(新番組)京都地検の女8 2015.07.30


(殴る音)
(山田富彦)ああ…!
(鶴丸あや)「お盆休みには万難を排して君に会いに行くよ」「八坂神社で永遠の愛を誓おう。
章太郎」
(漆原さやか)今さら夫婦で文通もないもんや。
あら〜愛する人に手紙書いてると心がときめいてそれで細胞が活性化されてお肌がツヤツヤになってくるのがわかるの。
(吉川香織)確かにピョン様にファンレター書いてたら細胞が活性化されるもんなぁ。
(桜井麗子)ピョン様の新しいCM見た?ニノチカのCM。
見た見た!しびれたわ。
白いシャツがよう似合うて。
よだれが…。
フフフ…。
そうしたらさニノチカの社長いうたらさあの若いモデル愛人にしてるやんな。
(麗子)えーっインタビューじゃ奥様一筋って言ってたくせに!
(さやか)あかんあかん。
怒ったらシワができる。
(柿野たまこ)シワができたらぜひうちのお店へ。
1杯で100日若返っちゃうハイパーアンチエージングドリンク発売中です!
(香織)すごーい!栄養ドリンクより愛のほうがずーっとお肌がツヤツヤになるのにね〜。
章ちゃんすぐ返事書くから待ってて。
野崎文夫さんあなたには黙秘権があります。
自分の意思に反して供述する必要はありません。
では始めます。
送致事実によればあなたは今年5月衣料品メーカーニノチカ社長山田富彦さんが女性と密会している現場を写真に撮り数回にわたって山田さんを恐喝合計100万円を脅し取った。
しかし途中から山田さんが支払いに応じなくなったため写真を週刊誌に売りつけ帰宅途中の山田さんを待ち伏せてこぶし大の石で後頭部を殴打。
全治1週間のケガを負わせた。
(野崎文夫)やってないよ俺は。
金を脅し取ったのは事実だけど襲ったのは俺じゃない。
支払いを拒まれた事にカッとなり腹いせのために襲ったと供述したそうですが。
刑事に逆らったって疲れるだけだろ。
検察に来てから本当の事を言おうと思ってたんだよ。
野崎さんあなたには支払いに応じなかった恐喝相手に暴行を加えた過去がありますよね。
6年前…。
当時交際していた女性と手を組んでいわゆる美人局を行い30代会社員男性を恐喝した。
しかし男性が逃げようとしたため顔面を殴打。
あん時はあん時だよ。
今回ははめられたんだ。
はめられた…?検事さん探してほしい男がいる。
(高原純之介)尾行された?はい。
野崎が言うには事件の1週間ほど前40歳くらいの痩せ形の男に尾行されたそうです。
その男はスーツ姿で柳の柄のネクタイをしていたと。
柳の柄ね…。
作り話じゃないのかね。
仮に作り話だったとしても今回の事件には不審な点がいくつも見受けられます。
何より捜査資料によれば凶器となった石から繊維片が採取されました。
つまり犯人はあらかじめタオルか何かで石を包んでそれから犯行に及んだ。
これまるで章ちゃんみたい。
章ちゃん?私とペアの湯飲みをお守り代わりに出張に持って行く時にですねこうやって大事にタオルで包んでそーっとカバンに入れるって言ってたんです。
あっまあそれは置いといてですね犯人が石を布で包んだのは衝撃を和らげるためだったんじゃないでしょうかね。
腹いせでそんな細工をするはずがないか…。
はい。
恋する主婦の勘というわけかね?まあやだ恋する主婦だなんて…。
もうそんな素敵なネーミング。
あら?素敵なネクタイですね。
あっこれ?ちょっと恥ずかしいんだけどね娘がプレゼントしてくれたんだよ。
まあ〜。
あっこれニノチカのロゴじゃないですか。
へぇ〜松の柄なんて渋いですねぇ。
松尾の松藤森の藤白梅町の梅。
出町柳の柳…。
ああ部長感謝します!あっちょっとこれあの…お嬢さんによろしく。
だそうだ。
娘よ。
ああこれが京都の駅名シリーズのネクタイね。
(川喜多夏帆)はい。
えーっと「西陣織専門工房西陣モダンとのコラボ企画」…。
ねぇこの工房のサイトを開いてみて。
はい。
(夏帆)若い社長ですねぇ。
あっ柳の柄のネクタイしてます。
この人40歳前後で痩せ形じゃない?あっ!野崎に確認してみます。
よし。
(井森幸三郎)検事!急ぎの仕事のみピックアップしました。
お出かけになるのでしたら今のうちにこちらを。
交換条件ってわけ?折衷案と呼んでほしいものです。
お願いします。
(瀬戸恭一郎)いらっしゃいませ。
あっお帽子でしたらあちらにもございますのでどうぞご覧になってください。
(瀬戸)あっいらっしゃいませ。
瀬戸恭一郎さんですね?はあ…。
私京都地検の鶴丸といいます。
同じく川喜多です。
野崎文夫について少々お話伺えますか?
