各国の思惑が渦巻く国連改革
 我が国は、日米同盟とともに国際協調を外交の柱と位置づけています。191の加盟国を有する国連は、言うまでもなく今日の国際機関の中で最も普遍的な組織であり、国際協調の要です。この国連をどのように改革していくかは、国際協調の強化を図る上で極めて重要な問題であり、今後の日本外交にも大きく影響を及ぼすことになります。
 第60回国連総会特別首脳会合でも「創設60年を迎えた国連を如何に改革していくか」が大きなテーマでした。首脳会合では「成果文書」が採択されましたが、その取りまとめ作業は混乱を極め、各国の利害が錯綜する国際社会において、一つの「道」を選んで行くことの難しさを改めて感じました。
安保理首脳会合(国連内 9月14日)
安保理首脳会合(国連内 9月14日)

 「成果文書」は、国連加盟国全体のバランスと妥協の上にコンセンサスで採択されたものですから、国連改革の大団円と呼ぶには程遠く、また各論においても全ての国にとって必ずしも満足のいく内容とはなっていません。例えば、我が国にとって軍縮不拡散分野に関する言及が入らなかったことは、大いに残念です。
 その一方で、安保理改革の実現に向けて、本年末までに国連総会で検討を行う旨の記述が盛り込まれたほか、旧敵国条項の削除、平和構築委員会や人権理事会の設置、事務局・マネージメント改革といった国連の組織にメスを入れることになる措置が盛り込まれたことは一定の前進です。
 すなわち、今回の首脳会合をもって国連改革が一段落したわけではありません。国連改革は緒についたばかりであり、むしろこれからが本番です。国連改革を巡っては、安保理改革以外にも、加盟国の利害がぶつかり合う分野は多く、今後の交渉において引き続き各国は自らの国益に基づいて行動してくるでしょう。
 
2007年以降の各国の国連分担金の交渉も来年から本格化します。
 国内には、「安保理改革がうまくいかない以上、我が国が負担している国連の分担金を減らすべきだ」との意見が聞かれます。日本は現在19.5%の分担金を負担しており、この額は、米国を除く常任理事国、すなわち中国・ロシア・イギリス・フランス4カ国の負担額の合計を上回っています。また米国は自国のGNP比に比べて少ない比率の分担金の負担に留まっています。
 私は、分担金の議論を安保理改革の議論に直接絡めることは適当とは思いませんが、国際機関の経費の負担の公平化はもっと強く主張すべきではないかと考えます。なぜなら、分担金はそもそもは日本国民の税金なのですから。
 私は、今回の演説において「我が国は、分担率において、国連加盟国の地位と責任が適切に考慮されることが確保されるよう最大限の努力を行っていく」と表明しました。来年からの分担金交渉に当たっては、今回表明した立場を踏まえて交渉に臨んで参ります。

国連総会の会議場では、各国の首脳が自らの国益に則って様々な主張を繰り広げます。そのような演説を目の当たりにして、私は「国連改革を実現して国際協調を強化することは、我が国のみならず国際社会全体の利益でもある」との確信を益々深めました。いたずらに理想に走らず、かといって現実を唯々諾々と受け入れることなく、安保理改革を含め、できるだけ多くの改革が実現できるよう、一歩一歩着実に進んでいく決意を新たにしました。