首相:機雷掃海、浸透不足懸念「論理的に複雑」
毎日新聞 2015年07月29日 23時47分(最終更新 07月30日 05時52分)
安全保障関連法案を審議する参院平和安全法制特別委員会は29日、安倍晋三首相らが出席して総括的質疑を行った。首相は、中東・ホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合の集団的自衛権行使について「国民は論理的な面で複雑だという印象を持つかもしれない」と述べ、行使できるという政府の説明に理解が広がっていないとの認識を示した。維新の党の片山虎之助氏が「ホルムズ海峡での機雷掃海があるから分かりにくい。(法案から)外せば国民は理解するのでは」と指摘したのに対して答えた。
日本周辺の有事で集団的自衛権を行使することに関して、首相は「可能な限り国会の事前承認を追求したい」と答弁した。
一方、ホルムズ海峡の機雷除去は日本への攻撃発生が予測されず、時間的な余裕もあることを踏まえ「基本的に国会の事前承認を求める」と答えたが、事後承認も排除しなかった。
国際協力のための自衛隊派遣については、国益に資するか▽日本の防衛に支障がないか▽現地社会や国際社会から評価されるか▽国民に支持されるか−−などの判断基準を挙げ、「こうした要素を考慮し、国際社会の一員として積極的な役割を果たせるようにしたい」と述べた。
水野賢一氏(無所属クラブ)は、海外で不正に武器を使った自衛官への処罰規定が関連法案に盛り込まれていないことを指摘し「勝手に武器を使っても罪に問われなければ、満州事変のようなことが起きかねない」と追及した。
首相と中谷元(げん)防衛相は「今回の法案とは別に不断の検討を行っていく」と述べたが、水野氏は「欠陥がある」と法案の出し直しを要求。鴻池祥肇委員長は政府に答弁の再検討を求めた。【青木純】