連載
» 2013年11月21日 11時32分 UPDATE

Windows TIPS:Windows 7/8/8.1のインストールUSBメモリを作る(diskpart編)

DVDドライブを搭載しないPCにOSをインストールするには、インストール・イメージを格納したUSBメモリを利用すればよい。OS標準コマンドの「diskpart」を使ってインストールUSBメモリを作成する。

[小林章彦, 島田広道,デジタルアドバンテージ]
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対象OS:Windows Vista/Windows Server 2008/Windows 7/Windows Server 2008 R2/Windows 8/Windows Server 2012/Windows 8.1/Windows Server 2012 R2


解説

 DVD-ROMドライブを搭載しないUltrabookやサーバ・マシンなどにWindows OSをインストールするような場合、わざわざ外付けドライブを用意して接続しなければならず面倒である。現在ではほとんどのPCでUSBインターフェイスとUSBメモリからの起動がサポートされているため、USBメモリにインストール・イメージを作成できると便利だ。しかし単純にインストールDVDの内容をコピーしただけでは、USBメモリから起動できず、インストール作業ができない。

 実はWindows Vista以降であれば、OS標準コマンドの「diskpart」を使ってブート可能なインストールUSBメモリを作成できる。本稿ではその方法を説明する。ただdiskpartコマンドを利用したパーティションの操作には危険が伴うので、その機能と意味を十分理解してから実行していただきたい。間違えて異なるパーティションを削除したり、サイズを変えたりしても、元に戻すことは一切できないので十分に注意してほしい。

 手動でさまざまな操作を行うdiskpartコマンドは面倒と感じるのであれば、インストールUSBメモリを作成するツールが提供されているので、それらを活用するとよい。以下のTIPSでインストールUSBメモリを作成できるツールについて解説している。

 またWindows 8/8.1のダウンロード版を購入した場合、以下のページに記されている手順でdiskpartコマンドを用いることなく、インストールUSBメモリを作成できる。

操作方法

 以下では特記しない限り、Windows Vista/Windows Server 2008/Windows 7/Windows Server 2008 R2/Windows 8/Windows 8.1/Windows Server 2012/Windows Server 2012 R2のことを、単に「Windows OS」と表すことにする。また以下の画面やリストはWindows 7での操作結果だが、そのほかのWindows OSでも操作手順は変わらない。

●インストールUSBメモリを作成する

 まず管理者権限でコマンド・プロンプトを起動する。Windows OSが稼働する作業用PCにUSBメモリを接続し、管理者権限を持つユーザーでWindows OSにログオンしたら、[スタート]メニューの[すべてのプログラム]−[アクセサリ]−[コマンド プロンプト]を右クリックして、ポップアップ・メニューから[管理者として実行]を選択する。Windows 8/8.1/Server 2012/Server 2012 R2の場合は、デスクトップ画面で画面左下隅にカーソルを移動して右クリックするとクイック・アクセス・メニューが表示されるので、[コマンド プロンプト (管理者)]を選択する。

 次に「diskpart」と入力してdiskpartコマンドを実行する。すると、プロンプトが「DISKPART>」に変わる。ここで以下のコマンドを順番に実行していけばよい。ただし「select disk 3」の「disk 3」の部分は、その前のコマンドである「list disk」で表示されたUSBメモリのディスク番号を指定する(システムに搭載されたディスク台数によっては、「disk 1」「disk 2」になることもある)。ここを誤ると、システムやデータが含まれたパーティションをフォーマットしてしまうことになるので十分に注意していただきたい。またUSBメモリの内容はすべて消去されてしまうので、大事なデータが含まれていないかどうか事前にチェックしておくこと。

DISKPART> list disk
DISKPART> select disk 3 ……「list disk」で表示されたUSBメモリのディスク番号を指定する
DISKPART> clean
DISKPART> create partition primary
DISKPART> select partition 1
DISKPART> active
DISKPART> format fs=fat32
DISKPART> assign
DISKPART> exit



一連のコマンドを実行した結果の画面 一連のコマンドを実行した結果の画面
上記のコマンドを実行すると、この画面のようなメッセージなどが出力される。
  (1)サイズ情報と表示順序などに基づいて、USBメモリのディスク番号を確認する。このシステムでは、2台のハードディスクとDVDドライブが「ディスク 0〜2」なので、USBメモリのディスク番号はその次の「ディスク 3」になっている。システムに接続されているハードディスクやDVDドライブの台数などによって、USBメモリのディスク番号が変動するので十分に注意したい。
  (2)USBメモリ((1))のディスク番号を指定する。
  (3)FAT32でUSBメモリをフォーマットする。NTFSだとシステムによっては起動できないことがあるので避ける。容量の大きなUSBメモリの場合、フォーマットに時間がかかるので、クイック・フォーマットを行うQuickオプションを付けるとよい(「format fs=fat32 quick」とする)。

 その後、以下のコマンドを実行し、Windows OSのインストールDVDの内容をすべてUSBメモリにコピーする。ISOイメージしかない場合は、関連記事のようにマウントしてからコピーすること(Windows 8/8.1/Server 2012/Server 2012 R2ならば、ISOイメージ・ファイルをエクスプローラでダブルクリックするだけでマウントできる)。ここでは、インストールDVDがD:ドライブ、USBメモリがE:ドライブに割り当てられている例を示す。さらにインストールDVDの\bootフォルダにあるbootsectコマンドを実行し、マスター・ブート・コードを更新して、USBメモリからブートできるようにする。なおオプションの「/nt60」は、Windows Vista以降で採用されているBOOTMGRと互換性のあるマスター・ブート・コードを書き込むオプションだ(ヘルプは「bootsect /help」で表示される)。