(瀬戸)確かに野崎という男を尾行したのは本当です。
なぜそんな事をなさったんですか?春田美津子といいます。
丹後の織物工場の娘で8年前私と見合いをしました。
この女性が何か?婚約が決まってひと月ほど経った時の事でした。
(瀬戸)美津子さん!
(瀬戸)誰なんです?そいつは。
彼?無理やり見合いさせられた相手って。
(瀬戸の声)男は青年実業家だと名乗りました。
結局私との婚約は白紙になって…。
野崎がその時の男性だったと?そうとしか思えませんでした。
ニノチカの本社であの男の姿を見た時…。
来週布のサンプルをお持ちしますので。
(山田)ああじゃあ頼むよ。
(野崎)また来ましたよ社長さん。
(瀬戸の声)あまりに似ていたので男が会社を出るのを待って後をつけたんです。
自分でもどうしたいのかわからないまま…。
なんだよお前!そのあと山田社長が襲われて…。
(夏帆)野崎に青年実業家だった過去はありません。
あなたがおっしゃる男性とは別人かと…。
誤解を生むような事をして申し訳ありませんでした。
(夏帆)尾行の件は事件とはなんの関係もなかったんですね。
うーんでもなんだか気になるわね8年前の話。
(夏帆)はい。
あっ検事お電話です。
え…?ちょっと妙な電話なんですが…。
もしもしお待たせしました。
鶴丸です。
(女)用件だけ言うわ。
余計な事はしないで。
は?事件と関係ない事を調べるとやけどするわよ。
あなたどちら様?警告はしたわ。
それじゃ…。
もしもし…?
(電話の切れる音)
(成増清剛)鶴丸を扱うにはなコツがあるんだよ。
(平林雅彦)コツですか?ああコツさえ押さえときゃもうなんの問題もねえから。
(池内弘二)お前もな俺たちを見習ってなあしらい方…扱い方を覚えろ。
クマと一緒だよ。
クマって…。
こっちがびびった姿を見せなかったらな相手はな恐れおののいてな退散していくんだよ。
屁の河童ってやつだよ。
屁の河童って…。
クマと河童って…。
河童がどうしたって?出た!人をクマみたいに言わないで!あんたたち野崎が供述の一部を翻した。
捜査やり直し!もうそれにね今この件に関して不審な電話が…。
3人とも死んだふりしないで!こら!河童に尻子玉抜かれた?もうちゃんと目開けなさいよ!こら!見覚えねえなこんな女。
よく見て。
本当に知らない?
