「きょうの健康」今日明日の2日間は「慢性腰痛を治す」です。
何か月も腰が痛くてつらいという方いらっしゃるかと思います。
こちらがこの2日間のラインナップです。
今日は1日目ですので「痛みの原因と運動の効果」についてお伝え致します。
お話し頂きますのは…整形外科特に脊椎脊髄の治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
慢性腰痛に悩んでらっしゃる方多いんでしょうか?腰痛の方は非常に多いです。
国民の中で訴える症状が最も多いのは腰痛ですし慢性疼痛慢性的に痛みを抱えている方というのも実に20%を超える方が痛みを常にといいますか慢性的に抱えてらっしゃいます。
いつも痛いってなかなか困りますよね日常生活。
そうですねもっとも働いている方ですと働けなくなってしまったりですとかあとは高齢者の方ですと外出できなくなってしまったりそういった事で非常に困ると思います。
そこで教えて頂きます今回の一番のポイントはこちらですけれども。
…という事で何だと思いますでしょうか?腰痛ですから腰ですよね。
今回はここに脳という字が入ります。
脳。
はいどういう事なのか詳しくよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
まずこちらが腰痛の痛みの分類ですけれども一つは筋肉・関節の炎症。
もう一つは神経の圧迫と炎症。
こういった原因で腰痛は起こりますがもう一つここに何が入るでしょうか?筋肉の疲労?筋肉の疲労はですねここの筋肉の炎症というところに入るかと思います。
こちらはストレスとかうつ不安といったものがここに入ってきます。
ストレスで腰痛になるという事なんですね。
そもそも腰痛といいますのはこの3つの要素が絡み合って起こっております。
一方慢性腰痛になりますと筋肉や関節の炎症神経の圧迫や炎症という要素は軽いのですけれどもこのストレスうつ不安といった要素が大きく影響して痛みが強くなってしまったりですとか長引いてしまったりという状態になってしまいます。
長引くというのは具体的にはどれぐらい続くと慢性と考えていいんですか?普通腰痛といいますのは1か月あれば改善する場合が多いのですけれどもこちらにあるように3か月以上続く腰痛というのを慢性腰痛と呼びます。
ここで1つ注意点なんですけれども長引く腰痛の中には病気が隠れてる場合があります。
重症なものになると腰椎の腫瘍ですとか感染症骨折などが隠れている場合がありますので長引く腰痛の場合には一度検査をする必要はあるかもしれません。
しかしながら大部分の慢性腰痛はそういった病気がないいわゆる腰痛ですのでこれから紹介する治療をしていけば十分治療できると考えられます。
そもそも慢性腰痛の原因になるストレスですよねまず。
そのストレスとしてどんなものが考えられるんでしょう?ストレスこちらに3つ挙げられてますけども家庭の人間関係こういった点では例えば夫婦関係ですね旦那さんが家庭を顧みないですとかあとは高齢者の方になりますと独り暮らしまたは高齢者の夫婦でお二人暮らしなんかされてますと例えば将来が不安になったりですとか寂しい思いをしたりとかそういったものもストレスになりますね。
次に職場の人間関係ですけれどもやはり上司の方と反りが合わないですとかあとは同僚の方と関係がうまくいかないとかそういった事もストレスになります。
また仕事の内容はこれも重要といわれてまして自分が行っている仕事の内容に不満があったりあとはやっている事に正当な評価が得られない。
お給料も含めてですけども…。
お給料が思ったよりももっともらってもいいのにとかそういう事もある訳ですか?そういったものもストレスになってくると思います。
こういった事が原因になって腰痛を悪化させたり長引かせたりします。
それにしてもそもそもどうしてそのストレスが…随分離れてますよね。
腰とそれから最初脳って出ましたけども離れてるのにどうして腰痛に関係するんでしょうか?ストレスが。
はい。
こちらが脳の模式図なんですけれども私たちの脳は痛みが例えば腰の痛みを感じますとこのように脳に伝わって痛みを感じます。
ですがこういった痛みを感じた時にそもそもその痛みを抑え込む機能というのが備わっております。
これをこちらにありますように下行性疼痛抑制系というふうに呼びます。
下行性疼痛抑制系というなかなか非常に難しい言葉なんですが具体的にもっと教えて下さい。
まず体から痛みの信号が脳に到達しますと脳の中でドパミンという神経伝達物質が放出されます。
その結果脳の中でμオピオイドという脳内麻薬物質が大量に放出されます。
それがこの下行性疼痛抑制系というものを働かせてそして痛みの信号が遮断されると。
これによって痛みが抑制されます。
痛みを感じない訳ですね?そうですね。
一方ところがストレスにずっとさらされてますと体の痛みが脳に信号として伝わっても脳の中でドパミンが分泌されなくなってしまいます。
その結果このμオピオイドを介した下行性疼痛抑制系の働きというものがなくなってしまいまして僅かな痛みでも強いと感じたり痛みが長引いてしまったりというふうになる訳です。
こういうメカニズムが分かったのはいつごろなんですか?動物実験の段階ではだいぶ前から分かっていたんですけれども近年人の脳でもMRIという機械を使った研究などでこういった仕組みが明らかにされてきています。
それで少し戻りますけど下行性疼痛抑制系ですねこれをそれではきちんと働かせるため働いて痛みを感じないようにするにはどうしたらいいんでしょうか?一つはそもそもストレスになっている仕事の内容ですとか人間関係そういったものを改善する事で治る方もいらっしゃいます。
例えば職場を変える転職ですとかまたは配置換えですね。
あとは高齢者の方で独居で寂しい思いをしている方はそれは家族と同居するですとか…。
それは治った例があるんですか?そうですね。
それで改善した方はいらっしゃいます。
ただ現実的にはそういうふうな事は簡単にはいきません。
そこで慢性腰痛の治療としてはこれらの3つが挙げられます。
