(救急隊員)救急患者受け入れ要請。
(無線)「容態は?」意識レベルJCS3桁。
血圧80の42。
脈拍114。
呼吸22。
(無線)「了解」
(救急車のサイレン)はい。
着きましたよ。
(荒木)着きましたよ。
わかりますか?
(ルミ)大丈夫ですか?
(荒木)バイタルは?
(救急隊員)血圧84の40。
脈110回。
呼吸浅く20回。
サチュレーション酸素投与で90パーセントです。
呼吸状態が不安定ですね。
(荒木)ああ。
胸郭動揺が認められます。
(荒木)移すぞ。
12…。
(一同)3!
(荒木)はい着きましたよ。
はい大丈夫ですよ。
わかりますか?病院ですよ。
レントゲン頭胸腹骨盤四肢!
(看護師)はい。
(携帯電話)
(荒木)放っとけ。
先生サチュレーション下がってます。
(携帯電話)
(笛吹悦子)もしもし?もう一体どこまで行っちゃったのかなぁ?享くんは。
(ルミ)あの…すいません。
こちら青梅市の中央病院なんですけども。
病院?
(杉下右京)失礼。
(イヤホンから漏れる音楽)
(ノック)
(イヤホンから漏れる音楽)お取り込み中…すみません。
(ケンタ)うわっ!どうも。
先ほど甲斐享がこちらに運び込まれたと聞いてやって来たのですが。
甲斐…?享。
ちょっと待って。
ご家族の方ですか?甲斐さんの。
いえ家族ではありませんが関係者です。
私がご案内します。
ああもうちょっとでわかるから待って。
あった。
えーっと今ICU。
東棟の…。
ふと思ったのですがあなたはこの仕事には向いていないかもしれませんねぇ。
(ため息)ご丁寧にどうも。
こちらへ。
荒木です。
どうも。
警視庁の杉下と申します。
救急隊から通報がありましてこうして駆けつけました。
で彼の容態ですが…。
ご家族の方にお越し頂いた方がいいかもしれません。
つまりそれほど深刻だと?我々も全力を尽くしますが…。
(甲斐峯秋)その事なら1時間ほど前に連絡を受けたよ。
いや僕は無理だ。
これから大事な会合があるもんでね。
そうですか。
とにかくもういいね?ああ万が一の事があったらまた連絡くれたまえ。
じゃあ。
あっ杉下さん。
カイトくんが警察手帳を所持していたので救急隊から警視庁に通報があったんです。
けがはひどいんですか?先生は今夜がヤマだとおっしゃってました。
えっ…。
すいません…。
今日彼は非番でした。
どこで何をしていたのでしょう?ご存じありませんか?救急車が瀕死のカイトくんを収容したのは吹上街道沿いだそうです。
一体なぜそんなところで…。
あとにしてもらえませんか!すいません…。
ごめんなさい…。
出来る事ならば僕も今はただカイトくんの回復を祈っていたい。
しかしそうも言ってられないんですよ。
さっき杉下さん通報っておっしゃいましたよね?ええ。
これが単なる事故ならば通報ではなく連絡という言葉が適切でしょうねぇ。
救急隊から連絡があったというふうに。
事故じゃないんですか?事件です。
カイトくんはなんらかの事件に巻き込まれてこんな目に遭ったんです。
(救急車のサイレン)いたぞ!
(救急隊員)はい!
(三浦信輔)通報どおりの場所に甲斐享が転がっていたわけですか?
(救急隊員)木の陰に隠されたような状態でした。
(芹沢慶二)木の陰に隠された?
(救急隊員)ええ。
ちょっと目につきづらい感じでした。
夜ですし普通に走っていたのでは見過ごしてしまうでしょうね。
(芹沢)救急車の到着前に発見されるとややこしいと思ったんですかね?