(野崎)知らねえって言ってんだろ。
それより社長を襲った奴をさっさと捕まえろよ!かんしゃくを起こさないで。
謎を解く鍵はあなた自身の中にあるかもしれないのよ。
はあ?この件の再捜査を妨害したい女性がいる。
彼女はあなたに罪を着せたい張本人の可能性もあるわ。
そういう女性に心当たりは?勘弁してくれよ。
あなた自分自身と向き合った経験ある?ないわよね。
いつも目先の欲にとらわれて生きてきた。
この機会に自分の過去や内面としっかり向き合いなさい。
でないと…今の状況から自分を救う事はできない。
お説教ですか?検事さん。
なぜ美津子の事などをお聞きになるんです?まさか山田社長の事件に関わって…。
いえそういうわけでは。
今は念のためにあらゆる情報を集めている段階です。
美津子さんの現在の居所をご存じありませんか?東京かもしれません。
(春田美津子)家族にはあきれられてますけど…。
でも私彼と一緒に東京で暮らします。
彼の夢を支えたいんです。
本当にごめんなさい。
さようなら。
(瀬戸の声)それきり実家ともほとんど縁が切れたようです。
(瀬戸あかね)恭さーん!さっきベビー服のカタログが届いてね…。
(あかね)あっすいません。
(瀬戸)上で待っててくれ。
(あかね)あそうね。
じゃあこれよかったら召し上がって。
野ばら屋のゼリーおいしいんですよ。
私なんて1日に3つも4つも食べちゃう。
果物が丸ごと入ってて。
あかね。
あやだ。
ごめんなさい。
じゃあごゆっくり。
ゼリー本当においしいんで食べてくださいね。
じゃあ。
いただきます。
すいませんお騒がせして。
いえ。
明るくてかわいい奥さんですね。
彼女に出会ってなければ今でも人間不信だったかもしれません。
来年赤ん坊が生まれるんです。
まあおめでとうございます。
喜んでいた矢先今回の事件ですよ。
昔美津子とやり取りした手紙です。
これお借りしても…。
返してくださらなくて結構です。
えっ?捨てよう捨てようと思ってずっと捨てられずにいました。
私はきっと今でもとらわれているんです。
美津子に…。

(美津子の声)「今日は本当に楽しかったです」「瀬戸さんが聞かせてくれた桜のお話心に沁みました」
(瀬戸)桜色を染め出すには冬の桜の枝を使うんです。
花が咲く前の枝を煮出して染めると見事な桜色になる。
私花びらで染めるんだと思ってた。
花びらで染めると灰色がかった薄緑になるんですよ。
不思議ですねぇ。
冬の枝で春の色が出て春の花で夏の色が出るなんて。
ええ。
植物の中にはいつも次の季節が眠っている。
命ってきっと未来だけを見てるのね。
おかしいわこの手紙。
はい?恋する主婦の勘がむずむずする…。
(電話)はい鶴丸。
(女)検事さん警告を無視なさってるようね。
あなた春田美津子さんなの?さあどうかしら。
美津子さんなら教えて。
8年前本当は何があったの?それより壬生司町に行ってみたら?壬生司町…?
(女)「言ったでしょ。
誰かがやけどするって」
(消防車のサイレン)すいません。
失礼します。
すいません。
(平林)鶴丸検事…!?
(池内)仕事熱心というか物見高いっていうか…。
ケガ人は…ケガ人はいるの?すでに病院のほうに。
どうやら放火みたいです。
おお…。
検事…!?大丈夫ですか?大丈夫…。
座りますか?倉庫作業員のケガは幸い軽傷でした。
消火の際に転倒してくじいただけです。
火事もボヤで済んだんだ。
元気出せよ。
私のせいだわ。
まだ決まっちゃいねえだろうが。
放火犯俺たちが捕まえますよ必ず。
任せとけよ。
あっ…あの時の女か…。
ただいま…。
どうもお邪魔しております。
井森さん…なんで?なぜかこういう羽目に陥りまして。
キムチ鍋始めますよ〜!川喜多…!?
