今回のBlu-ray BOXはニュープリントのマスターポジからHDリマスター化した、ハイグレード映像に加えて、新録オーディコメンタリー、玩具CM集など新規コンテンツを盛り込んだ商品になっている。今回のBlu-ray BOXの企画を担当した、NBCユニバーサルの轟豊太氏と株式会社サンライズの木内拓馬氏に、なぜいま『熱血最強ゴウザウラー』なのか、エルドランシリーズなのか、Blu-ray BOXの特徴と共に伺った。
エルドラン公式サイト
http://www.eldran.net/products/bdBOX-z.html
■ エルドランシリーズの呼称はファンから生まれた
アニメ!アニメ!(以下、AA)
7月12日に、『熱血最強ゴウザウラー』のBlu-ray BOXが発売になりました。本作は『絶対無敵ライジンオー』から始まるエルドランシリーズ3部作の最終作品として一世風靡したのですが、作品を知らない人もいると思います。まずシリーズについて少し説明いただいてもいいですか。
木内拓馬氏(以下、木内)
『ライジンオー』『ガンバルガー』『ゴウザウラー』は一般にエルドランシリーズと呼ばれています。ただ実際は、当初はシリーズとして作られた作品ではないんです。
『ライジンオー』が人気になったことから同様のアニメ作品が作り続けられることになり、その内容にシリーズを通してエルドランというキャラクターが鍵になっていることから、ユーザー側から生まれた呼称なんです。
AA
実際はファンが作りだしたものと。
轟
当時、サンライズでは、もうひとつ“勇者シリーズ”というロボット作品のシリーズを作っていました。その差別化も考えたとも聞いています。勇者シリーズは乗り物がモチーフですから、エルドラン3作品では動物などをモチーフにしたのだと今回、Blu-ray BOXのブックレットの取材の際、スタッフの方々にお聞きしました。
AA
勇者シリーズとは違う点も多いのですか?
木内
勇者シリーズとの大きな違いというと3作品とも主人公が小学生で学校を舞台にしていることがありますね。その小学生たちが太古の昔より地球を守っていた光の戦士エルドランより、自分の代わりに地球を守ってと頼まれることから物語が始まります。小学生たちは学校生活とバランスを取りながら、地球を守るために戦うことになり、成長していくという流れですね。
AA
いずれも学校生活が中心になっているということですね?
轟
例えば『ライジンオー』では学校が基地になっています。多くの時間を過ごす学校が舞台という事に親近感があったんでしょうね。当時のファンの方々からは「自分の学校はなぜ変形しないんだと思った」という話を多く聞きました。(笑)
AA
今のロボット作品とは“ここが違う”といったところはありますか?
轟
当時はCGなんて無いので全部セル画での作業なんです。当然なのですが、全部手描きなんですよ。その上大迫力なロボットの合体シーンです!通常、合体シーンなどは、「バンク」と呼ばれた映像のシーンを使い回しするんです。
木内
この3作品は本編については16mmフィルムで作っているのですが、毎回登場するロボットの出撃シーンや合体シーン、必殺技シーンは35mmフィルムで作っています。それを本編と同じ16mmフィルムに縮小して繋いでいきます。これは回数を重ねてのフィルムの劣化を抑える目的もあります。こうする事により1話あたりのカロリーをコントロールするんですよ。
轟
リマスターを始める時には一番状態の良いバンクシーンを1つ綺麗にして、各話に入れ替えていけば良いと考えていました。そちらの方が作業も楽になり、他の工程に力を注げますから。
木内
ところが、いざ作業を始めたら出撃シーン、合体シーン、必殺技シーン、全話通しても全く同じカットなんて見つからなかったんですよ。本編の尺に合わせて、それぞれシーンの長さを毎回調整しているのは珍しくないのですが、微妙に背景が違ったり、効果が違ったり。おそらく毎回撮影し直していたりしたんでしょうね。
轟
バンクの意味があまり無いとも思えますね(笑)
しかも、ゴウザウラーなんて合体シーンでパーツが嵌るたびに中のメカが透けて見えたりするんです。これを手描きでやっているんですよ。今現在からみると技術的にすごいことをやっていますが、当時はこれが当たり前だったと言われたりするんですよ。