(恭子)律はずっと知りたがってるの。
あなたが自分を愛してくれていたのかどうか。
(真也)「律。
生まれてきて幸せだった?」「ずっと聞きたくて聞けなかった」「こんな生みの親のことは忘れてください」
(真也)「あなたとあの子の未来がずっと光り輝くように祈っています」
(律)何で?
(律)何で?何で勝手にいなくなるんだよ。
(律)スーパーのパートも蒲田のお店も辞めてしまったそうです。
荷物もそのままで。
大家さんも連絡がつかないって。
(隆)あいつもう戻らないつもりだ。
(律)路加のスプーンです。
路加に渡してください。
(隆)ああ。
・
(ドアの開閉音)
(奏)何も言わずにいなくなっちゃうなんて。
(調)路加のやつ大丈夫かな?・
(ノック)・
(ドアの開く音)
(恭子)律。
大丈夫?
(恭子)それ…。
(律)あの人。
僕にも銀のスプーン用意してくれてたんだ。
僕を産んだ中学生のときに。
(律)やっぱりあの人ちゃんと愛してくれてたんだ。
路加のことも僕のことも。
このままずっと会えないままなのかな?言いたいこといっぱいあるのに何も言わずにいなくなるなんて。
ごめん。
気持ち切り替えないとね。
(路加)あっ。
僕のスプン。
(隆)律兄ちゃんが持ってきてくれたんだぞ。
(路加)えっ?お兄ちゃんが?ママは?
(隆)ママはまだちょっと仕事が忙しいようなんだ。
(路加)そっか。
早くママ来てくれないかな。
(志穂)路加君。
お夕飯早速そのスプーンで食べよっか?
(路加)うん。
(志穂)じゃあお手伝いしてくれるかな?
(路加)うん。
行こう。
(志穂)うん。
・
(ドアの閉まる音)
(三崎)そうか。
母ちゃんの入院する日決まったか。
はい。
お二人にも伝えておかなきゃって思って。
(絹江)分かったよ。
それならその日朝からあんたんちにお邪魔しようかね。
色々と準備もあるだろうし手伝えることは手伝うよ。
いいよね?あんた。
(三崎)ああ。
ありがとうございます。
(若月)おばさん。
早くよくなるといいな。
ありがとう優。
(斎木)それはそうとあっちの親の居所はまだ分からんのか?うん。
一柳さんが心当たりを捜してくれてるみたいなんだけど。
携帯もつながることはつながるんだけどすぐ留守電になっちゃうんだ。
(若月)路加はそのこと知ってるのか?まだ。
僕も一柳さんもどう言えばいいか分からなくて。
(若月)だよな。
もし知ったらやっぱ寂しがるよな。
(斎木)でもいつかは知らさねばなるまい。
えっ?
(斎木)このまま隠し続ければその母親のことだけでなく律や父親のことも信じられなくなるぞ。
周りにいる人間だけでもちゃんと向き合ってやるべきだ。
(三崎)確かにな。
(三崎)子供は子供なりにちゃんと周りを見てるからな。
(チャイム)
(路加)お兄ちゃん。
路加。
ちょっと待って。
路加。
お留守番中なんだね。
(路加)うん。
パパはお仕事で志穂お姉ちゃんはお買い物。
路加。
一人でいるときは誰かが来ても出ちゃ駄目だよ。
だってあそこにお兄ちゃんが映ってたんだもん。
そっか。
じゃあ志穂さんが帰ってくるまでお兄ちゃんが一緒に遊んであげるよ。
やったー。
でもその前に路加に伝えなきゃいけないことがあるんだ。
路加のママのこと。
ママのこと?あのね路加のママはね…。
あっ。
そうだ。
お兄ちゃん。
あのね僕すりりんご作りたいの。
えっ?ママ元気ないって聞いたからすりりんご食べたら元気になるんでしょ?僕も入院したとき食べて元気になったから。
僕ママのことを元気にしたいの。
そっか。
やっぱり路加はママのこと大好きなんだね。
うん。
《お母さんのホントの気持ちも言いたくなったらそこに書いてね》《僕たちはお母さんのこと信じてるから》《お母さんが大丈夫って言ってる間は僕たちも大丈夫だって思ってるからね》お母さん。
ごめん。
今日たぶん遅くなる。
(恭子)別にいいわよ。
じゃあお夕飯はお母さんが作るから。
入院まで日がないのにホントにごめん。
気にしないで。
律。
どうしたの?お母さん。
今からやろうとしてることがあるんだけどもしかしたら誰かを傷つけちゃうかもしれないんだ。
えっ?それでも路加のためにやらなきゃいけないと思ってる。
だったら自分を信じて。
えっ?何があってもお母さんは律の味方だから。
お母さん。
ありがと。
(バイブレーターの音)
(真也)ハァ…。
(徹平)辞めたはずのお前が何でここで飲んでんだ?