(高原)おお〜。
(井森)検事。
(夏帆・井森)どうぞ。
おかえり。
ナイスタイミングだ。
部長まで…。
(鶴丸りん)成増さんから電話があってお母さんに元気が出るものを作ってあげてって。
僕は突然かわいい部下たちと酒が飲みたくなってね。
とびきりいいのを買ってきた。
はいじゃあ野菜入れます!はい持ってください。
あやちゃん今日はなんにもしなくていいからな。
(井森)ああおいしそうだなぁ。
まずはビールですね。
(夏帆)ああいいですね。
(高原)いや私が…。
はいあやちゃんいきましょう。
はい失礼します。
(高原)はい川喜多。
えっ?ありがとうございます。
あっすいません。
恐れ入ります。
(夏帆)ありがとうございます。
(井森)じゃあ部長。
(高原)ああこれはこれは…。
この手紙が恋する主婦の勘にヒットしたのかね?はい。
なんていうか愛情に満ちあふれていて…。
こんな手紙を書く女性が瀬戸さんを裏切ったなんてとても信じられない。
例えばね…これこの手紙。
(美津子の声)「瀬戸さん」「今日はプレゼントどうもありがとう」
(美津子の声)「燃えるような赤い帯本当に嬉しかった」うわぁ〜きれい。
ありがとう。
(美津子の声)「瀬戸さんがこの帯が私に似合うと思ってくれたことも嬉しかった」喜びの気持ちが何度も繰り返し書かれてますね。
(高原)うん確かに。
婚約者への愛に満ち満ちてるな。
彼女の裏切りには必ず何か裏があったはずです。
だけど私は動く事ができない。
こんな事態を招いてしまって検事失格です。
(井森)おいこら鶴丸!なんだそのザマは。
落ち込んでる姿なんかおたくには全然さっぱり似合わないっつーの!どのぐらい似合わないかっていうとねさっきの高原部長のあのへんちくりんのピンクのエプロン姿ぐらい似合わないってのよ!ちょっと事務官ま…まずいですよ。
いいんだよトンマな鶴にはこのぐらい言ってやらないとよ!井森君トンマはよしなさいトンマは!鶴もダメです。
鶴がダメなら亀だ。
いいか俺はこいつが立ち直るまで今日から亀丸って呼ぶぞ!おい亀丸!返事は?はーい!
(携帯電話)「世界のうちで…」はいもしもし。
あっ池内さん?えっ?野崎がそんな事…。
流しでゲロ吐かない!もしもし?
(野崎)昔飲み屋で声をかけてきた女だった。
仕事頼まれたんだ。
仕事?確か8年前のあなたの仕事って…。
便利屋。
時々別れさせ屋。
私婚約者と別れたいんです。
助けてください。
それで彼女の恋人のふりをしたの?ああ。
親の勧めで婚約までしたがどうしても好きになれない。
一発で諦めさせるのに協力してほしい。
そう言ってたな。
楽な仕事だったよ。
楽すぎて女の顔もとっくに忘れてたな。
美津子さんが芝居を見せた相手は瀬戸さんだけじゃなかった。
男と東京へ行ったふりをして身内とも縁を切ったんだから。
まるで何もかも捨てたかったように見えますね。
おい行くぞ!はい!ああ平林!どうしたの?放火の容疑者身柄確保しました!
