今回の「U−29」はでかい夢を語る熱い男加藤拓馬さん26歳。
彼が守りたいものとは。
実は加藤さん東日本大震災があった直後から被災地へボランティアに入りそのままここへ移り住みました。
復興に向けた活動を地道に続けこの春には新たな支援団体を立ち上げました。
見ず知らずの土地に気付けば4年。
今は被災地に観光客を呼び込もうと奮闘中。
でも…。
直面する現実の壁。
貫きたい自分の理想。
被災地でもがき続ける26歳の人生デザインとは。
古くから漁業が盛んな町です。
震災後人口が1割近く減り過疎化が進んでいます。
加藤さんはこの唐桑で自ら立ち上げた復興支援団体の代表を務めています。
この日は地元の若手漁師に新たなプランを提案しに来ました。
あ〜なるほどね。
唐桑で取れた海産物を今までなかった唐桑ブランドとして全国に直接販売しようという作戦。
ブランド化とネット販売は加藤さんたちが担当します。
加藤さんたちの目標は震災で過疎化が進む町を盛り上げていく事。
あの手この手の企画で挑みます。
4年間唐桑地区での復興活動を続けてきた加藤さん。
この4月ついにオフィスを構えました。
かつては衣料品店だったスペース。
家主の計らいで家賃は光熱費のみです。
常駐のスタッフもできました。
加藤さんがラブコールを送った2人です。
(2人)よろしくお願いします。
加藤さんの1つ年下のいとこ。
航也さん。
これまで唐桑に通ってボランティアを続けてきましたがこの春ついに3年勤めた会社を辞め移住してきました。
そして3月に大学を卒業したばかり。
新卒の…学生時代3年間唐桑でボランティアを続けてきた根岸さん。
就職先として選んだのが加藤さんの復興支援団体でした。
これまでの支援活動をビジネスとして成り立たせようとこの4月に法人格を取得。
運営費は県からの復興助成金で賄っています。
出来たてのオフィスには地元の人がよく遊びに来ます。
船の名前を取って一丸さんと呼ばれています。
実は今一丸さんと一緒にある企画の事業化を目指しています。
今旅行業界ではやりの本格的な漁師体験を売りにしたツアー企画。
参加者は地元の漁師さんと一緒に漁をします。
昼食は漁師ならではの食事を堪能。
都会では味わえない浜の暮らしを体験します。
ツアー料金は加藤さんたちの収益になるとともに漁師さんの副収入にもなります。
ツアーをきっかけにお客さんが町のリピーターになれば地域も活性化。
更に唐桑に移住したいという人が出ればもうけものです。
今回は本格的な事業化のためのトライアルツアー。
何としても成功させたいところです。
加藤さんは4年前ボランティアとして唐桑に入りました。
生まれは神戸。
それまで東北とは縁もゆかりもありませんでした。
大学時代海外ボランティアのサークルに属していた加藤さん。
企業には就職せず将来も社会貢献をずっと続けていきたいと考えていました。
しかし本当に社会貢献だけで生活ができるのか…。
周りが就職を決める中加藤さんもいつしか一般企業の内定を手にしていました。
そんな時に起きたのが東日本大震災でした。
入社を目前に控えていた加藤さん。
悩みながらも被災地ボランティアへの参加を決めます。
2011年4月。
ボランティアとして派遣された町が唐桑でした。
宿泊先もなかった当時馬場康彦さんの家に受け入れてもらいました。
当時の仕事は朝から晩までがれき撤去。
足の踏み場もないほど多くのボランティアが加藤さんと一緒に寝泊まりしました。
しかし5月の連休を過ぎるとそのほとんどが被災地を後にし自分の生活へと帰ります。
「一段落ついたら帰ろう」。
そう思い続けながら加藤さんの滞在は次第に延びていきました。
地元の人たちの協力の下よそ者だから気付く町の魅力を発掘。
1年後には移住を決意し一緒に町を盛り上げていこうと地元の人に訴えました。
そしてこの4月。
唐桑が本当に復興するまでこの地で活動を続けたい。
そのために法人を立ち上げました。
しかし現実はそう甘くありません。
今月の給料がまだ支払われていないという指摘が。
独自の収入がない今頼りは県からの助成金。
しかし入金はしばらく先です。
更に連休にトライアルする漁師体験ツアーも壁にぶつかっていました。
連休中の2日間企画しているツアー。
5月2日だけ人が集まりません。
連休初日の朝スタートというのがネックのようです。
地元ホテルと連携して人を集めていましたがこれ以上の参加は見込めないとの事。
果たしてお客さんは集められるのでしょうか。
加藤さんの収入です。
団体からの給料は6万円。
2年前から始めた気仙沼市の嘱託職員の仕事で生活費を稼いでいます。
そしてこちらが1週間スケジュール。
市役所での勤務は週4日。
業務は復興関連のイベント運営です。
しかしこの仕事も復興予算による臨時のもの。