(真也)いいでしょ?今はただの客なんだから。
(バイブレーターの音)
(徹平)出ないんだったら切っとけよ。
(徹平)うるさくてかなわない。
(バイブレーターの音)
(バイブレーターの音)
(真也)路加は?
(隆)真也。
すまない。
(真也)どうしてこんなことになったの?信頼して託したのに。
(志穂)違うんです。
悪いのは私なんです。
私がちゃんと見てれば。
ごめんなさい。
ごめんなさい…。
あの子に何かあったら私…。
(隆)とにかく警察に連絡しよう。
もしかしたら…。
そうそう。
上手だね。
これでママ元気になるかな?大丈夫。
ママきっと元気になるよ。
うん。
・
(ドアの開く音)・
(真也)路加?
(路加)ママ!
(真也)あなた何してるの?路加。
ママのためにすりりんご作りたいって。
だから一緒に待ってたんです。
真也さんのこと。
よかったです。
来てくれて。
あなたバカなの?こんなことしてもし隆たちが警察にでも連絡してたら冗談じゃ済まないのよ?そのときは謝ろうと思いました。
でも真也さんなら気付いてくれるって信じてました。
路加。
パパのところに帰るのよ。
(路加)やだ。
僕ここにいる。
えっ?ここにいないとママまたどっか行っちゃうんでしょ?だから僕ここにいる。
全部話しました。
真也さんが路加のことを思っていなくなろうとしてること。
一柳さんのところにいればきっと苦労をしないことも。
真也さんたちは散々考えたことかもしれませんけどだったら路加にも考える時間をあげるべきじゃないですか?路加言ったんです。
ママと一緒にいたいって。
《ねえ。
路加。
一つだけ聞いてもいいかな?》《路加のママ。
このままじゃいなくなっちゃうんだ》《えっ?》《路加のママが路加はパパのうちの子になった方が幸せになれるからって決めたんだ》《路加はどうしたい?》《このままパパたちと一緒に暮らしていくかそれともやっぱりママと一緒にいたいか》《僕ママといる》《パパたちも路加と一緒にいたいかもしれないよ?》《でもパパには志穂お姉ちゃんがいるもん》《えっ?》《パパには志穂お姉ちゃんがいるけどママには僕しかいないから。
だから僕ママと一緒にいる》いきなり結果だけ押し付けて子供は受け入れるしかないんですか?そのせいでどんなに悩んだり傷ついたりしたか。
あなたたちは分かってるんですか?たとえ選ぶ道がどんな道でもちゃんと気持ちを伝えてください。
僕たちの気持ちも聞いてください。
それだけで子供は救われるんです。
僕は生まれてきて幸せでした。
だから忘れろって言われても僕を産んでくれた大切な人のこと絶対に忘れません。
律。
だから戻ってきてください。
あなたのことを思ってくれてる路加のところに。
ママ。
これ食べて。
そうすればママ元気になれるよ。
ねえ。
ママ。
僕ママと一緒にいちゃ駄目?僕もっといい子になるから。
だからママと一緒にいさせて。
ママ。
(真也)路加。
ごめんね。
ママ間違ってた。
これからはもう路加のこと離さない。
何があってもずっとそばにいるから。
うん。
志穂さんを傷つけるような形になってしまって申し訳ありませんでした。
(志穂)ううん。
私は大丈夫よ。
私が路加君を一人にしてしまったのは事実だし。
でも路加君に何かあったらと思ったらホントに怖かった。
すみません。
(志穂)でも真也さんはもっと心配だったと思う。
だから帰ってきてくれたんだと思う。
路加君もママに会えてうれしそうだった。
(志穂)律君。
本当にありがとう。
いえ。
・
(ドアの開閉音)
(隆)律。
すまなかった。
えっ?19年前俺は君のことも真也のことも守れなかった。
今回も君がいなければまたあいつを傷つけるとこだった。
あいつだけじゃなく路加や志穂のことも。
これからはもう後悔するようなことだけはしない。
嫌がられようが何だろうが真也のことも路加のことも志穂のことも俺が守る。
それが俺にできる君への償いでもあるから。
僕は償ってほしいなんて思ってません。
僕の父は僕を育ててくれた早川の父です。
父との思い出があるから僕は寂しいこともつらいこともありませんでした。
