたすぐ東京に…。
仕事忙しいからって…。
3年前…。
中山さんが亡くなった年ですね。
それからはもう電話ひとつよこさねで…。
でも一度お金を送ってきてくれて…。
息子さんがお金を?いつです?去年の今頃…。
送ってきたという事は現金書留か何かで?その時の封筒などは残っていますか?取ってあります全部。
封筒もお金も全部。
(嗚咽)
(園子の泣き声)
(米沢)この住所にこのマンションは存在しませんでした。
随分半端な金額ですね。
ええ。
34460円あります。
この現金からも封筒からも前科のある指紋は出ませんでした。
筆跡鑑定は?中山さんの筆跡ではありませんでした。
しかし母ですね。
息子からの手紙を全て取ってありました。
手紙が来てたのも3年前まで。
って事はやっぱり中山さんは3年前に死んでるって事ですよね。
去年母親にお金を送るのは無理ですな。
じゃあ俺が見たのは中山さんの幽霊って事っすか?それは鑑識ではわかりかねますがね。
だとしたら不公平です。
え?君だけ幽霊が見られるなんて。
いや俺だって別に見たくて見たわけじゃないですよ…。
僕も見たいのですが。
見たいのですがと言われましても…。
ふん…。
よし暗視カメラオッケーです。
(カメラのシャッター音)あっ…。
気をつけてください。
米沢さんから動体感知カメラだと説明があったはずです。
フィルムの無駄ですよ。
あのこれって失踪事件にも殺人事件にも関係ない事してません?ええもちろん僕の個人的な興味ですから。
さて。
これでいいでしょう。
では明日またここで。
えっ明日も来るんですか?もちろん。
カメラを回収しなければなりませんからねぇ。
(カメラのシャッター音)あっ…。
あ…。
あのそれ俺もっすか?うん?もちろん。
怖ければ来なくてもいいですよ。
いや…怖くはないです。
ったく…。
怖くない怖くない…。
あっ…。
(カメラのシャッター音)あ…。
はあ…。
うわぁーっ!!ああっ…。
おはようございます。
お…おはようございます!君来たんですか。
来いっつったじゃないですか!何か撮れてるといいのですがねぇ…。
(物音)なんの音っすか?待望の幽霊かもしれませんね…。
(足音)おはよう。
はぁ〜…。
なんだ一郎さんか。
あんたたちがここに入ってくのが見えてね。
昨日言ってた女の子さ…。
ああ。
この子ですか?青木唯香ちゃん。
ああそうそう。
この空き家で消えたんだって?おや!同じ学校の子に聞いたんだよ。
相変わらず子供に人気があるんですねぇ。
俺同じような子を1人知ってるんだよね。
はい?2年ぐらい前あの公園で仲良くなってね。
あの…それってもしかしてこの子ですか?なんだ知ってたのか。
赤井啓くんとは仲良しなんですか?うん…まあね。
そうですかぁ…。
お菓子とか飲み物をたくさんあの空き家に持ち込んだあとがありました。
唯香ちゃん何日かいるつもりだったんですね?どうですか?私たちのせいなんです。
唯香がいなくなった時私たち離婚話をしていて…。
そっか…。
やっぱり君のお父さんとお母さんは仲悪かったか…。
それが君があの空き家で消えた理由ですね?うん。
昔ね家出して親を仲直りさせた女の子がいたって。
なぜあの空き家を選んだのでしょう?幽霊屋敷の噂があったし…。
それ同級生の青木唯香ちゃんにも話した?あ!通りましたね。
ストップ。
これ人の形してません?幽霊ならいいのですが…。
何がいいんですか?動体監視カメラの現像あがりました。
これです。
なんすか?これ。
これも…。
何度も撮影出来たという事は撮影場所で何度も何かが動いたという事になります。
これ全部ですよ!大変気味の悪い写真のオンパレードですが最もパンチが効いているのはこちらになります。
ノー!どっかに投稿すれば賞金がもらえそうな1枚ですな。
(携帯電話の振動音)それ除霊しといてもらえません?鑑識にそういうスキルはありません。
暇ではありませんが何か?どうぞ。
すいません。
それでお話ってなんでしょう?はい…。
課長すみません。
(角田六郎)コーヒー飲んでるだけだろ?いやコーヒーなら向こうで好きなだけどうぞ。
なんだもう…せっかくのナースなのにさ。
失礼。
どうぞ。
刑事さんたちが帰ったあとドクターと話をしてそれで…ご相談してみてもいいんじゃないかと…。
ええ。
屋敷さんもう長くありません。
