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【政治】

「残業代ゼロ」法案 今国会での成立を断念

 政府・与党は二十九日、働く時間ではなく成果に賃金を払う「残業代ゼロ」制度の創設や裁量労働制の対象拡大などを盛り込んだ労働基準法改正案の今国会での成立を断念した。過重労働を助長させ過労死を増やすとの強い反発が出ている上、安全保障関連法案の参院審議や年金の情報流出問題などで改正案の審議入りの見通しが立たず、成立は困難と判断した。秋の臨時国会での成立を目指す。

 労基法改正案は、四月三日に国会に提出された。衆院厚生労働委員会では「生涯派遣」と批判のある労働者派遣法改正案の審議や、年金情報流出問題に関する審議が続いた。安保法案の衆院強行採決による国会審議の中断も重なり、労基法改正案は審議入りしていない。

 国会会期は九月二十七日まで延長されたが、参院では与野党が対立する派遣法改正案の本格審議がこれから始まる。野党は年金情報流出問題も追及する構えで、労基法改正案の今国会での成立は厳しい情勢になっていた。政府・与党は、今国会で審議入りするものの継続審議として臨時国会で成立させる構えだ。

 「残業代ゼロ」制度は年収千七十五万円以上の金融商品開発などの高度専門職を対象に、労働時間規制から外す働き方で残業代などが支払われなくなる。改正案には年五日以上の有給休暇取得の企業への義務付けや、中小企業にも月六十時間を超える残業代の割り増しなど働き過ぎの防止策も盛り込まれた。 (鈴木穣)

 

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