(鈴木)「ムシャクシャしてたんや。
現場主任のアホが毎日毎日人をコケにしくさるさかい」「でお前自分の会社の倉庫にうっぷん晴らしで火をつけたって事か」「魔が差したんや。
誰にでもあるやろそういう事」「誰にでもあったら京都中とっくに灰になってるよ!」ところであんた。
野崎文夫っていう男知らないか?誰やそれ。
覚えないか?知らんな。
じゃあ春田美津子っていう女は?せやから誰やっちゅうねん!電話の女性は放火とは関係なかった。
たまたま目撃した火事を自分の仕業のように装ったんだわ。
そうまでして事件の再捜査を防ぎたかった。
やはりその女が山田さんを襲った犯人なんでしょうか?結城里奈って女かもしれないぜおたくが探してるの。
早く。
(佐々部健太)容疑者特定の手がかりになった映像です。
近所の住人が映していました。
(夏帆)ああばっちり映り込んでますね。
ああ。
で…。
えーっとねあっここここここ。
携帯電話で話してる女いるだろ?この女どっかで見た事あると思ったんだよなぁ。
あっ犯歴データ。
はい。
これって…。
6年前野崎文夫と一緒に美人局で逮捕された女だ。
顔を拝んどいたのが役に立ったよ。
ああ。
成増さん行くわよ!行くわよじゃなくてお褒めとか…ありがとうとかなんか言えよ!くそっ…里奈だ。
あの女が俺をはめたんだ。
間違いねえ。
どうして間違いないと言い切れるの?この間偶然街で会ったんだよ。
(野崎)ニノチカ…。
社長はこのザマだよ。
まあきれいに生きてる奴なんていねえけどさ男と女が薄汚れてるおかげで俺の懐には金が入る。
(結城里奈)もうやめて…。
こんな事もうやめてよ。
(野崎)何言ってんだよ。
俺たちいいコンビだったよな。
(野崎)怒るなよ。
昔の事は悪かった。
なあまた仲良くやろうよ。
本当にやめて恐喝なんて。
やめるって約束して!あ〜あつまんない女になったな。
あの女今になって捨てられた腹いせしやがったんだ。
捨てたのか?お前が。
5年も前にな。
浮気するたびにギャーギャーうるせえから金借りたまま別れてやった。
とことんクズだなお前。
いいからとっとと捕まえろよあの女!結城里奈さん?少しお話伺いたいんですが。
あの元カレの事で。
どの元カレ?たぶん一番最低だった奴かな。
あ〜あバレちゃった。
(里奈)あいつを刑務所に入れてやりたかったのよ。
何年かぶりに顔を見たら捨てられた恨みがぶり返してきたの。
他人が起こした火事を利用してまであなたは今回の事件の再捜査を防ごうとした。
調べ直されて私の名前が出てきたら困るでしょ。
我々が事件を調べ直している事をどうやって知ったんですか?なんとなくそんな気がしただけ。
本当に?あなたが地検に電話をかけてきたのは我々が瀬戸恭一郎氏を訪ねた直後だった。
あなたあの店の様子をうかがってたんじゃ?っていうか誰よ?瀬戸って。
山田さんを襲ったのが本当に結城里奈だったとしてどうも動機が納得できないわ。
第一野崎が憎いんだったら直接野崎に危害を加えればいいはずじゃない。
検事独り言は仕事と並行してお願いします。
そんな器用な真似はできないわ。
どうせ私はトンマな鶴ですから。
トンマな鶴…?なんの話だ?えーっ!?覚えてないんですか?うわぁ…。
京丹後…!ねぇ見て!ねぇ!
(夏帆)はい。
結城里奈の出身地京丹後市よ。
ほら。
あっそういえば春田美津子さんも…。
(瀬戸)丹後の織物工場の娘で…。
丹後!そう言ってましたよね。
2人は同じ町の出身だったのよ。
瀬戸さんですか?京都地検の鶴丸です。
あの春田美津子さんの事でちょっとお伺いしたい事があってええ…。
彼女の出身地は確か京丹後の…。
池須町…。
結城里奈と春田美津子さんはともにこの町の出身で同じ中学の同級生だった。
やっぱり今回の事件には美津子さんがなんらかの形で関わってるのよ。
なんらかの形ね…。
だけど珍しいわね。
文句も言わずについてくるなんてさ。
いや会ってみたいと思ってね。
三文芝居で婚約者を裏切って親も身内も捨てたそんな氷みたいな女を。
氷かどうかまだわからない。
(春田江美子)娘なら8年前に東京に行ったきりですわ。
電話をよこしたのもほんの数回で連絡先も教えてくれへんし。
この女性ご存じですか?
(江美子)里奈ちゃんや。
昔お隣に住んではった。
お隣に?