え?私はこのとおりもう余命いくばくもないんだ。
あれほんとだったんだ…。
告知済みです。
でも娘さんには絶対に言うなって。
それだけ関係がこじれているという事でしょうか?あの…娘さんに見舞いに来るように言ってもらえませんか?ああ…でもそれって警察の仕事ではないので…。
わかってます。
本来なら医師から家族に伝えるべき事です。
でも屋敷さんがそれを拒否してて…。
だけど本当は娘さんに会いたいんです。
そうですか。
だとしたらものすごい勢いで裏目に出てますけど…。
刑事さんお願いします。
あれ?娘さんのところに行くんじゃないんですか?その前にちょっと確かめておきたい事があります。
なんすか?あなたは消えた今井さんの行方をご存じですね?は?知ってたら捜索願なんか出しませんよ。
知っていながらそんな事をした理由はもうすぐあの空き家の土地が値上がりするから。
そうか。
もうすぐ小学校と図書館がなくなるから…。
ええ文教地区でなくなれば土地の用途は広がりますからねぇ。
いいですか?死体が見つかった以上あの場所から姿を消した今井さんを単なる家出人としてではなく殺人の被疑者として捜査する事が可能になります。
そんな…被疑者って!?一方土地の値上がりを期待して虚偽の捜索願を出したとなれば偽計業務妨害にあたります。
殺人と偽計業務妨害。
あなたはどちらで捜査されたいですか?2年前近所の小学校と図書館がなくなるって事が決まって…。
あの土地の値が跳ね上がる可能性が出たんです。
だからってなんで社員を失踪なんかさせたんですか?持ち主が早く売れって言ってきたんだ。
もう少し待てば値が上がるって言っても「売れ!」の一点張りで。
だから売れない理由が必要だった。
ええ。
そんな時にあの空き家で人が消えるっていう噂があるのを知って。
人が消える噂?幽霊屋敷の噂ではないんですか?え?ああ幽霊屋敷の噂もありましたね。
その噂はあなた方が流したものではないんですか?いえ俺たちはそれを利用しただけなんです。
どうせ売る時は壊すしそのあと建つのは風俗ビルだ。
変な噂がたったって値は下がらないと思って。
それを持ち主の娘さんには話しましたか?いいえ。
いつも値段の話にはならないんで。
いつも?え?3年前に連絡したきりじゃないんですか?なんか向こうから定期的に連絡がくるんですよ。
その連絡は父親の様子を聞くためですね?なんで直接連絡しないんですか?一度病院に連絡したら見舞いに来いって看護師さんにしつこく言われて。
それで不動産屋に?それは…あの家が売れたか気になったから連絡したんです。
しかし値段の話はしなかった。
お父様は早く売ってお金にしたかったようですが…。
でしょうね。
あの人は金の亡者ですから。
だとすればなぜ値が上がるまで待たないのでしょう?は?あの土地もう少し待てば値上がりするみたいですよ。
しかしお父様はどうしてもそれが待てないようですねぇ。
ちなみに現金にしておけば生前贈与がしやすくなりますね。
生前贈与?本来生前贈与は節税目的ですがこの場合相続税よりもむしろ税金が高くなってしまう。
なのになんで生前贈与なんて?しかしそうなれば法的手続きのためにあなたに会える可能性が出てきます。
そのために早く売りたかった。
ええ。
そんな…まさか父が…。
お父様はお金よりもあなたに会いたかったんですよ。
お母様のこの同じ写真が病室に飾られていました。
え?肉親の確執はどちらか一方が少しでも一方の気持ちをわかった時にとかないと手遅れになってしまう。
僕はそう思いますよ。
これで親子関係も修復出来て今井さんの失踪の謎もとけて残るは中山さんを殺した犯人だけですね。
それからもうひとつ。
幽霊屋敷の噂はどこから来たのか。
(カメラのシャッター音)今のをフラッシュ撮影するとたまに…。
(カメラのシャッター音)たまにこうなります。
ああ〜。
あの空き家天井の塗料がはがれて下に落ちてましたよね?それで思いつきました。
なるほど。
落ちる破片にフラッシュが反射してこんなふうに火の玉になる。
すごい。
おばけの謎がとけた。
ところでムービーカメラに映っていた人影の方ですが…。
あああれ一応拡大をしてみたんですけども影はやっぱり影ですなぁ。
んー…。
でもやっぱり人の形してません?なるほど。
やはりあの人でしたか。
(享・米沢)え?
