東京五輪のエンブレム盗用騒動について国内デザイン関係者がコメント 偏向報道を指摘する声も

佐野研二郎氏がデザインした東京2020オリンピックのエンブレム
佐野研二郎氏がデザインした東京2020オリンピックのエンブレム
画像: 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会

 東京2020オリンピックのエンブレムの盗用疑惑が世間を騒がせているが、国内のデザイン関係者の間ではデザインを手掛けた佐野研二郎に対する擁護や、マスコミの偏向報道を指摘する声が挙がっている。

 同エンブレムは、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会を通じて7月24日に発表。国内外から104作品が集まり、「入選」に選ばれたグラフィックデザイン業界の大御所と呼ばれている原研哉と葛西薫を抑えての抜てきだった。「TOKYO」「TEAM」「TOMORROW」の頭文字「T」をモチーフにしたデザインがベルギーの劇場「Théâtre de Liège」のロゴと酷似しているとネット上で広まり、同劇場のロゴデザインを担当したとみられる事務所も公式Facebookで指摘するなど騒動に発展。また、スペインのデザイン事務所が東日本大震災の寄付を募るために作成したスマートフォンの壁紙用デザインにおいては配色も似ていると新たな指摘が浮上し、論争が過熱している。同委員会はデザインについて「問題はない」とコメントを発表している一方、同劇場のロゴデザイナーが法的手段を取る可能性を示している報道もあり、物議を醸し出している。

 この騒動について、国内の各デザイン関係者がSNS等でコメント。ナガオカケンメイは「シンプルで力強いデザインはグラフィックに限らず、似てきます。佐野さんくらいの世界的デザイナーが、完成されたデザインを真似ることはない」と前置きしつつ、「企業のマーク同様、類似調査を経て、登録申請後に発表されている訳だから、類似に値しないと判断されたと考えます」と綴っている。TwitterとFacebookを停止し「騒動から逃げているのでは」という声に対して、森本千絵は「(エンブレムデザインを発表する前から)とっくにFacebookやツイッターやめてて、逃げ隠れなんてしてないし、もっともそういうことが似合わない実直な人」と投稿。このほか、水野学や皆川明らも「盗用ではない」と見解を述べている。

 マスコミの偏向報道を問題視する声も挙がっている。中村勇吾は「すごく基本的な形態の組み合わせのシステムなので世界中探したらどっかに似たアウトプットは必ずあるだろう。これでパクリだと揚げ足取られると今後シンプルな提案は何も出来なくなる」とコメント。クリエイティブに関する法律について造詣が深い弁護士の水野祐は「著作権法は偶然似たものを侵害とはしない」といい、「『パクり』という言葉を使って煽ってるとしか思えない。発言を拾った報道側のリテラシーの問題では」と指摘している。

佐野研二郎のWORKSHOP

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