04

すばらしいアルバムは終わり方も印象深い。名作を作るには、リスナーを興奮させ、高揚感を残して終わるような力強い締めくくりの一節が必要だ。これから挙げる、時代を超えた24枚の名作が証明するように……。


ザ・スミス『ザ・クイーン・イズ・デッド』

01
“Some Girls Are Bigger Than Others”
「枕を送ってくれ/夢見る時に君が使ってる枕を/そうしたら俺のも送るよ」

– Send me the pillow/ The one that you dream on/ And I’ll send you mine

モリッシーの曲のタイトルの中でもかなり衒いのない“Some Girls Are Bigger Than Others”というタイトルが、ジョニー・マーの巧みでキラキラしたリフに泥を塗ったとしたら、モリッシーはこの曲のメランコリックでロマンティックな最後の一文で、いくらか間違いを正せたと言えるだろう。


レディオヘッド『イン・レインボウズ』

02
“Videotape”
「何が起ころうと、恐れることはない/なぜなら今日はこれまでで一番完璧な日だから」

– No matter what happens now, you shouldn’t be afraid/Because I know today has been the most perfect day I’ve ever seen

“Videotape”はトム・ヨークの最期の別れの挨拶のようだ。優しいピアノの音色越しにトム・ヨークが死と向かい合い、「天国の門」で何をしようかぼんやり考えているような、悲しい最期のメッセージ。ただし、曲の最後では苦悩から解放され、この上なく幸福で満ち足りた瞬間が歌われている。


ザ・ビートルズ『アビイ・ロード』

03
“The End”
「結局、君が受け取る愛は、君が与える愛と同等なんだ」

– And in the end, the love you take is equal to the love you make

ポール・マッカートニーは、史上最高のバンドが持つカルマに関する哲学、愛や慈悲という概念を、解散前の彼らの最後のアルバムで、粋な一文にまとめ上げている。完璧な一文だ。


ニルヴァーナ『イン・ユーテロ』

04
“All Apologies”
「俺たちの存在こそがかけがえのないものなんだ」

– All in all is all we are

ニルヴァーナの、耳障りで生々しく、怒りに溢れたバンド最後のスタジオ・アルバムは、カート・コバーンが自身の哲学的な面を受け入れた形で終わっている。のちにカート・コバーンは、この曲が持つ平和で心地いい雰囲気は、妻であるコートニー・ラヴと娘のフランシス・ビーン・コバーンとの関係に影響を受けたと語っている。


ザ・リバティーンズ『リバティーンズ革命』

06
“What Became Of The Likely Lads”
「ああ、永遠はどうなった? 俺たちにはきっと分からないんだろうな」

– Oh, what became of forever? We’ll never know

ピート・ドハーティとカール・バラーは、永遠などもう存在しないのかと、彼らの未来を覗かせる言葉でこのアルバムを締めくくっている。あれから11年の時が過ぎ、我々はこの夏、彼らに何が起こったのか目撃することになるだろう。


パブリック・エナミー『フィアー・オブ・ア・ブラック・プラネット』

05
“Fight The Power”
「ぐずぐずせずに人々に力を/みんなに気づかせるんだ/そこにある権力と戦うために」

– Power to the people no delay / to make everybody see / in order to fight the powers that be

この人種差別への反抗的なメッセージが明確に伝わらない場合に補足しておくと、当時25歳くらいだった売れっ子ラッパーによる大ヒット作の最後の一節は、パブリック・エナミーの力強いメッセージを人々の心に深く刻みつけることになったのだ。


ジョイ・ディヴィジョン『アンノウン・プレジャーズ』

07
“I Remember Nothing”
「あまりに長い間、俺たちはお互いを知らなすぎた/あまりに長い間」

– We were strangers for way too long/for way too long

ジョイ・ディヴィジョンによる、この名作の最後の曲で一番ドキっとするのは、グラスが割れる音である。もしそうでなければ、この歌詞をどう受け取るかによるだろう。他の人間たちとの共通点に慰めを見出すべきか、我々は時々そのことに手遅れになるまで気づかないということを悲しむかのどちらかだ。


マニック・ストリート・プリーチャーズ『ホーリー・バイブル』

08
“P.C.P.”
「227回目のリア王だが、私は最初のセリフが思い出せない」

– 227 Lears, and I can’t remember the first line”

厳密には歌詞とは言えないが、曲が終わろうとする寸前に1983年の映画『ドレッサー』のセリフを使ったサンプルが耳に入ってくる。彼らのサンプルの多くで見られるように、このセリフの意味は楽曲の内容とは別物なため、この一文が歌詞の内容のように当たり障りのない政治的中立性を辛辣に批判しているかどうかは分からない。しかし、アルバムのどぎつさの割りには、かなり遠回しな締めくくりと言える。


