4ハートネットTV 第20回NHKハート展(4)「たんぽぽ」 2015.07.30


こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日は昨日に引き続き20回目を迎えたNHKハート展の入選作品をご紹介します。
では早速今日のゲストをご紹介します。
イラストレーターのエムナマエさんです。
よろしくお願いします。
こんばんは。
よろしくお願いします。
エムさんは30年前に目が全く見えなくなったんですけどもその後も絵を描き続けてこのハート展には過去にも2回作品を寄せています。
その作品が今私たちの目の前に出ていますけれどもハートがたくさんあしらわれた作品になってますね。
これはハートなんですけれども実は桜の舞い散る花びらという事で…。
左側の?はい。
そういうイメージなんですね。
詩を読んで絵を描くという事ですけども一番大切にしてる事ってどんな事ですか?その詩に込められた書かれた方の思いをそのまま受け取ってそしてそれを巧みに表現するというかそのままストレートに表現する事を努めてます。
とても深い詩が多いですよね。
今回もエムさんにはイラストを描いて頂いています。
後ほどその作品ご紹介します。
まずは詩をご紹介します。
タイトルは「たんぽぽ」。
さあこの詩はどのように生まれたんでしょうか。
こちらをご覧下さい。
詩を書いた…1歳の時全身にやけどを負いました。
一命は取り留めましたが手の指を失うなど体のあちこちに後遺症が残りました。
やけどを負って以来明日香さんは熊本市内の医療施設で暮らしています。
今も定期的に皮膚の移植手術を受ける必要があるからです。
1歳の時から続く家族と離れ離れの生活。
お気に入りの縫いぐるみがいるこの4人部屋が明日香さんの我が家です。
(取材者)かわいいね。
クマちゃん。
明日香さんは高校3年生。
行ってらっしゃ〜い。
学校はエレベーターで上がった同じ建物の2階にあります。
今日は3月の17日火曜日ですね。
ここでは施設で暮らしている10人が学んでいます。
明日香さんはほとんど外に出る事ができません。
紫外線を浴びると皮膚がんになるおそれがあるからです。
10年以上にわたり施設と学校を行き来する毎日を送ってきました。
そんな明日香さんの楽しみは教室の窓から外の景色を眺める事です。
時には何時間も眺め続けています。
マグネットが落ちてる?どこ?四角いやつ?窓の外に広がる世界…。
そこには小さな驚きや発見が満ちあふれています。
今回入選した詩は教室の窓から見えたたんぽぽからイメージを膨らませました。
たんぽぽに向けられた優しく温かなまなざし。
外の世界に対する憧れがみずみずしい感性を育んでいます。
「あっ鳥だ」とか。
「この鳥そういえば昨日も来た」とか何かそういう話をボソッとするんですけど。
それで詩を書こうかという時もしばらくずっと窓見てらっしゃったので多分何か探してるんだろうなと思って…。
この日「たんぽぽ」の詩に絵を寄せてくれたエムナマエさんが明日香さんを訪ねました。
明日香さん前に…。
あっいらっしゃるの?はい。
こんにちは。
こんにちは。
エムさんは37歳の時病気のため両目が全く見えなくなりました。
以来線のくぼみを指先でなぞりながら絵を描いています。
上はどっちです?こっちですね。
この日明日香さんのためにプレゼントを用意していました。
じゃあ今ね僕の絵を出しますから明日香ちゃん見て下さい。
いいですか?これが僕の絵です。
見えますか?かわいい。
本当?よかった。
これね空飛んでんのねこれ明日香ちゃんだよ。
(明日香)似てる。
本当?僕の中の明日香ちゃんね。
最初にねだからあの詩を読んだ時にね明日香ちゃんはこういう女の子だなと思って描いた絵です。
でね下に天使みたいな子どもたちがいるでしょ?それがたんぽぽの天使なの。
明日香ちゃんさ声すごいかわいいね。
初めて褒められた。
本当?すっごい声かわいい。
(畠村)よかったね。
(笑い声)明日香さんの声で「たんぽぽ」の詩を聞いてみたい。
エムさんは朗読をお願いしました。
じゃあ詩を読んで頂けます?はい。
お願いします。
「たんぽぽ」。
はい。
「たんぽぽってね黄色くなるの卵のきみみたいだね。
黄色から白にかわるのが面白いね。
白になるとわたみたいにフワフワ…フワフワと…とんでいくの。
雪みたいだね。
たんぽぽが言ったよ。
『また、来年もくるね』。
まってるね」。
ありがとうございます。
何回…何回聞いてもいいねこの詩。
