慰安婦問題:「事実誤認に反論を」自民特命委、首相に提言
毎日新聞 2015年07月28日 21時23分
自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」(委員長・中曽根弘文元外相)は28日、慰安婦問題に関する提言をまとめ、安倍晋三首相(党総裁)に提出した。慰安婦問題で「日本の名誉と信頼が著しく損なわれている」として「事実誤認に反論」するよう求める一方、「女性を民間業者が働かせたことは事実」と認めた。戦後の平和国家としての歩みなど未来志向も盛り込んでおり、首相が8月に発表する戦後70年談話への影響が注目される。
提言は、諸外国が慰安婦を「性奴隷」と表現し、「客観的な事実に基づかない一方的な主張」が行われていると指摘。「客観的な事実に基づく反論を行い、誤りをただす」ことを求めた。具体的には、政府が内外のメディアに発信することや、外国政府・議会への働きかけ、議員や自治体の交流で「知日派」を増やすことなどを挙げた。
また、慰安婦への旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話を発表後、河野氏が記者会見で「(強制性の)事実があった」と発言したことを問題視し、「強制連行があったかのような事実に反する認識を国際社会に広めた大きな原因になった。重大な問題だ」と非難した。
ただ、第二次大戦中に設置された慰安所で「女性を民間業者が募集し働かせたことは事実」と認め、「女性の人権と尊厳を傷つけた点に議論の余地はない」とした。中曽根氏によると、首相は提言に対し、「誤った点は直していかなければならない。しっかりと受け止める」と述べた。【当山幸都】