ザ・スミス『ハットフル・オブ・ホロウ』

09
“Please Please Please Let Me Get What I Want”
「だから一生に一度だけは、俺の望むものを与えてくれ/俺が今まで望むものを得られなかったなど、神以外の誰も知らないんだ」

– So for once in my life, let me get what I want/Lord knows it would be the first time

「俺にとっては、素っ気ないパンチを顔に食らったような感じだ」と、ザ・スミスのこの名曲について、かつてモリッシーは語っている。だが、この曲は、彼以外の人にとっては生易しいパンチ以上のもので、何かを切望する鬱々としたモリッシーの最後の一節には中毒性がある。


ジェフ・バックリィ『グレース』

10
“Dream Brother”
「君は頭を抱え、彼女は別の人にキスする。地面を見下ろす君の瞳、そして地球は永遠に回り続け、波が打ち寄せる砂浜で眠るだろう」

– With your head in your hands and her kiss on the lips of another, your eyes to the ground and the world spinning round forever, asleep in the sand with the ocean washing over

この曲“Dream Brother”は、ジェフ・バックリィの友人であるフィッシュボーンのクリス・ダウドのために書かれた曲で、クリス・ダウドが妊娠している恋人の元を去らないよう強く呼びかけている。頭から離れないこの曲の結末は、胸が張り裂けるような『グレース』を、映画のエンディングのように締めくくっている。


デヴィッド・ボウイ 『ステイション・トゥ・ステイション』

11
“Wild Is The Wind”
「私たちはまるで風の中の野生の生き物のよう、風は強く/激しく吹きすさぶ」

– For we’re like creatures in the wind, and wild is the wind/wild is the wind

これ以降のデヴィッド・ボウイの作品で見られるクラウトロックの影響の先駆けとなる『ステイション・トゥ・ステイション』では、彼が自身の音楽の幅を拡大している様子が見て取れ、特に『野性の息吹き』という映画のために書かれた1950年代の曲をカヴァーした“Wild Is The Wind”に、それが顕著に表れている。この曲の最後の一節は、他にはないくらいにロマンチックに響く。


スウェード『スウェード』

12
“The Next Life”
「僕らが永遠に飛び立ったら、次の人生で会おう」

– See you in your next life when we’ll fly away for good

死を予感させる謎めいた冒頭の歌詞が、最後にもう一度繰り返されるが、その少し前に、なめらかなピアノのバラードが劇的に激しく盛り上がる。その時、この一節は視野が開けたような、無限の可能性を感じさせるだろう。リスナーはこの曲が終わった後、必然的にアルバムの1曲目へ戻ることになるはずだ。


グリーン・デイ『ドゥーキー』

13
“F.O.D.”
「誇りを持ってお前に言うけど、失せろ、死ね。おやすみ」

– I’m taking pride in telling you to fuck off and die. Good night

グリーン・デイはファンをどう扱うのか、もう一度考え直したいと思っているかもしれない。リスナーに「失せろ、死ね」とアルバムの最後で言うのは、実際、少しやりすぎだ。しかし、この態度こそが、おそらく我々が彼らのアルバムを聴き続ける理由なのだと、この14曲目で思い直すのだ。称賛に値するやんちゃなアルバムの、やんちゃな終わり方だ。


ザ・ローリング・ストーンズ『レット・イット・ブリード』

14
“You Can’t Always Get What You Want”
「だが、挑戦すれば、見つかることもあるだろう。見つかるかもしれない。必要としているものを手に入れるだろう」

– But if you try sometimes you might just find, you might just find, you get what you need.

いつでも欲しいものが手に入るとは限らない、というのは他に言いようのない真実だ。ザ・ローリング・ストーンズはそれを知っていて、ロンドン・バッハ合唱団もそれを知っている。そして、この7分を超えるジャムを聴けば、リスナーも間違いなく、その意味をしっかり理解するだろう。


アーケイド・ファイア『フューネラル』

15
“In the Backseat”
「僕は人生をかけて/学び続けている」

– My whole life / I’ve been learning

カナダの英雄たちのデビュー・アルバムは、メンバーたちの家族の死が続いたことに影響を受けて作られることになった。学びになる経験だった、と抑揚をつけずに歌われる、ほろ苦い感情が込められた最後の一節は心に響く。


ケイト・ブッシュ『愛のかたち』

16
“The Morning Fog”
「母に伝えるし、父に伝えるわ。最愛の人に伝えるし、兄弟たちに伝える/私がどれほど彼らを愛しているか」

– I’ll tell my mother, I’ll tell my father, I’ll tell my loved one, I’ll tell my brothers/How much I love them

海を漂う孤独な人間を描いた「ザ・ナインス・ウェーブ」と呼ばれるアルバムの後半では、嵐によるトラウマと恐怖を描いた後に最後の曲がやってくるが、この曲でケイト・ブッシュは救出への希望と愛する家族に再び会えるチャンスに焦点を当てている。