(江美子)ええ。
最近美津子さんが彼女と会ってたかどうかわかりますか?わからへんなぁ。
最後に連絡があったのもずーっと前やし。
あっお茶おかわりお持ちしましょう。
親子っていうのもいろいろだな。
娘がどこでどうしてるかって気にもしてない。
確かにちょっと無関心すぎる気はするわね。
かわいい桜。
まだ若い木ねぇ。
(美津子の声)「今日は本当に楽しかったです」「瀬戸さんが聞かせてくれた桜のお話心に沁みました」
(美津子)不思議ですねぇ。
冬の枝で春の色が出て春の花で夏の色が出るなんて。
命ってきっと未来だけを見てるのね。
まさか…。
まさかそんな…。
どうしたの?桜…桜…これ。
これだわ。
(美津子の声)「恭一郎さん今日は素敵な宝物をありがとう」
(美津子)ハッピーエンドで良かった。
ずっと支えてくれた幼なじみと結ばれて生きる力を取り戻して。
あの2人きっと幸せになりますよね?だけど僕だったら他の人を愛したりしない。
えっ?恋人が自分より先に死んだらその人を思いながら一生ひとりでいる。
約束する。
(美津子の声)「あの約束はこの先ずっと私の宝物」「年を取ってもおばあちゃんになってもずっと私の宝物」どうかしはりました?ひょっとして美津子さんは…。
美津子さんはもう…。
(江美子)あの桜あの子が植えたんです。
今年初めて花を咲かせてくれました。
薄紅のきれいな花やった。
紅は女の命そのものや。
淡い桜の薄紅から燃える火の色まであの子は自分の色を生き抜いた。
なんも聞かんといてください検事さん。
亡くなったのは平成17年だ。
あそこに白い建物見えるだろ?あの病院で亡くなったらしい。
彼女は桜の木だったのね…。
余命を知った時でさえ未来だけを見ていた。
自分が死んだあと残された瀬戸さんがどうすれば幸せな人生を歩んでいけるか…その事を考えていた。
考えて考えて…きっと彼女は最後のラブレターを出す事を決意した。
ラブレター?裏切る事。
美津子さんにとって愛する婚約者への最後のラブレターだったのよ。
幼なじみの結城里奈に自分の病気の事を告げ…。
ダメよ。
ずっと彼のそばにいなさい。
最後まで思いっきり甘えなさいよ。
里奈の彼氏って確か変わった仕事してるのよね?カップルを別れさせたり…。
ダメよ!そんな事私が許さないから!結城里奈は彼女の頼みを断った。
仕方なく美津子さんは自ら野崎に声をかけお芝居を打った。
で婚約者と縁を切る事に成功したってわけか。
そして翌年彼女は短い生涯を終えた。
でも彼女の思いは今も生き続けてる。
お母さんや幼なじみに守られながら…。
俺は嫌だね女にそんな嘘つかれるのは。
彼女は瀬戸さんに前に進んでほしかったのよ。
思い出にとらわれずに新しい愛を見つけてほしかった。
俺はごめんだ。
惚れた女には真実を伝えてほしいよ。
それがどんな事であってもね…。
結城里奈が山田さんを襲ったのはあなたに傷害の罪を着せるためだった。
だけど動機はふられた腹いせなんかじゃなかった。
どういう事だよ?彼女は恐れていたのよ。
あなたが瀬戸恭一郎さんと出会ってしまう事を…。
春田美津子さんの死から7年。
おたくは野崎と街で偶然再会した。
そして知ったんだ。
(野崎)ニノチカ…。
野崎がニノチカの山田社長を恐喝している事を…。
山田社長を通じて瀬戸さんと野崎が出会えば8年前美津子さんが芝居を打った事が瀬戸さんにバレる。
結城里奈はあなたを瀬戸さんから遠ざけたかった。
そのためにはあなたを刑務所に入れるしかない。
そこで彼女は細心の注意を払って山田さんに軽傷を負わせた。
彼女のもくろみどおり警察は犯歴のあるあなたに疑いをかけ今回の逮捕となった。
だがおたくにはまだ不安があった。
瀬戸さんがすでに野崎と出会っていたんじゃないかという不安だ。
そこで…。
私京都地検の鶴丸といいます。