(三浦)…かもな。
(携帯電話)
(伊丹憲一)あっ。
(携帯電話)
(ため息)はい伊丹です。
杉下です。
カイトくんの容態ですが予断を許さない状況です。
(伊丹)「そうですか…」そちらの状況は?今救急隊員に話を聞いてるところです。
これから吹上署に向かいます。
ああ警部殿もよろしければどうぞ。
頃合いを見てお邪魔します。
では。
ちょっといいですか?はい?はい。
これあげます。
おっ…これはまた奇妙なプレゼントですね。
何か手がかりになるかなと思って取っておいたんです。
手がかり?はい。
指に絡みついていたんです。
(荒木)ちょっと痛いですよ。
(ルミの声)放っておくと洗い流されて捨てられてしまうと思って…。
なるほど。
役に立ちますかね?ええ大いに。
フフッ…。
私いつも余計な事するなって叱られてばっかりなんですよ。
もう言われた事だけちゃんとやれって。
どうもありがとう。
はい。
(内村完爾)精鋭を向かわせろと言ったはずだ。
(中園照生)しかし伊丹たちもそれなりには優秀ですから…。
(内村)それなりでは困るんだよ馬鹿者!もっと優秀なのがいるだろう捜査一課には。
それがあいにくみんな出払っておりまして…。
次長の息子が事件に巻き込まれてるんだぞ。
他を差し置いてでも先に取り組む案件じゃないのか?モタモタと事件解決が手間取っていたら我々がとばっちりを受けるかもしれん。
それはもう重々承知しております。
わかってたら可及的速やかに事件を解決しろ。
いいな?失礼します。
まあ大丈夫ですよ杉下がいますから。
は?杉下右京です。
言われなくても捜査に参加するでしょう。
それは当然です。
部下が事件に巻き込まれたんですから。
杉下なら可及的速やかに事件を解決するでしょう。
貴様!うちの精鋭が束になってかかるより杉下一人の方が役に立ちますから。
ハハハハハ!何を言うか!失礼致します!コラッ!勝手な事ばかり言ってんじゃねえよ!
(オペレーター)「はい消防庁です。
火事ですか?救急ですか?」
(女性)「救急です。
けが人がいます」
(オペレーター)「場所をどうぞ。
住所をお願いします」
(女性)「住所は…番地まではわかりませんけど吹上街道の毛呂美里辺りで…」
(オペレーター)「交通事故ですか?」
(女性)「とにかく大けがしてます。
救急車お願いします」「あっ武蔵児童公園にある木の陰です」
(オペレーター)「あなたのお名前は?」
(女性)「いいから救急車お願いします!」
(通話の切れる音)
(オペレーター)「もしもし?もしもし!?」
(米沢守)これが消防庁から提出して頂いた通話記録です。
お聞きのように通報者はまず間違いなく女性です。
しかし名前を名乗りませんでした。
公衆電話からの通報だったために災害救急情報センターからの折り返しの電話も出来ず…。
つまりいまだに誰が通報者なのかは不明です。
通報者が今回の件に関係のない第三者だとしたら名前言わないのおかしいっすよね。
だいいち今時公衆電話なんか使わないぜ。
それをあえて使ったって事は正体を知られたくないからだろ。
つまり今回の件に関係している。
そう見て間違いないだろうな。
しかしあの坊っちゃんなんで毛呂美里くんだりに…。
それについてはひとつ手がかりがあります。
どうやらキノコのようですよ。
今夜はキノコ鍋を作ってくれるって言ってキノコ狩りに出かけていったんです。
彼結構そういうのこだわるんで。
キノコ狩り?ええ。
この辺り一帯でキノコが豊富に採れるところってある?ご覧のとおりの田舎で森や林はいくらでもありますからね。
敷地を開放してキノコ狩りで商売してるところも何軒かあります。
(芹沢)とりあえずその辺をしらみ潰しに当たってみますか。
周辺の地図を用意して頂けますか?
(2人)はい。
けどまあ甲斐の意識が戻ってくれりゃそんな事しなくて済むぜ。
今は皆目状況がつかめないが奴の目が覚めれば一発で解決だ。
覚めりゃあな。
え?ぶっちゃけやばいんでしょ?そうですねぇ…。
マジ死んじゃうって事ですか?担当の先生は最悪の事態も想定した口ぶりでしたねぇ。
あっそうそう。
手がかりといえばもうひとつ。
これなんですがね…。
ああはい。
これを調べてもらえますか?髪の毛ですか?ええ。
カイトくんの指に絡みついていたそうです。
(坂口冬二)いい?
(伏木田真智子)どうぞ。
何?