ジョニ・ミッチェル 『ブルー』

17
“The Last Time I Saw Richard”
「美しい羽を得て飛び立つ前のただの暗い繭/そういう段階なのよ、この暗いカフェの日々は」

– Only a dark cocoon before I get my gorgeous wings and fly away/only a phase, these dark café days

この曲は『ブルー』制作時の彼女の脆さを描いており、当時のことをジョニ・ミッチェルはこう語っている。「自分を防衛する手段がなかった。自分がタバコの箱のセロファンみたいに思えたの。自分が世界から丸見えに感じられたし、強がることもできなかった」


ブラー『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』

18
“Resigned”
「いつか息をするのも忘れるのだろう/でも、なぜかと考えるのを止めたことはない」

– I’ll forget to breathe someday/I’ve never stopped to think why

アルバム・タイトルの主旨を反映した“Resigned”は全体的に抑揚がなく悲観的な表情を見せる曲だ。しかしながら、最後の一文は、不意打ちのパンチのようにリスナーをハッとさせ、自分自身について考えさせ、一体全体我々はここで何をしているのだろうと問いかける。友よ、それがブラーの力なのだ。


ビョーク『ポスト』

19
“Headphones”
「ヘッドフォンが、私の人生を救ってくれた/あなたのテープが、私を寝かしつけてくれた」

– My headphones, they saved my life/Your tape, it lulled me to sleep

“Headphones”は友人がくれたミックステープに安らぎを得ることについて書かれた曲だ。このアルバムの大半は、ロンドンに引っ越してきたアイスランド出身のビョークが抱えていたホームシックと結びついており、そこへ彼女の当時の恋人でトリップ・ホップの第一人者、トリッキーによる空想的なアレンジが加えられている。最後の一節の通り、荘厳な雰囲気のなか落ち着きを与えてくれる曲だ。


レディオヘッド『ザ・ベンズ』

20
“Street Spirit (Fade Out)”
「君の魂を愛に浸すんだ」

– Immerse your soul in love

トム・ヨークによれば、この曲は「僕らの最もピュアで、最も悲しい曲」とのことで、まさしくメロディー的には確かにそうだと言える。「割れた卵」や「死んだ鳥」といった様々な荒涼としたイメージからかけ離れた、この曲の最後の一節は、レディオヘッドが普通なら絶対に歌うことのない、希望のメッセージとなっている。


パティ・スミス『ホーセス』

7188XIPRTsL._SL1069_
“Elegie”
「そして私の肌が光線を放つ、でもそれは悲しいことだわ、すごく残念なこと/私たちの友人が今日ここにいないなんて」

– And my skin emits a ray, but I think it’s sad, it’s too bad/that our friends can’t be with us today

ゾクゾクしただろうか? もちろん我々も震えた。(ジミ・ヘンドリックスの死という)人生における印象的な経験が、シンプルで詩的に表現されている。


カニエ・ウェスト『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』

91dHRGIV65L._SL1500_
“See Me Now” (Bonus Track)
「それはこういうことさ、ブラック・エクセレンスだ、ベイビー/俺たちはエリート、俺たちは世界一優秀なのさ」

– That’s what it is, black excellence, baby / we the elite, we the greatest in the world

カニエ・ウェストは、この力強い最後の一節で2010年リリースのアルバムを締めくくった。ここで匂わせた黒人の力というテーマは次のスタジオ・アルバム、つまり、ゾクゾクするほどイカした『イーザス』で探究されている。


マーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイング・オン』

marvingayewhat-sgoingon-raw-bepic-brmx-bcover-music-1973404434
“Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)”
「ねえ母さん/みんなが俺たちが間違ってると思ってる/俺たちを非難しようだなんて何様だ/ただ俺たちの髪が長いからっていう理由で」

– Mother, mother / everybody thinks we’re wrong / who are they to judge us / simply cause we wear our hair long

マーヴィン・ゲイのソウルフルな主張はアルバム内で一周して一曲目の主張に戻り、このアルバム全体に溢れる、体制に縛られない自由なヴァイブが最後の一節にまとめられている。


PJハーヴェイ『レット・イングランド・シェイク』

PJ_Harvey-Let_England_Shake-Frontal
“The Colour of the Earth”
「その日の地球の色/それはくすんだ赤茶色だった/血の色、私ならそう言うだろう」

– The colour of the earth that day / it was dull and browny red / the colour of blood, I’d say

戦争の恐怖を鮮やかに描いたこのアルバムは、胸が張り裂けるような、すばらしいサウンドと共に、PJハーヴェイにその年のマーキュリー賞を与えることになった。

Copyright © 2015 Time Inc (UK) Limited. NME is a registered trademark of Time Inc (UK) Limited being used under licence.

関連タグ