瀬戸さんの周囲をそれとなく観察し地検の検事が何か調べている事に気づいた。
で慌てて妨害工作に走ったってわけだ。
フフフ…。
何がおかしい?ロマンチックな想像だけど残念ね。
8年前美津子が瀬戸さんと別れたのはただ嫌気がさしたからよ。
あの子言ってたもの。
自分はちっとも好きになれないのに相手に夢中になられて困ってるって。
嘘だ。
本当よ。
彼女が瀬戸さんをふったのは自分の病気を知る前だった。
病気は関係なかった。
だから私の犯行に美津子は関係ない。
なんの関係もない。
(ため息)春田美津子さんは幸せ者だな。
えっ…?あんたみたいな友達がいてさ。
8年前あなたは美津子さんが最後のラブレターを書くのを手伝っていた。
自分でも気づかぬまま彼女の最後の願いをかなえるのを手助けしていた。
検事さんあんた勘違いしてるよ。
勘違い?ああ。
美津子って女は婚約者に嫌気がさした。
だから芝居を打って縁を切った。
それが真実だよ。
どうしてそう思うの?よく知ってるからだよ。
男も女も最後は結局自分の都合しか考えないって事をさ。
おかげで俺の懐には金が入り続ける。
いつかはあなたも知る事になる。
人間の強さと美しさを。
いつか必ず思い知る時が来る。
楽しみだわ。
その時あなたがどう変わるのか…。
そんな日は来ねえよ。
そうですか…。
やはり美津子は事件とは関係なかったんですね。
お渡しした手紙そちらで処分していただけますか?…はい。
瀬戸さん1つお伝えしなければならない事があるんですが…。
はい。
春田美津子さんの母親に会ってきました。
実は美津子さんはもう…。
春田美津子さんからの伝言です。
幸せになってください。
愛する家族とともにいつまでも幸せでいてください。
未来だけを見て生きてくださいという伝言です。
私からも伝言をお願いできますか?はい。
楽しい時間をありがとう。
さようなら。
(美津子の声)ありがとうございました。
協力していただいて。
(野崎)あんた熱があるんじゃないのか?さっき抱き合った時燃えてるみたいだった。
燃えてるのはこの帯です。
(美津子)火の帯。
やけどするよ。
京都地検の女が善良な市民に嘘をつくとはね。
検事失格ね。
まあ…俺も片棒を担いだから刑事失格だ。
だがな俺だったらやっぱり惚れた女には真実を話してほしいと思うな。
ねぇ春田美津子さん。
桜の色も火の色も紅である事に変わりはないわ。
嘘も真実も愛である事に変わりはない。
(成増清一)えらい気の早い送り火やな。
はーいでは今夜はコラーゲン鍋にします!章ちゃんと会うまでにお肌がプリプリになるかもしれないから。
ああよかったなうんうん。
でもね夏こそね鶏のモツ鍋だよね。
スタミナつけるにはこれが一番!いっそすき焼きはどう?いいね。
いい?親父の台所にね烏骨鶏の卵があるんだよ。
あれ入れて…。
あっ章ちゃんからだ!えっ?お盆休みに急な出張が入った…。
万難排して会いに来るって言ったじゃない!もう…。
返信してやる。
何言ってるのよ章ちゃん。
ハートマークカミナリマーク!ピーピーピーピー言う女はね嫌われるぞ。
おい。
これが私の愛し方なの!2015/07/30(木) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[新]京都地検の女8[再][字]

「京都西陣赤い帯の罠 二度死んだ婚約者!!」

詳細情報
◇番組内容
名取裕子主演▽“主婦の勘”を武器に難事件に立ち向かう女性検事・鶴丸あやの活躍を描く検察ミステリー第8弾!心に響く深い人間ドラマを京都情緒たっぷりにお届けします!
◇出演者
名取裕子、寺島進 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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