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【社説】

最低賃金上げ 格差はなお縮まらない

 最低賃金の目安を本年度は全国平均で時給十八円上げることが決まった。果たしてこの額が、安倍晋三首相が言う「大幅な引き上げ」なのだろうか。格差は縮まらず、消費も伸びようがない。

 最低賃金は、国が定める一時間あたりの賃金の最低額だ。原則、パートタイムなど非正規を含めたすべての労働者に適用される。

 毎年一回、労使の代表が入る厚生労働省の審議会で議論し、経済規模などに応じて都道府県を四つのランクに分け、目安を示す。これを基に地方の審議会が都道府県ごとの最低賃金を決める。

 最低賃金すれすれで働く人はパートやアルバイトなど非正規がほとんどで、改定は働く貧困層の生活に大きな影響を与える。

 全国平均は七百九十八円となった。上げ幅は2・3%。引き上げ額は現行方式になった二〇〇二年度以降で最大となった。

 だが、この程度では不十分だ。消費税が引き上げられ、一四年の物価上昇率は前年比3・3%に上った。労働組合の中央組織である連合の集計によると、今年の春闘では昨年を上回る2・2%の賃上げを達成。労働組合側は二つを足した5・5%は、上げ幅の最低ラインと主張していた。春闘の果実は非正規労働者にはもたらされないためだ。しかし、それにも遠く及ばなかった。

 働く側にとって最低賃金の水準はまだ、低い。最低の県で一日八時間、フルタイムで働いた場合、月収は十二万円程度にしかならない。これでは生活を維持するのに十分な額とは言えない。パートであれば、さらに下がるのだ。

 非正規の割合は全労働者の四割近くを占める。年収二百万円以下の労働者は一千万人ともいわれる。アベノミクスの恩恵は一部の富裕層に限定され、格差は広がるばかりだ。物価の影響を除く実質賃金は五月に前年同月比横ばいになったが、それまでの二十四カ月間は前年を下回っていた。

 地域間格差も依然として大きい。地方の人口流出を食い止めるためには、賃上げが欠かせない。

 民主党政権下ではあるが、政府は五年前に「早期に全国最低八百円とし、(二〇年までに)全国平均千円を目指す」ことを閣議決定した。最も高い東京都で改定されても、九百七円と目標には遠い。連合は労働者が最低限の生活を営むためには、東京都で時給千九十円が必要だとする。

 働く低所得層の生活底上げを急ぐべきだ。

 

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