C:¥> xcopy D:¥*.* /s/e/f E:¥
C:¥> cd /D D:¥boot
D:¥boot> bootsect /nt60 E:



 以上で、ブート可能なインストールUSBメモリの作成は完了だ。

●作成したインストールUSBメモリから起動する

 あとはWindows OSをインストールしたいPCに、作成したUSBメモリを装着し、そこから起動すればよい。PCベンダによって異なるが、BIOS/UEFIの初期画面が表示されているうちに[F2]や[F8][F10][F12]などのファンクション・キーを押していると、ブート・デバイスを選択できるPCが多いので、ここで該当のUSBメモリを選択する。

PCの起動時にブート・デバイスを変更してUSBメモリから起動する PCの起動時にブート・デバイスを変更してUSBメモリから起動する
インストールUSBメモリを接続してからPCの電源をオンにし、BIOS/UEFIの初期画面の表示中に特定のファンクション・キーを押してブート・デバイス一覧メニューを表示したところ。カーソル・キーでUSBメモリを選択して[Enter]キーを押せば、そこから起動できる(この選択は次回の起動時には影響せず、設定されているブート・デバイスの順序に従って起動される)。これを呼び出すファンクション・キーはPCによって異なるので、BIOS/UEFIの説明書で確認していただきたい。
  (1)これが作成したインストールUSBメモリ。これを選んで[Enter]キーを押すと、このUSBメモリから起動する。
  (2)実体は(1)のUSBメモリと同じだが、こちらを選ぶとUEFIから起動する。インストールされるWindows OSもUEFIから起動するようになる(当然、64bit版Windows OSのようにUEFIで起動できるOSが必要になる)。

 機種によっては起動時のブート・デバイス変更ができず、BIOSセットアップでブート・デバイスの設定を変更し、該当のUSBメモリの優先順位をハードディスクより上げる必要がある(詳細はPCのBIOSセットアップ説明書を参照していただきたい)。BIOSセットアップを終了すると、USBメモリから起動し、Windows OSのインストールが開始されるはずだ。USBメモリからファイルのコピーが完了し、再起動が行われたらPCからUSBメモリを抜くこと。そうしないと、再起動後に再びUSBメモリから起動してしまい、インストール・ウィザードの最初から始めることになる(再度、インストール・ウィザードが開始された場合は、USBメモリを抜いて、ウィザードを閉じて、再起動すればよい。インストールの途中から再開される)。

USBメモリから起動するためのBIOS設定 USBメモリから起動するためのBIOS設定
特に古いPCでは起動時にブート・デバイスを一時的に変更できず、BIOSセットアップの起動(ブート)オプションでブート・デバイスの順番を変更しなければならないことがある。またBIOSによっては、事前にUSBメモリを接続した状態でBIOSセットアップを起動しないと、USBメモリが正しく認識されず、結果としてUSBメモリからの起動を有効にできない場合がある。事前にUSBメモリを接続しておくとよい。
  (1)起動の優先順位を変更し、「USB MEMORY」を「Drive0」(ハードディスク)よりも上側に移動する。これでUSBメモリからの起動が可能になる。

●インストールUSBメモリを作成する際の注意点

■Windows XP/Server 2003はまったく利用できない
 ブート可能なインストールUSBメモリを作成するには、Windows Vista以降のWindows OSが稼働する作業用PCが必要になる。残念ながらWindows XP/Server 2003のdiskpartコマンドではUSBメモリが認識されないため、USBメモリに対するパーティションの操作が行えない。

 またWindows XP/Server 2003をインストールするためのUSBメモリは、起動方法が異なるため、上記の方法では作成できない。Windows Vista以降のWindows OSなら作成可能だ。

■必要なUSBメモリの容量
 Windows OSのインストール・ファイルは、OSにもよるが合計で2.2G〜4.1Gbytes程度あるので、この容量以上のUSBメモリを用意する必要がある。公称4GbytesモデルのUSBメモリでもフォーマット後の容量は3.7Gbytes程度しかないので、余裕を持って8Gbytes以上のモデルを選ぶ方が無難だろう。また編集部で試した限り、USBインターフェイスに直接接続可能なMicroSDカード・リーダーでもインストールUSBメモリ(microSDカード)が作成できた。

■UEFI対応PCには64bit版Windows OSが必要
 MacBook ProやMacBook AirなどのようにUEFIのみに対応するPCの場合、UEFIからブートできるWindows OS、すなわち64bit版Windows OSのインストールDVDからインストールUSBメモリを作成する必要がある。32bit版Windows OSから作成しても、UEFI対応PCでは起動できない(ブート・デバイス一覧にインストールUSBメモリが表示されない)ので注意が必要だ。また2Tbytes以上のディスクにWindows OSをインストールしたい場合も、UEFIと64bit版Windows OSが必要になる。詳細は次の記事を参照のこと。

■更新履歴

【2013/11/15】Windows 8.1/Windows Server 2012 R2に関する記述を追加しました。

【2013/05/20】Windows 8/Windows Server 2008 R2/Windows Server 2012に関する記述を追加しました。またPC起動時にブート・デバイスを選んでインストールUSBメモリから起動する手順を追加しました。

【2010/01/22】初版公開(対象はWindows Vista/Windows Server 2008/Windows 7)。


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