ゆっくり読んでくれたから詩が僕の心の中にすごい深い所にまでねストンッて入ってそう胃袋に落っこったの。
明日香さんと実際にお会いになってどんな事感じました?VTRの中でも言ってましたけど本当にかわいいんですよ彼女。
声が笑っていてね。
声が笑っている?しゃべってる声が笑ってるんです。
何か彼女のいいところから出ている声だなってね僕そういうふうに思いましたね。
それと詩の朗読もお聞きになりましたけども何回も聞きたいねっておっしゃってましたね。
またね本当に…何て言うかな。
今回も僕胃袋の中にストンと落ちたんだけどあの「まってるね」ってあの「ね」がたまんなくいいですね。
本当に彼女の全身全霊から出てる「まってるね」なんですよ。
こう前向きに生きたいという気持ちも…。
実はあのベッドの上の方に習字で「夢を叶える明日へトライ」というのを書いて貼ってたんですよ。
それは初めて聞きました。
へえ〜。
何て言うかな…。
彼女から本当にいいものがたくさん出ているという感じでね。
会った時に本当に僕明日香さんに引き込まれていたんですけど…。
なかなか外に出られないという中でそういう制限がある中で自然に対してとても新鮮な気持ちで詩を書いたと思うんですけどもどんな事を感じました?出られないからこそまた見たい行きたいっていう気持ちがあるんでしょうけども僕彼女の世界であるあのベッドから彼女は何か全てを見ているようなそんな気がしましたね。
全てを見ている?彼女が見たいという気持ちが彼女にいろんなものを見せているというね。
少ない情報から最大限のものを彼女の中にある全てのものを何か見ているような…。
恐らく彼女の中の世界というのは外の世界と同じぐらい大きいものがあるのかもしれないなっていうふうに僕は感じたんですけど。
エムさんどうでしょう?目が見えない中で作品を描いていると。
何か共通する事ってありますか?具体的に僕に何が見えるのかという事よりも見えない事によって見ようとする態度がね。
自分の立ち位置からもっと高い所に自分を飛ばしてこの世界を俯瞰させてくれてるのかなという気がする事はありますね。
そうするとエムさんの創作活動の中で今回明日香さんに出会えた事というのはとても大きいんではないですか?とにかく彼女から大きな刺激を受けましたね。
すばらしい詩人だと思います明日香さんは。
いろんな表現がありましたもんね。
さあその明日香さんですけども1歳の時から医療施設で暮らしてきました。
その明日香さんこの春一つの節目を迎えました。
こちらご覧下さい。
施設に暮らして17年。
明日香さんは身の回りの事はできるだけ自分でしています。
しかし幼い頃はやけどの後遺症で手がうまく動かせず一人で洋服を着る事もできませんでした。
そんな明日香さんを支えてくれたのが父の博信さんでした。
リハビリの時皮膚が突っ張って痛いと泣いて嫌がった明日香さん。
博信さんは「できる事が増えると人生が楽しくなる」と励まし続けました。
いっぱい。
靴履いたり洋服着替えたり料理洗濯…。
自分の事ができるようになった。
しかし高校1年生の時博信さんが病気で亡くなります。
明日香さんは心のよりどころを失いました。
ボソッと私に教えてはもらったんですけどそれ以上は語らなかったんですが多分つらかったんだとは思います。
明日香さんの悲しみを癒やしてくれたのは同じ教室で学ぶ友達でした。
1つ年下の…重度の脳性まひがあります。
明日香さんと同じく嵐が大好きです。
夢奈さんとは登下校もいつも一緒。
エレベーターの乗り降りも明日香さんが進んで手伝います。
押していいと?いいよ。
そして放課後。
この日は夢奈さんの作文の宿題を手伝います。
夢奈さんは文字を書いたり話したりする事ができません。
このため明日香さんは文字盤を読み上げ1文字ずつ拾っていきます。
(舌打ち)舌打ちはイエスのサイン。
(舌打ち)
(舌打ち)「で」。
こうして選び出した単語を使って夢奈さんは授業の時先生と一緒に作文を完成させます。
(舌打ち)
(テレビ)2人が一緒に勉強できるのもあと僅かです。
この春明日香さんは高校を卒業し施設の中にある別の教室で学ぶ事になるからです。
エレベーターで遊ぶのが好き。
(舌打ち)あと3回しか遊べない。
(舌打ち)
(舌打ち)明日はって…。
明日香さんが手伝った作文が完成していました。
そこには2人で過ごした思い出がつづられていました。
(明日香)知らない?知らないの?教えたじゃんさっき。
(笑い声)卒業の日がやって来ました。
卒業生が入場します。
拍手でお迎え下さい。
(拍手)「卒業証書。
荒木明日香。