(坂口)お嬢は間違ってると…。
どうするんだ?これで全て台無しになっちゃったら。
おやじさんがなんのために…。
わかってるってば!どうわかってんのさ!?
(長尾恭子)だからって人殺しは嫌。
お前は黙ってろよ。
(生方豊茂)鳴りやんだ。
(心電図モニターの音)
(ルミ)甲斐さん?甲斐さんわかりますか?甲斐さん?甲斐さんわかりますか?甲斐さんちょっとまぶしいですよ。
(荒木)わかりますか?これで詳細がわかるな。
無駄な捜査もしなくて済みますね。
(荒木)意識が戻り容態も安定しましたのでこちらへ移しました。
じゃあ早速彼に話を聞きたいんですがよろしいですかね?いや…。
無理ですね。
いや手短に済ませますから。
いえそういう事ではなくて…。
(伊丹)は?
(芹沢)そういう事じゃないってどういう事っすか?
(携帯電話)もしもし。
杉下です。
死んだのかね?はい?万が一の事があったら連絡してくれと言ったはずだが?幸い命は取り留めました。
意識も戻りました。
無事だったらいちいち連絡してくれなくていいんだよ。
ですが記憶を失ったようです。
なんだって?記憶喪失ですよ。
(種村)全生活史に及ぶ逆行性健忘と診断しました。
過去の記憶について一切思い出せない状態です。
自分の名前はおろか住所職業経験した出来事など何も思い出せません。
前向記憶はしっかりしていますので意識を取り戻して以降の事は記憶しています。
見当識も問題ありませんから今現在自分のおかれた状況について認識しています。
記憶喪失は頭のけがが原因ですか?こちらですが脳にダメージはなく特に異常は認められません。
つまり回復の見込みは十分あるという事ですね?当然見込みはあります。
同じようなケースで1週間ほどで回復した例もありますから。
ただ治療法が確立されていませんので10年20年かかる場合もあれば最悪は一生記憶が戻らないという事も考えられます。
(甲斐享)警察官…?僕がですか?これが君の警察手帳です。
「甲斐享」…。
俺の名前は甲斐享?みんなはカイトって呼んでる。
あだ名ね。
昨夜君はここへ瀕死の状態で運び込まれた。
聞きました先生から。
(三浦)最初はひき逃げを疑われたがけがの状態から恐らく君は何者かに暴行を受けたものと思われる。
フッ…ひでえ事するなぁ…。
でもどうして?俺たちもそれが知りたいんだ。
すいません。
なんでもいい。
思い出してくれないか?何も…。
ごめんなさい…。
謝る事はない。
別に責めてるわけじゃないんだ。
あなたも警察の方ですか?そうじゃありませんよ。
こちらは君の大切な人です。
大切な人?ええ。
名前教えてもらえますか?笛吹悦子。
さて行きますか。
行くって?当てにしていたカイトくんの供述が得られなくなった以上独自に手がかりを探す他ないじゃありませんか。
そういう事だな。
警部殿には何か当てでも?
(悦子)すみません!享が…!鈴の音が聞こえる…。
鈴?はい。
鈴の音が…。
どういう事かな?わかりません。
でも鈴の音が…。
鈴の音ですか…。
(榊大志)よいしょ。
(鶏の鳴き声)ああお嬢冬二の奴見かけなかったか?ううん。
キョンは?ううん。
いないの?ああ。
朝飯のあと姿が見えねえんだ。
どこ行っちまったんだ?あいつは。
仕事ほっぽり出して。
キョン大丈夫か?平気。
ああ…。
シゲさん…。
ん?守りきれるかしら?ああ…こうなりゃ守るしかないだろ。
僕は普段あなたをなんて呼んでましたか?悦子とかエッちゃんとか…。
まあ…おまえとかてめえとか気分によって色々。
気分次第ですか…。
でもてめえはひどいな…。
フフフ…。
どこで出会ったんですか?僕たち。
ああ…夜行バス。
マイアミ発ニューヨーク行きの。
夜行バスで出会ったんですか?そう。
座席の事でもめたの。
もう大ゲンカ。
それが出会い。
初対面でケンカですか…。
うん。
あっでもそれがきっかけで2人に恋が芽生えた。
ロマンチックでしょ?そうかなぁ…。
ん?フフフ…。
フフフ…!ハハハ…!家族はいないのかなぁ?え?僕家族はいないんですか?誰も来てないみたいだけど。
お母さんとお兄さんは海外にいらっしゃるって言ってた。
父は?お父さん?お父さんは…。
もういない?死んじゃった?ううん。
お忙しい方だから…。
ああ…あれだね。
着替えとか取りにいってくる。
そうそうそうする。
おとなしくしててね。
この状況で騒げると思いますか?ああ…だね。