復興予算がなくなる前に今の事業で独自の収入を上げたいものです。
現在加藤さんは唐桑でアパート暮らし。
初めまして。
妻の美帆さん。
大学時代に知り合いました。
加藤さんが唐桑へ行ってから3年の遠距離恋愛を経て去年ゴールイン。
妻や同僚の前では笑顔の加藤さん。
でも本当のところは…。
もともとは見ず知らずの地域のために働く若者たち。
唐桑の人たちもサポートします。
漁師さんからもらった貝と山菜の天ぷら。
生活が安定しない中お裾分けは貴重です。
唐桑にある豊かな幸。
そして優しい人々。
よそ者の若者と地元の人たちが目指すのは一つ。
この町をよくする事。
もしもし加藤拓馬です。
すいません。
漁師体験ツアーに向けて加藤さんたちもダッシュします。
ゴールデンウイークに漁師体験プログラムっていうのをやる予定でして…。
お客さんを集めるためあらゆるつてを頼ります。
町の復興へ向け一歩でも進むためまずはこのトライアルツアーをやり遂げたい。
でも加藤さんどうしてそこまでこの町にこだわるんですか?この日は一丸さんの家で当日の打ち合わせです。
気になるツアーの参加者はどうなったのでしょうか。
定員をほぼ埋める事ができました。
ツアーの成功を祈って食卓に並んだのはこの日取ったウニ。
ほ〜れ。
一丸さん大盤振る舞いです。
あ〜すごい。
(航也)すごいおいしいです。
本番に向けて一致団結です。
迎えたツアー当日。
本番を前に最終確認。
あれ?一丸さんいつもとだいぶ様子が違いますね。
ちょっと緊張してます?この日のために多くの地元の人が手伝いに駆けつけました。
お客さんが到着。
仙台遠くは栃木からの参加者も。
唐桑に初めて来た人もいます。
漁師に弟子入りが売りのツアー。
舟を一緒に下ろすところから体験が始まります。
今回は子どもの参加者もいるため波の穏やかな浅瀬に網を仕掛けました。
いつもと違う漁場。
魚が掛かるか一丸さんも不安げです。
おっ!おっ!ええっ!でかくない?おお〜!
(拍手)捕った捕った。
魚が捕れて一安心。
更に…。
タコタコタコ!えっ?おお〜!すげえ!なんとこの時期には珍しい水ダコも掛かりました。
タコ〜!すげえ!唐桑での思い出作りのチャンス!しかし…。
なんとトラブル発生。
カメラのメモリー不足で記念写真が撮れません。
加藤さんたち運営スタッフのミスが目立ち始めます。
一方ツアーは続きます。
今が旬のウニむき体験。
漁で魚が捕れなくても楽しめるようにと一丸さんが用意していました。
お客さんたちは大満足。
残すは一同お待ちかね捕った魚のバーベキューです。
しかしこの時加藤さんたちはある事を忘れていました。
自分たちがやるはずだったウニむきの掃除です。
ウニの汚れは時間がたつと落ちにくいためすぐに掃除する約束でした。
ここまでの一丸さんの気持ちが爆発しました。
ツアーの段取り不足は全て地元の人たちがカバーしていたのです。
ツアーの進行に追われて周りが見えなくなっていた加藤さん。
ようやくその事に気付きました。
全然全然分かんなかった。
はい塩して?うん塩して今塩…。
一丸さんが戻ってバーベキューはスタート。
海の幸が並びます。
かんぱ〜い。
かんぱ〜い。
(一同)かんぱ〜い。
漁師ならではのもてなしにお客さんも笑顔です。
いただきま〜す。
ホームステイで。
ご苦労さまです。
(拍手)この日は地元の人たちのサポートのおかげで無事にツアーを終える事ができました。
(一丸)ウフフフフフッハハッ。
漁師体験ツアーこの日の漁の最大の収穫は地元の人の強い思いでした。
加藤さんに最後に質問です。
すごい。
満足度はもう高いですね〜。
2015/07/29(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「復興支援団体 代表」[字][再]
今回の主人公は宮城・気仙沼市で復興支援団体の代表を務める加藤拓馬さん・26歳。東日本大震災の直後にボランティアとして気仙沼に入り、ただ一人、そのまま移住した。
詳細情報
番組内容
今回の主人公は宮城・気仙沼市で復興支援団体の代表を務める加藤拓馬さん・26歳。東日本大震災の直後に会社を休職し、ボランティアとして気仙沼で活動していたが「復興半ばでは帰れない」と移住を決めた。被災地と外をつなぐ活動をしようと、この春、新たに団体を立ち上げ、観光客向けの漁業体験ツアーを企画。だが財源もノウハウもない加藤さんたちは大苦戦。はたして地元の期待に応えられるのか。
出演者
【語り】松坂桃李
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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