礒崎氏:招致巡り対立…参院安保特委 野党「説明責任を」

毎日新聞 2015年07月29日 21時35分

 礒崎陽輔首相補佐官が安全保障関連法案について「法的安定性は関係ない」と発言したことを受け、参院平和安全法制特別委員会は29日の理事懇談会で、同氏を参考人招致するかどうかを巡って与野党が駆け引きを展開した。野党が委員会招致を要求したのに対し、与党は理事懇談会への出席で幕引きを図り、30日以降に結論を持ち越した。

 理事懇で自民党は「まずは礒崎氏を理事会や理事懇談会で弁明させてはどうか」と提案した。鴻池祥肇委員長(自民)も「過去に首相補佐官が委員会で参考人として答弁した先例がなく手続き上難しい」と与党に助け舟を出した。

 ただ、国会関係者によると、参院議長の了解があれば参考人招致は可能。民主党は理事懇で「委員会に出席し説明責任を果たしてもらいたい。委員会に呼ぶという要求は取り下げない」と譲らなかった。同党の安住淳国対委員長代理も29日の記者会見で「国会に来て国民の前で謝罪すべきだ。『法的安定性なんて関係ない』と思うならそう言えばいい」と述べ、礒崎氏の委員会招致を求めた。

 与党としては、非公開の理事会か理事懇で礒崎氏に弁明させ、野党の理解を得て、この問題に区切りをつけたいのが本音。これに対し、野党は同氏を国会の場に出して追及することで、与党にダメージを与えようと狙う。

 こうした中、公明党からも礒崎氏に対する厳しい意見が出ている。自民、公明両党幹事長、国対委員長の29日の会談では、井上義久幹事長が「(安保法案は)憲法の論理的整合性、法的安定性を保つように協議したものだ。くれぐれもそういう発言がないように」と苦言を呈した。大口善徳国対委員長は、礒崎氏が安保法案の国会審議を「9月中旬までに終わらせたい」と述べたことについて「現場に協力すべき立場なので、よく考えて発言してもらいたい」と批判した。自民党の谷垣禎一幹事長は「申し訳なかった」とその場で陳謝した。

 一方、与野党は29日、月曜を特別委の予備日とし、火、水、金曜を定例日とすることで合意した。【高橋克哉、佐藤慶】

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