いってくる。
どちら様ですか?俺今記憶が…。
本当なんだね記憶喪失って。
え?あ…すいません。
お名前教えてもらえますか?あの…。
(角田六郎)こっち…。
(大木長十郎)ええ。
ここさっきも来たよ。
いやいやそんな事ないでしょ。
(大木)この奥じゃないですか?兄さん。
やばいよこれ見えてるよ。
パクられちゃうよ。
ちゃんと隠して持たなきゃ。
俺が夜勤明けだった事に感謝しな。
バーイ!どうだ?調子は。
いやいいわかってる。
まず俺たちが誰かわからないんだろ。
まあ記憶がないとこ見舞ってもどうかとは思ったんだが案外刺激になってヒョイッと元に戻るかしらんと思って…。
あえてやって来た。
どうだ?戻ったか?…いいえ。
そうか…。
いやいい気にするな。
そんな簡単には戻らんよな。
すいませんが…どちら様ですか?俺は見てのとおりブルース・ウィリスだ。
頭髪の具合がどう見てもブルースだろ。
お前誰だ?俺っすか?じゃあジョニー・デップで。
(角田)なるほど。
お前は?
(小松真琴)ロバート・デ・ニーロで。
もう帰ってもらえますか。
どうだこんな具合だが記憶は戻りつつあるか?
(ノック)
(月本幸子)どうも。
ああ…お加減いかがですか?ってどう見てもよくなさそうな方にお聞きしてる自分がマヌケでとっても嫌なんですけど。
いかがですか?ああ…見てのとおりです。
ですよね。
すいません。
ああこれ…私持ってきたんです。
カイトさんが…あっすいません。
よいしょ…。
カイトさんがお好きなものばかりです。
うちで召し上がってもらってるものばかり。
食べたら記憶がよみがえってくるかもしれないと思って。
召し上がります?俺まだ食事が…。
そうですよね…。
あらやだどうしよう…。
じゃあにおいだけでも。
あの…失礼ですが…。
あっそうですよね。
私は…。
あんたひょっとして月本…。
…幸子です。
えっ?あっやっぱり警察の方でしたか。
(角田)なんであんたがここにいるんだよ?こいつとどういう関係だ?
(幸子)う〜ん…。
説明すると長くなりますから省いてもいいですか?かれこれ1時間ああやってますよ。
いいじゃねえか気の済むまでやらしときゃ。
警部殿の事だ必ず何か見つけ出すさ。
収穫ありました?まあ収穫と呼べるかどうかはわかりませんが。
もったいぶらずに聞かせてくださいよ。
もちろんお聞かせしますよ。
僕もったいぶってます?警部殿…。
言葉の綾ですから気になさらずにどうぞ。
ではカイトくんが救急車に収容されたのがここ。
(伊丹)この木の陰に隠すようにしてあったと。
119番通報をしたという公衆電話があそこ。
(芹沢)ええ確認済みです。
間違いありません。
つまり通報者はあそこで電話をかけて瀕死のカイトくんをここまで運んだ。
どうやって?えっ?おぶって運んだのでしょうか?いやぁ車でしょう。
ええ僕もそう思います。
仮におぶって運んだのだとすると犯行現場つまりカイトくんが暴行を受けた現場がこのごく近辺でないと厳しい。
おぶって運んでくるとなると骨ですからねぇ。
はい。
ゆうべこの辺りを一通り調べた鑑識も犯行現場は別の場所という見解でしたよね。
僕も鑑識の見解を支持します。
つまりカイトくんは犯行現場から車で運ばれてやって来た。
ここまではよろしいですか?ああ結構です。
どうぞ。
さてせっかくけが人を車に乗せたのならばそのまんま病院に担ぎこんだらよかったじゃありませんか。
そう思いません?いやいやいや…。
だって直接病院に運んだら面割れちゃうし。
ええ通報者は身元を隠している節がありますね。
わざわざ公衆電話を使ったのもそれを裏づける行動のひとつでしょう。
ですね。
そこで僕は通報者の気持ちを忖度してみました。
けが人の命を助けたくて車に乗せたが身元は知られたくないから病院までは運べない。
となると途中で救急車を呼ぶ事になるが携帯で呼ぶと身元が特定されてしまうから公衆電話を使うしかない。
そういう気持ちで車を走らせていたとしたら真っ先に発見した公衆電話を使いませんかねぇ。
真っ先に?言い換えれば犯行現場から最も近い公衆電話でしょうか。
はぁ〜。
ここでひとつカードを切りましょう。
カードって?我々が手がかりとして持っているカードです。
すなわちキノコ狩り。
ん?あっ…。
この公衆電話に一番近いキノコ狩りの出来る場所って事ですか?ヒットする可能性は高いと思いますよ。
(生方)冬二!