この中で運動療法というものがメインになってきます。
そして薬物療法認知行動療法とありますが薬物療法は効果のある薬物を使っていくのですが慢性腰痛ではあくまで補助的な役割を果たします。
そして認知行動療法というのは聞き慣れないかもしれませんけれども考え方を変えてそして行動も変えていくといった治療方法になります。
そうするとその慢性腰痛の治療には運動療法がメインといいましょうか有効だという事なんですね。
じゃあ今日はその運動療法についてお願い致します。
先ほども申し上げましたように慢性腰痛の治療では科学的に最も有効性が明らかになっているのは運動療法です。
でも何か腰が痛いのに運動はなかなかしにくいといいましょうかしたくないですよね。
そうですね。
確かにぎっくり腰などで急性腰痛の場合には動くのが大変で運動療法などはできない事もありますけれども慢性腰痛の場合には基本的には動けない腰ではありません。
また常に強い痛みがある訳ではないので体を動かす事はできるんです。
またよく慢性腰痛の患者さんでは腰痛が治まるまでは安静にしなきゃいけないですとか腰が痛いから動けないという考え方を持っている方が多いのですけれども安静にしているよりは動いた方がよいのです。
ストレスを感じないで続けられる運動なら何でもよいといわれています。
従って自分が好きな運動をする事が大切です。
好きな運動というのが一つポイントになるんですね。
そうですね。
できるのであれば無理ない程度に例えばゴルフですとかテニスなんかもやって頂いても結構です。
好きな運動をやってよくなった方はたくさんいらっしゃいます。
例えばゴルフとかテニスとかをやってよくなった方いらっしゃる?そうですね。
でもどうなんでしょう。
あまり運動をふだんしないと。
特に私などは好きな運動は特に言われてもないんですけれどもそういう人はどうしたらいいんでしょうか?ではここである患者さんの例を紹介しましょう。
65歳女性の慢性腰痛のAさんです。
画像検査等では異常がありませんでしたので運動療法として散歩をお勧めしました。
最初は歩く時間が僅か5分でしたが歩く時間が徐々に長くなっていきました。
Aさんはそのあと散歩でいろいろな所に行くのが楽しくなってまいりまして特にお店の…ウインドーショッピングをするという楽しみができました。
女性ですからね。
そして最近ではなんと1時間も歩けるようになりました。
1時間ですか。
そうですねはい。
すごい進歩だと思うんですけれども腰痛はまだ残っていますがだいぶ軽くなってきてご本人はこれからも根気よく散歩を続けていくとおっしゃってます。
でも本当に最初痛いながらも5分から進めていって5分10分これ相当時間をかけて1時間までいったんですか?割と早めにどれぐらいで1時間まで歩けるようになったんでしょうかこの方は。
そうですねこれは根気よく毎日継続的に続けるという事が一つ大事だと思われます。
少しずつ一歩ずつでもいいので増やしていくという事で結果的に1時間という距離を歩けるようになったといえます。
歩けるようになったし慢性腰痛も軽くなった。
それにしてもどうしてそんなふうに歩いて散歩をして慢性腰痛が改善されたかという事なんですが。
そもそも運動療法を行いますと痛みを感じて動けなくなっていた体の動きがよくなるという事がまず言えます。
体全体の機能が。
はい。
更に脳の中を見ますと脳の血流がよくなるという点が一つ。
また楽しく運動する事で脳内にドパミンが放出されます。
で先ほど出てきた下行性疼痛抑制系が働きまして痛みがよくなるとそういうふうに考えられています。
楽しくというところでドパミンが出るという。
それが一つのポイントになってくる訳ですね。
ストレスのかかるような運動は逆に逆効果という事はいえるかもしれません。
それで好きな運動。
好きな運動を楽しくというのが重要だと思います。
それにしても好きな運動がこれだけ慢性腰痛に効果があるというのはちょっと今日はびっくり致しましたけど。
慢性腰痛の患者さんでは腰痛が怖くて通常できる事もできなくなってやらないといった事がありましてあとは腰痛があるのでこれはできないあれはできない動けないというような極端な考え方をしている方が多いんですね。
そのように考えていると痛みから抜け出す事というのが非常に難しくなってきますのでむしろ痛みが多少あっても外出して体を動かしてリフレッシュしてそれで脳の中の痛みを抑える仕組みを働かせる事で痛みを減らしていくと。
そういう事が重要だと思います。
とにかくじゃあ好きな運動という事になってくる訳ですね。
そうですね。
好きな運動を楽しくしかも継続的にやって頂くのがいいと思います。
ありがとうございました。
今日はですね痛みの腰痛慢性腰痛の痛みの原因とそして運動の効果についてお伝え致しました。
明日は「薬と認知行動療法」についてお伝え致します。
それでは今日はこの辺で失礼します。
2015/07/29(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 慢性腰痛を治す「痛みの原因と運動の効果」[解][字]
慢性腰痛では、ストレス・うつ・不安が、痛みを悪化させたり長引かせる大きな要因となる。治療法として一番有効なのは、楽しいと思える運動を行う運動療法。散歩も有効だ。
詳細情報
番組内容
腰痛の痛みの原因は、筋肉・関節の炎症、神経の圧迫・炎症、そして、ストレス・うつ・不安、これらが絡み合って起きる。一方、慢性腰痛では、ストレス・うつ・不安が、痛みを悪化させたり長引かせる大きな要因となる。ストレスなどによって、痛みを抑える脳の仕組みが働かなくなるからだと考えられている。治療法として一番有効なのは、楽しいと思える運動を行う運動療法。散歩を楽しむことも有効だ。
出演者
【講師】福島県立医科大学助教…渡邉和之,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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