安保法案:礒崎氏の更迭拒否…首相「電話で注意」
毎日新聞 2015年07月30日 11時48分(最終更新 07月30日 13時36分)
安全保障関連法案を審議する参院平和安全法制特別委員会は30日、集中審議を行った。安倍晋三首相は、法案に関して「法的安定性は関係ない」と発言した礒崎陽輔首相補佐官について「(菅義偉)官房長官も注意しているし、私も電話などで注意している」と述べ、自らも注意したと明らかにした。礒崎氏に対する野党の更迭要求は拒否した。
首相は「私は法的安定性の重要性について答弁を繰り返している。礒崎氏も同じ立場だ。このことを踏まえ、しっかりと職務に取り組まなければならない」と述べ、礒崎氏の続投に理解を求めた。
また、他国軍隊への後方支援を行う場所について「自衛隊が行動する期間中、戦闘がないと見込まれる場所を指定する。攻撃を受けていない安全な場所で行うのはイラク派遣の場合と変更はない」と説明。野党が「他国の軍隊では後方支援活動中にも多数の犠牲者が出ている」と指摘していることについては「停戦合意がされていることなどを前提とするわが国の活動とは前提が異なる」と反論した。
野党の一部が関連法案を「戦争法案」と批判していることに対しては「先の大戦で多くの被害者が出たフィリピンなど、ほとんどすべての国々が支持と理解を示している。これは『戦争法案』でないことの証明だ」と強調。自衛隊の海外派遣が本格化する契機となった国連平和維持活動(PKO)協力法に関して「(当時も)自衛隊の海外派兵だという批判があったが、今や多くの国民の強い支持をいただいている」と述べ、反対論をけん制した。また「徴兵制」については「憲法が禁じる『意に反する苦役』に該当し、導入はあり得ない」と述べた。【青木純、飼手勇介】