(榊)ふーちゃん…。
どこへ行ってたんだ?病院。
(2人)え?どっか悪いの?馬鹿。
あいつ記憶なくしてた。
何言ってんだお前…。
(榊)記憶喪失なんて幸いじゃない。
ねえそうだろ?
(三隅慎二)でもずっと記憶をなくしたままって保証はないからな。
(榊)そうだけど…。
当面無事に過ごせるだけでも助かるじゃん。
どうやって担ぎ込まれた病院を突き止めたんだ?ゆうべお嬢をつけた。
そのあと救急車を追って…。
どうしてまた今日病院になんて行ったの?様子を見に行っただけだよ。
(生方)もしも記憶をなくしてなかったらどうするつもりだったんだ?え?様子を見ただけで帰ってきたか?殺しに行ったくせに。
キョン…。
決まってるよそんなの。
そもそもお嬢のせいじゃねえか!お嬢が仏心なんか出すからこんな事に…。
いいか冬二!お嬢が助けたのは彼だけじゃねえんだぞ!俺たちもなんだ!
(三隅)お前なんかに邪魔させねえぞ!うぉー!やめて!お願いやめて!
(生方)あん時お嬢が止めてくれなかったら俺たちは人一人殺してたんだぞ!
(ため息)わかったよ。
あいつも俺たちもお嬢に救われたって事でいいさ。
でもそのおかげでおやじさんが危険にさらされてんじゃねえか!いいのかよそれで?いいのかよ?お嬢!それで!おやじさんはなんとしてでも守る。
守らなきゃならねえんだ。
「季節には特にキノコが豊富です」「まろく庵この先」…と。
警部殿!元気いいなまったく。
(戸をたたく音)は〜い。
(芹沢)ごめんください。
どうぞ。
お邪魔します。
(三浦)まろく庵というのはこちらですね?
(真智子)はい。
(伊丹)我々警視庁から来ました捜査一課の伊丹と申します。
三浦です。
芹沢です。
それと…。
あれ?もう何やってんすか?いえこれです。
こちらが馬ですね。
そしてこちらは鹿。
面白いですね。
(生方)はい。
馬鹿です。
あっ…ようこそいらっしゃいました。
ひょっとしてまろく庵の「まろく」を漢字で表記すると馬鹿。
馬を「ま」と読み鹿を「ろく」と読むわけですか?