本校高等部普通科の課程を修了した事を証する」。
おめでとうございます。
(拍手)・「元気いっぱい熊本かがやきの森」・「見上げた空は高く澄み」・「学びあふれる森をつくろう」・
(拍手)卒業式のあと明日香さんはいつもの場所にやって来ました。
教室の窓から見える風景は明日香さんの旅立ちを祝福しているように見えました。
卒業式のあとに見た外の風景どんなふうに見えたのかなと…。
「雲が笑ってる」って言ってましたね。
本当に印象的な言葉で。
恐らく曇り空の中から日がさして…そういう光景なんだと思いますけどもこれからの彼女のまた人生がね曇り空があってもそこから光がさすようなそういう事を予感させるような「雲が笑ってる」でしたね。
いろんな表現言葉を持ってますね。
そうですね。
いや本当に最初の詩を読ませて頂いた時の印象どおり彼女は超一流の天才的な詩人だと思いますね。
その明日香さんから実はプレゼントを預かっているんです。
エムさんが訪れた時に明日香さんが描いていたものなんですけれどもエムさんの似顔絵です。
(笑い声)こちらです。
いい男に描いてくれたらいいんだけど…。
いい男ですよ!似てますよく。
似てますか?はい。
サングラスを掛けていてそれから顔は笑ってますよ。
…と服は上着が赤い服で。
これ訪れた時の服でしょうね。
ジャケット着て中に赤いセーターを着ていたんですけれども。
…で両腕を横に広げて何か空を飛ぶようなそんな姿してます。
僕も「たんぽぽ」の詩を読んでそして描いた少女の絵がやっぱり空を飛んでる絵だったんで多分明日香さんはそのお返しにこういう絵を描いてくれたんですよね。
そうですね。
この時は僕ね帽子を取って眼鏡取ってこういう顔だよってちゃんと明日香さん見せて多分それできっと上手に描いてくれたんだと思います。
ジョン・レノンさんに似てますよ。
えっそんなうれしい事…。
歌っちゃいますよ。
・「SothisisXmas」
(笑い声)もうそれが一番うれしい事で。
うれしいですねこうやってね何かプレゼントしたい。
何か伝えたいという事で一生懸命描いてくれた絵なんでしょうね。
というか彼女は絵がとても上手なんだと思いますね。
それは詩を書く事も絵を描く事も彼女は大変才能のある表現者なんだと思います。
それとエムさんに対してもそうですしそれから今の映像でも1つ年下の夢奈さんに対してもとってもとっても優しいなって思いますね。
彼女がこれまで世の中から受けてきた愛情とか承認とかねそういったものが彼女の中にいっぱいあってそしてこれからその世の中に対してそれらのお返しをしようというようなね。
それからつらさとともに生きてきた彼女がつらさのある人々に対して優しい思いで接していくというそういう事を非常にしみじみとっていうかリアルに感じましたね。
明日香さんは高校を卒業してこれから新たな一歩を踏み出していくという事でエムさんどんな事を伝えたいですか?自分の可能性というか自分の中にあるいいもの…愛情花そういったものをいっぱい抱きながらこれからの人生を生きていってもらいたいと思いますね。
そして僕は本当に明日香さんのすてきさを身にしみたんでこれからまたいつか彼女に会いたいと思ってます。
このハート展ですけども4月渋谷で開かれましてそのあと全国へ広がっていきます。
今日はありがとうございました。
2015/07/30(木) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 第20回NHKハート展(4)「たんぽぽ」[解][字][再]

障害のある人が作った詩に著名人がアート作品を寄せるNHKハート展。今回紹介するのは荒木明日香さん(18)の「たんぽぽ」。小さな発見に満ちた彼女の日常を見つめる。

詳細情報
番組内容
障害のある人が作った詩に著名人がアート作品を寄せるNHKハート展。今回は荒木明日香さん(18)の「たんぽぽ」を紹介する。1才の時、全身にやけどを負った明日香さん。定期的に皮膚の移植手術を受ける必要があるため、熊本市内の医療施設で暮らしを続けてきた。紫外線を浴びると皮膚がんになる恐れがあり、外出がほとんどできない彼女にとって一番の楽しみは窓から外の景色を眺めること。小さな発見にあふれた日常を見つめる
出演者
【ゲスト】イラストレーター・詩人…エムナマエ,【司会】山田賢治

ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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