[口永良部2カ月] 雇用の確保を急ぎたい
( 7/30 付 )

 屋久島町・口永良部島の新岳の爆発で、避難している住民向けの仮設住宅5棟が完成した。来月1日から入居を始める。

 全島避難から2カ月が経過した。6月19日以来噴火はないものの、火山活動は依然続いている。噴火警戒レベルは5(避難)のままである。

 避難生活の長期化は避けられない状況だ。住民が落ち着いた生活を送れるよう、官民が連携してきめ細かい支援を続けたい。

 5月29日の噴火で86世帯137人が屋久島内外に避難した。この間、公営住宅や民間住宅への入居が進み、住民の暮らしの場は徐々に整ってきた。

 仮設住宅は長屋形式で、単身世帯用、4人用など3種類27戸を建設した。避難所で暮らす住民ら27世帯47人が入る見込みだ。

 避難所で暮らす精神的なストレスは計り知れない。不自由な生活を強いられた住民が家族水入らずの時間が取れるなど、一息つける環境が整うのは大きい。談話室の設置も住民同士の交流に役立つはずだ。

 しかし、新生活が始まるとはいえ、住民の不安はなお大きい。生活基盤となる仕事が見つかっていない人が多く、今後の生活設計をたてられる状況には程遠いからだ。

 「屋久島でやれるだけの仕事を精いっぱいやって、島に帰りたい」と住民の1人は語った。必死で働き、一日も早い帰島を実現させる。みな同じ気持ちで毎日頑張っているに違いない。

 行政、民間企業を問わず、できる限り雇用の確保に努めてほしい。

 今月初めに約40日ぶりに65人が一時帰島した。台風対策で雨戸を閉めたり、漁船や車などを運び出したりした。

 だが、火山性地震が相次いだため予定より早く打ち切られ、思うような作業はできなかった。多くが後ろ髪引かれる思いで古里を離れたはずだ。

 住民は定期的な一時帰島を望んでいる。長雨被害で荒れた家のままでは帰島後の生活再建の支障になる。町は復興を視野に入れ、前向きに検討してもらいたい。

 気になるのが、通信設備の不具合で火山観測データの一部が得られない障害が相次いでいることだ。全島停電は5月の噴火後すでに4度発生している。

 観測データを収集できなければ一時帰島の判断もできない。早急に観測網を強化すべきだ。

 住民が帰島して平穏な生活を取り戻すには息の長い支援が必要だ。国や県もしっかりと住民の不安に寄り添ってほしい。


 
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