(カメラのシャッター音)もしそうなら…あの2人の子を消したのはやっぱり俺だったんだ。
赤井啓くんに話したんですね?十年前の神隠しの話を。
慰めのつもりだったんだよ。
なんか罪になるの?罪にはならない。
でもそれでこの屋敷で人が消えるなんて噂が出たんです。
それ以前にここには幽霊屋敷の噂がありましたねカイトくん。
ええ。
その噂は誰が流したのでしょうねぇ?俺じゃないよ。
ええあなたではありません。
幽霊屋敷の噂を流したのは…。
あなたですね?いや冗談じゃないよ。
ええ。
冗談じゃありません。
死体発見の翌日ここで撮った映像です。
それを拡大したものがこちらです。
ここに何か光っていますね。
人影の腰のあたり。
あっ…ちょっと失礼。
それこの鍵のチェーンじゃありませんかね?考えてみればホームレスがキーチェーンって変ですよね?ええ。
少々気になっていました。
待ってくれよちょっと!そんな写真証拠になんのか?なりませんか?客観的に見てならないと思うね。
ですよね?俺たちが前の日に何を調べたのか気になってあの夜ここに入ったんじゃないの?だからってそんな事こんな写真じゃわかんないだろ?しかしあなたは知っていました。
死体が埋まってたなんて…。
白骨死体って聞けば埋まってたと思うでしょ?いいえ。
僕は死体が見つかったと言っただけです。
この近くの空き家で男性の死体が見つかりまして…。
だったら風の噂で聞いたんだよ。
ではそれを証明するためにあなたの指紋と筆跡を提出して頂けますか?送られてきた封筒と現金にも複数の指紋があった。
そこからあんたの指紋が出てきたらどうする?まさかそんな金…まだ持ってたなんて…。
あのお金が使われなかったのは息子から送ってきたものだと母親がずーっと信じていたからですよ。
盗ったよ…中山さんから金は盗った。
はい窃盗罪成立。
死体も埋めたよ。
死体遺棄罪も成立だ。
でも殺してない。
本当だよ!中山さんの遺書持ってる。
遺書?警察に見つかった時のためにってそう思って…。
本当なんだよ。
公園の俺の家にある。
ええ。
おそらく自殺だったと僕も思いますよ。
あの部屋には確かに自殺の痕跡がありましたからね。
粘着テープのあとですね。
これも。
この部屋のドアも窓も目張りされていました。
あっそうか…練炭自殺?確かに3年前この部屋に練炭のコンロがあった。
3年前あなたはどうしてここに来たのですか?仕事に失敗して一文なしになって…。
(雷鳴)
(堺の声)気がついたらこの屋敷の前にいたんだ。
それでどこかで首でも吊ろうと思ったら…。
(咳)
(堺)おい!ああ…!
(堺の声)なんで金があるのに死ぬんだ?そう思って…。
中山さんと俺は年恰好が似てた。
カードや保険証で中山さんに成り代わって人生やり直そうと思って…。
(雷鳴)
(堺の声)出来るだけここに人が近づかないようにネットカフェから幽霊屋敷の噂を書き込んだりして…。
この街を出たあとは彼の金と身分証で部屋も借りた。
腰の鍵チェーンはその名残ですね?でもダメだったよ…。
うまくいかなかった。
戸籍は借りられても人の経歴じゃ新たな人間関係は作れないよね。
それで仕事も続かなくて…。
そうしているうちに手持ちの金もわずかになって。
そうなってやっと残った金を彼の母親に送ろうって思った。
(ため息)残った金全部。
だから中途半端な額だったわけですか。
で?なんでまた戻ってきたの?埋めた死体は3年もすれば骨になるって聞いてそうなったら掘り出そうと思って。
ん?ちょっと待った。
掘り出してどうする気だったの?母親の住む故郷に埋めてやろうって思ったんだ。
中山さんは俺に人生を分けてくれた人だから。
いい話ふうに語ってるけどさ気持ち悪いよ。
なるほど。
それで掘り出そうとした。
それがあの日だったわけですね?
(車が停まる音)ここっすか?ええ。
キモくね?杉下さんなんかここ…。
え?
(スコップを落とす音)外!ダメだ。
ここ開きませんね。
ちょっといいですか?引くんですよ!そうでしたか。
カイトくん!はい。
あっ!遺書の筆跡中山さんの筆跡でした。
そうですか。
あの男結局窃盗と死体遺棄だけですよ。
死体遺棄の時効は3年。
ギリギリ間に合いましたね。
そりゃそうですけど…。
それはもう諦めたらどうですか?はい?この火の玉も屋敷にいた人影も全部説明がついて幽霊は否定されたんですから!何を言ってるんですか!これはまだ謎のままですよ。
え?どうせ一郎くんかなんかでしょ?よ〜く見てください。
女性の顔に見えませんか?そうですか?それも屋敷さんの亡くなった奥さんに似ているような気がするのですが…。
え?さらに今回の死体遺棄犯が中山さんの死体を埋めたあとにネットで幽霊屋敷の噂を流したそうですがそんなに簡単に噂が定着するものでしょうかねぇ?ちょっと杉下さん…。
そもそもたかが3年であの屋敷の中があれほど荒れてしまうというのはどうも納得がいかないんですよ。
あ〜あ〜聞こえない〜。
きっと人知を超えた力が何か…。
そう考えると3年前にあの屋敷で中山さんが自殺したのも…。
あー!杉下さんもうやめてくださいよ!カイトくん今回の事件最初から調べ直してみませんか?嫌ですよ。
2015/07/28(火) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒Eleven[再][解][字]
「幽霊屋敷」
詳細情報
◇番組内容
杉下右京(水谷豊)の相棒(?)として甲斐享(成宮寛貴)が特命係に飛ばされてきた!父親は警察庁次長(石坂浩二)、恋人は客室乗務員(真飛聖)。
右京と享の新特命係のコンビが新たな謎に挑む…。
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:33026(0x8102)