それはこれからも変わりません。
でも今の言葉はうれしかったです。
真也さんのことも路加のことも志穂さんのこともあなたが見守ってくれているなら僕は安心できます。
僕のもう一人の父親のことも僕は信じてます。
律。
だからもう逃げないでください。
今の言葉をずっと守ってください。
ああ。
約束する。
《伝えたいことは伝えられた?》《言葉は足りないかもしれないけどでもちゃんと伝えたよ》《僕のこれまでの気持ち》《うん》《お母さんが背中押してくれなかったらたぶんあんなことできなかった》《よく頑張りました》《お母さん。
ありがとう》
(真也)《興味ないの。
君にも路加にも》
(真也)《中途半端な優しさは結局相手を傷つけるのよ》
(真也)《私一人じゃあの子との時間をちゃんとつくってあげられないの》《もっともっと路加にさみしい思いをさせてしまうの》《これからはもう路加のこと離さない》《何があってもずっとそばにいるから》
(花山)《恭子ちゃん。
入院まで時間はないけどもう一度だけ何が一番大切か考えてくれ》
(従業員)かしこまりました。
急に呼び出してごめんなさい。
(真也)気にしないで。
路加君のこと元に戻って本当によかったわ。
(真也)ありがとう。
あなたにもあの子にも色々迷惑掛けちゃったけど。
ううん。
でも本当によかった。
(真也)で話って?私ねがんが再発してしまったの。
それで真也さんにお願いがあって。
私にもしものことがあったとき律のことあなたに託したいの。
2015/07/30(木) 13:25〜13:55
関西テレビ1
明日もきっと、おいしいご飯 〜銀のスプーン〜 #44[字][デ]
母・恭子(富田靖子)の病気の再発、実父・隆(和田聰宏)との確執、そして実母と実弟の幸せ…。律(高杉真宙)たちと料理が紡いできた、家族の絆の物語。その結末とは…。
詳細情報
番組内容
律(高杉真宙)が真也(河井青葉)を訪ねるとそこにはもう真也の姿はなかった。「律、生まれてきて幸せだった?」そんな想いをしたためた律への手紙と、路加(山口祐輝)が大切にしている銀のスプーンを残し、真也は消息を絶つ。勝手にいなくなってしまった真也を想い、悔しさで慟哭する律。隆(和田聰宏)も行方を探すが、手掛かりはつかめずにいて…。
番組内容2
「真也がいなくなったことを隠し続けていると、路加は周りの人間を信じられなくなってしまうのではないか」斎木(尾関陸)の言葉はもっともだった。だが、どう伝えればいいのか…。律は隆の家にいる路加に会いに行くが、大喜びで出迎える路加の姿に苦しくなる。それでも伝えなければいけない…。
「路加…ひとつだけ聞いてもいいかな?」律は今から自分がすることが、誰かを傷つけてしまうかもしれないと理解していた。
番組内容3
しかし、それでも路加のためにやらなければいけない…、入院を控えている恭子(富田靖子)に電話でそう伝えると、恭子は優しく息子の背中を押す。「何があってもお母さんは律の味方だから」電話を切った律は、覚悟の目で路加を見つめ…。
出演者
早川 律:高杉真宙
早川恭子:富田靖子
花山大輔:山田純大
雨宮真也:河井青葉
鈴井 環:岩田さゆり
茂木和彦:木本武宏
・
早川 調:前田旺志郎
早川 奏:田附未衣愛
雨宮路加:山口祐輝
・
一柳 隆:和田聰宏
鈴井みつ子:芳本美代子
小川絹江:藤田弓子 ほか
スタッフ
【原作】
『銀のスプーン』小沢真理(講談社「Kiss」連載中)
【脚本】
森山あけみ
【演出】
金子与志一
【プロデュース】
松本圭右(東海テレビ)
西 麻美(松竹)
原 克子(松竹)
竹内絵唱(松竹)
【音楽】
市川 淳
【主題歌】
高橋 優「おかえり」(ワーナーミュージック・ジャパン)
【制作著作】
松竹株式会社
【制作】
東海テレビ
ご案内
【公式サイトURL】
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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