(生方)すなわち馬鹿庵です。
しかし馬鹿庵だと語呂も体裁もよくないという事で読み方を変えてひらがな表記にして「まろく庵」としたそうです。
いやぁ亡くなった庵主の口癖が「小利口になるより大馬鹿になれ」でしたからそういった思いがこもってるのかもしれませんな。
なるほどそういう事でしたか。
あっ気がつきませんで。
よろしかったら中へ。
お茶でも差し上げますよ。
しかし皆さんキノコ狩りという感じじゃないですな。
そもそも服装が…。
警察の方だそうよ。
ああなんとまあ…お見逸れ致しました。
警視庁の杉下と申します。
杉下です。
でどういったご用件でわざわざこんな森の奥まで?知らねえな。
知らないっす。
知らない。
見た事ないっすね。
いや…。
存じ上げません。
(伊丹)そうですか。
どなたも見覚えありませんか。
はぁ…。
ちなみにその方どうかなさったんですか?暴行傷害事件の被害者なんですよ。
場合によっては殺人未遂事件ですが。
まあいずれにせよ現在捜査中でして。
キノコ狩りに来ていたところ襲われたようで。
キノコ狩りの出来る場所だったらこの辺りいくらでもありますよ。
ですからしらみ潰しに当たろうかと。
下手な鉄砲も数を打てば当たると言いますからね。
そりゃまあお仕事とはいえご苦労な事ですな。
実はその皮切りがここなんですよ。
はい?しらみ潰しの手始めにこちらへお邪魔しました。
ああそうですか。
数多あるキノコ狩りの出来る場所の中からまずはこちらを選んだんです。
なんだか謎をかけられているようですな。
それじゃあ聞きましょうか。
それはなぜ?いくら下手な鉄砲でも一応は狙いを定めて撃つものですよ。
ハハハ…なるほど。
ええ。
せっかくおいで頂いたんですけどどうも我々はお役に立ちそうもないですな。
申し訳ありません。
そうですか。
じゃあ失礼します。
ああ…お手洗いをお借り出来ますか?はい。
こちらです。
どうも。
(真智子)杉下さん。
こんなところで何なさってるんですか?道に迷ってしまいましてね。
(真智子)はあ?お手洗いを出た途端右と左がわからなくなってしまいましてフラフラしているうちにここに。
警察の方ってこういう事するんですね。
僕は特に警察を代表しているわけではありませんから僕を基準に判断されても困るのですが…。
どうかこの件は内緒に…。
叱られてしまいますので。
皆さんお待ちかねですよ。
あっ…。
この方が亡くなられた庵主さんですか?あなたのお父様でしたね?そうですよ。
半年前にガンでこの世を去られたとおっしゃいましたね。
それが何か?あっいえ…。
失礼。
ああ…もうひとつだけ。
なんでしょう?車をそばで拝見させてもらってもよろしいですか?車?外に止めてあるワゴン車です。
なぜですか?何か不都合でも?ほら壊れてるここ。
事故でしょうかね。
ハンドルを切り損ねたんです。
あなたが?ええ。
どこで?下の道ですよ。
吹上街道?ですね。
それはいつ?どの辺りでの事でしょう?ああ…いずれにしてもごく最近の事でしょうね。
特にサビなども出ていませんし。
1週間くらい前だったかしら。
場所はここから少し走ったところです。
正確な番地まではわかりません。
1週間ですか…。
湿気が多いと1日でサビが出たりしますが1週間サビが出ない。
なぜでしょう?そんな事…サビに聞いてください。
ホホホ…。
失礼。
なるほど。
ハンドルを切り損ねた理由はなんでしょう?急にタヌキが道を横切ったので。
タヌキ!?この辺多いんですよタヌキ。
(生方)タヌキだ。
それがどうかしたのかな?車の中拝見させて頂いてもよろしいですか?断ります。
調べたければ令状を持ってらっしゃい。
ちゃんとした手続きを踏んだ捜査ならばどんな事にも協力しますよ。
お帰りください。
失礼します。
当たりだな。
あの声間違いないだろ。
119番通報したのはあの女だ。
この辺多いんですよタヌキ。
俺もそう思いました。
だからちゃんと録音しときました。
あの若い娘も気になるな。
(伊丹)茶髪の女か?知らない。
カイトの指に絡まってたのはあの子の髪の毛かもしれませんね。
それから首の包帯。
あれ気になりますよ。
ねえ気になりません?ええ僕は皆さんの見解を全て支持しますよ。
は?ところで皆さんはどっかで鈴の音を聞きましたか?いえ聞いてませんが。
聞いてません。
警部殿聞きましたか?いいえ僕も聞いていません。
カイトくんはこの森のどっかで鈴の音を聞いたのでしょうかねぇ…。
ねえお嬢。
私怖いよあの人。
え?杉下って人。
2015/07/30(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒Eleven[再][解][字]
「森の中」
詳細情報
◇番組内容
杉下右京(水谷豊)の相棒(?)として甲斐享(成宮寛貴)が特命係に飛ばされてきた!父親は警察庁次長(石坂浩二)、恋人は客室乗務員(真飛聖)。
右京と享の新特命係のコンビが新たな謎に挑む…。
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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